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2017年7月 5日 (水)

歩兵第213連隊

 ネット上の芸能情報をちらちら見ていたら,昨日のNHK朝ドラ『ひよっこ』が若い人たちの話題になっているようだった.
 それでその回の内容が書かれているブログを探したところ,《ディレクターの目線blog》というブログの《ひよっこ (第80回・7/4) 感想》がわかりやすくまとめていた.
 そこからちょっと引用する.

真夜中の工事現場みたいな照明が真横から煌々と当たる不自然な広場だが、省吾(佐々木蔵之介)の突然な「宗男、お前、戦争中どこにいた?」の一言から、物語が大きく動き出す。
省吾「インパール作戦ってことか?
五郎「え…」
宗男「はい…。生き残(のご)りです。
   仲間は、殆ど皆戦死しましました (
ママ)」
 
 これだけだと大事な一言が抜け落ちているのでわかりにくいが,他のブログも参照して補うと,以下のようなことだったようである.

 洋食屋「すずふり亭」のシェフである省吾が,ヒロインみね子の叔父である宗男に,戦争中はどこにいたかと訊ね,宗男がビルマだと答えると,すぐに省吾が,お前は茨城だったろ,だとするとインパール作戦か?と再度質問するのである.(会話のやりとりは正確ではないかも知れない)

 それからあとは《ひよっこ (第80回・7/4) 感想》の通りだろう.

 さて,この放送回を観た若い視聴者の中に一人,省吾が〈茨城+ビルマ〉からすぐにインパール作戦のことを思いついた理由がよく理解できない,という人がいた.
 私がざっと調べた限り,多くの若い人たちは,この人の感じた疑問を疑問とも思わないでスルーしてしまったようだ.
 しかし,この省吾の台詞に関する疑問は,報道解説の池上彰氏ならきっと「いい質問ですね」と言うだろう.
 私の父親の世代は,戦時中,どの地方出身の兵たちがどの激戦地で奮戦したかということは,省吾のようにかなり詳しく知っていたからである.(私もたまに父親の口から聞いたことがある)

 インパール作戦について記せば,太平洋戦争において陸軍に「歩兵第213連隊」があった.
 この連隊は茨城県水戸市で昭和十四年に編成され,終戦の時点では第33師団に所属した.
 この連隊は昭和十七年二月十日に中国大陸からタイに移動し,ビルマ戦線に投入され,直ちに英印軍を主力とした連合軍と戦闘を開始した.
 昭和十九年一月十五日にインパール作戦が発動された後のことは Wikipedia【インパール作戦】を参照されたい.
 インパール作戦の結果,第二次世界大戦に参戦した各国の軍人の中で,最も無能にして無責任かつ卑劣な司令官であった牟田口廉也中将のために,二万人以上の日本陸軍兵士の命が失われ,さらに三千七百人の戦病者が発生したのである.
 茨城県出身者で編成された歩兵第213連隊は,インパール作戦で四千二百七十八名が戦死し,ほぼ全滅した.
 インパール作戦のことを軽いドラマの瞬間的一挿話にしてはならぬと私は思う.脚本家がインパール作戦を取り上げたいのなら,放送期間を貫くドラマの主題として,日本陸軍の無能かつ卑劣な精神にまで言及しなければ,死んだ兵士たちが浮かばれぬ.高齢者には周知のように,NHKはインパール作戦の悲劇を描く資料を有しているはずである.

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