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2017年5月28日 (日)

藤沢 彩り酒場

 過日,映画『美女と野獣』を観に行ったときに『メッセージ』の予告編が上映された.
 なんだか懐かしいタイプのSF映画のようだったので,公開されてから少し経ったが,一昨日辻堂のテラスモール湘南に出かけて,予備知識なしで鑑賞してみた.
 期待通りの秀作だと思ったが,ストーリーを深く理解するには原作を読んでおくのがよいらしい.そこで遅ればせながら『メッセージ』の原作を含む短編集『あなたの人生の物語』(ハヤカワ文庫SF) をアマゾンで注文したら,在庫切れで入荷時期未定になっていた.みんな考えることは同じで,原作を読もうとしているようだ.
 この映画は,粗筋を書いたりするとまだ観ていない人に先入観を与えてしまうのでそれは避けるが,人間の意志あるいは思考と,言語との主従関係もしくは支配関係とでもいったものを改めて考えさせる.原作の趣を映画がどれだけ伝えられているか,原作を早く読んでみたいものだ.

 SF映画の一ジャンルには違いないだろうが,最近は騒々しいアメコミヒーロー映画が全盛で,『メッセージ』のように思索的で,いかにもSFらしい作品は少ないような気がする.
 と思ったら,あの名作の続編『ブレードランナー 2049』がもうすぐ公開だというではないか.しかも前作の主演ハリソン・フォードが同じリック・デッカード役で出演する.
 さらに,これは観るべき作品かどうかわからないが,ファンタジー作品『キング・アーサー』も公開間近である.
 映画ファンはこの夏が楽しみだ.

 さて映画を観た後,藤沢駅に戻っていつものように昼酒.
 違う.『メッセージ』のストーリーに難解な部分があったので,酒を飲みながら静かに作品が意図したものの余韻に浸ろうとしたのである.
 店は蕎麦屋でもいいのだけれど,午後三時過ぎとか四時過ぎとか,そんな時間帯ならともかく,真昼間に酒だけ飲んで蕎麦を注文しないというのは少し憚られる.
 軽い蕎麦前ではなく腰を据えて飲むのなら,南口の大通りに店を構える磯丸水産が二十四時間営業だが,ここも昼飯時は客のほとんどが海鮮丼などで腹を満たすためのご来店であり,一人で昼酒する客は,藤沢店では (私以外には) いないようである.おいおい.

 だがしかし,そんな時に便利な昼酒専門店が藤沢駅の近くにいくつかあるのだ.
 彩り酒場はその一つ.

 藤沢駅の南北を結ぶ地下道から駿河銀行の地下へ行く途中に,居酒屋「村さ来」と回転鮨「昭和匠寿司」と立食蕎麦屋「新月」と「彩り酒場」があって,ここは知る人ぞ知るチープ感溢れる一角だ.
 ここの村さ来には私は入ったことがないので紹介できないのだが,新月は私の青年時代から営業している古い店だ.この蕎麦屋の蕎麦はツナギが多いために,うどんの親戚状態であるが,それが却って腹持ちがいいというわけで,ファンが多いと聞く.私もたまーに入るが,ジャンクフードってのは,KFCが代表各だが,時々無性に食べたくなる.あれだ.(笑)
 昭和匠寿司は,カウンターに置かれている無料のガリだけを肴にして酒を飲んでいる客がいたりする.これは私も一度やってみたいのだが,その勇気がない.

 彩り酒場はこの一角では新参で,最近ようやく地域に根付いたか,客が増えてきたようである.
 彩り酒場の経営方針は,酒肴を安くして酒で稼ぐということらしい.だから酒を何杯も飲むと,かなりの金額になる.せいぜい焼酎のロックを三杯と肴を二品くらいが財布にやさしい飲み方で,私のお勧めである.
 焼酎は黒霧島のロック一杯が三百六十円で,三杯飲めば千と八十円.
 肴二品は何がよろしいか.私のお勧めはハムカツ (二百八十円) とザーサイ (百五十円) である.五百円玉ワンコイン也.これで焼酎三杯は余裕で飲める.
 酒が千八十円,つまみが二品で四百三十円だから,結構腹が満たされてお勘定は千五百十円.これは安い.

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 ところでハムカツといえば,テレビ朝日『じゅん散歩』で高田純次が商店街を散歩していると,肉屋とか惣菜屋の店頭に旨そうな揚げたてのハムカツが置かれていることがある.
 その際に,無類のハムカツ好きである高田純次は大抵ハムカツを買い求め,店頭で立食いしながら,よく「ほんとはハムカツって言うけどソーセージなんだよねー」と言う.
 それはその通りで,高田純次や私のような団塊の世代が少年だった頃から存在する伝統的ハムカツはハムのカツではなかったのである.
 であるからして,Wikipedia【ハムカツ】の記述

ハムカツは切ったハムに小麦粉・卵・パン粉をつけて揚げたカツレツである。

は食肉加工品業者の言い分を丸写しにしたものであり,百科事典の記述として相応しくない.以下にその意味を記す.

 昔も今も正真正銘のハムとは「伝統製法で作られたボンレスハム」を指す.これに比較すると日本独自の食肉製品であるロースハムは,保水性の高い副原料と食品添加物入りの調味液を注射 (インジェクション) して重量を大幅に水増し (参考ウェブページ《肉より重くて安いハム?その正体のカギは“水” 》 ; この記事に書かれていることは概ね事実である) したものが多く,そのため安価な薄切りのロースハムはフライパンで焼くと半分くらいにチリチリと縮んでしまったりする.
 この重量水増し製法は,ロースハムよりさらに低品質であるプレスハムも同様であり,それどころか昭和三十年代のプレスハムには,豚屑肉だけでなく馬,ウサギやカンガルーなどの雑肉も原料に使われていた.
 それでも平均的国民の肉類摂取量が現在よりも極度に少なかった昭和中期には,プレスハムが庶民にとっての高級ハムだった.
 ところがプレスハムよりさらに低品質な食肉加工製品があって,粗挽きした豚屑肉,雑肉,脂肪などを練ってケーシングしたもので,製法上はソーセージであるが,昭和当時の日本人は偽装表示なんぞは屁でもなくて,これが堂々とハムと称して売られていた.
 それは平成の世にも生き残っていて,例えば通販で入手できる《昔なつかしい 赤ハム ハムカツ用に。ハムカツ用 赤ハムブロック 1本 2キログラム 》である.
 この商品説明に

豚肉の荒く挽いたミンチを使用し

と書かれているように,正真正銘のソーセージであるにもかかわらずハムと称している.
 商品名「赤ハム」というソーセージです,という言い訳は食品偽装であるが,食肉業界はそんなことは気にしないのである.
 ともあれ,高田純次が「ほんとはハムカツって言うけどソーセージなんだよねー」と言うように,ジャンクフードの一つ「ソーセージカツ」を「ハムカツ」と呼ぶことは,昔からの既成事実として,これからも生き続けるだろう.

「お飲み物は~?」
「とりあえず黒霧のロックとザーサイとハムカツね」
「はーい」

 ジャンクフードってのは,時々無性に食べたくなるものだ. もし貴兄が藤沢の彩り酒場に行くことがあったら,ザーサイとハムカツをどうぞ.

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