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2017年4月26日 (水)

国難に起つ聖職者

 NHK (民放も本来は同じだろうが) の本領は,報道,ドキュメンタリ,ノンフィクション等のジャンルにある.ドラマも放送しているが,例えば戦国時代の女城主が日本在来馬ではなく馬格の大きい洋種馬に打ち跨って登場する荒唐無稽な大河ドラマ (大学教授が時代考証しているのに) とか,我が国のウイスキー業界の黒歴史 (=模造ウイスキー) に触れずにメーカー創業者の人生を描いた朝ドラとか,こんなものに国民の金を無駄に使用して欲しくないと思うようなものばかりだ.

 それはともかく,NHKなればこその番組の一つが『証言記録 東日本大震災』だ.
 先日 (4/23),第63回「災害派遣医療チームの格闘」が放送された.
 これまで『証言記録 東日本大震災』は,震災直後の DMAT (Wikipedia【災害派遣医療チーム】) の活動に何度か触れてきたが,第63回「災害派遣医療チームの格闘」は,なぜ DMAT が初動で失敗したのかを正面から取り上げた.
 初動の失敗といっても,DMAT 事務局や被災地に集結した医師たちを責める人は一人もいない.阪神・淡路大震災を契機に誕生した DMAT は,普通の日本人が一生のあいだに何度も経験するわけではない災害に対処する組織であるから,いまだ経験知を積み重ねているのである.
 第63回「災害派遣医療チームの格闘」に登場した医師たちに,私たちはただただ感謝するするしかないが,中でも震災発生直後に岩手県で医療支援の中枢を担った秋冨慎司医師は番組中で次のように,率直で真摯な反省の弁を述べられた.

あんなに大きな災害が来てしまうと 災害拠点病院ですら被害を受けて機能不全に陥ってしまう そのときに我々県の方でカバーする しなければいけないという視点が非常に抜けていた それは本当に反省をしています
 これが首都直下とか神奈川県から鹿児島まで沿岸が全部やられる南海トラフ巨大地震とか そうなったらもう全く対応できないと思うんですよ
 今 東日本大震災の教訓を活かして 来たる大規模国難のような 大規模災害のための準備をですね もう一度あのときのことを思い出して準備をして欲しいと思うんです それが震災で亡くなった人たちへの供養だと思います

 昔は聖職とされる職業がいくつかあった.それらの中には社会の尊敬を受けなくなったものもあるが,医師は今でも聖職と呼ばれるべきだろう.
 またかつて,陸上自衛隊隊員の経歴を持つ作家浅田次郎は,我が自衛隊が一度も実戦経験を持たぬことを誇りに思うと書いたが,被災地で奮闘する自衛隊が私たちの誇りであることは国民のコンセンサスだろうと私は思う.
 医師と自衛隊は,国難大規模災害にあたっての国の砦である.彼らの存在を力強く思うと共に,私自身も災害に対する備えをもう一度点検せねばと思ったことである.

[追記]
「災害派遣医療チームの格闘」の放送が終了したあと,東日本大震災被災地復興応援歌「花は咲く」のリオデジャネイロ・オリンピック メダリスト バージョンが発表された.
 たくさんのアスリートの歌声の中で,私は特に吉田沙保里さんの歌唱がすばらしいと感動した.

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