校閲のプロ
一昨日放送の日本テレビ『世界一受けたい授業』に,校閲専門会社「鷗来堂」の代表役員である栁下恭平というかたが出演した.
テレビドラマ『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』を監修したのはこの人であるという.
その栁下氏の話の中に担々麺が出てきた際に,校長役の堺正章が,汁なし担々麺が好物だと言うと,栁下氏は次のように語った.
《汁なし担々麺は,若干ちょっと校閲的には違和感を感じる表現であったりしてですね……》
つまり担々麺は,本来は汁なしであったのだから,わざわざ「汁なし」とことわるのは変だというわけである.
それはそれでいいのだが,問題は栁下氏の発言中の《違和感を感じる》である.
それを言うなら「違和感がある」「違和感を覚える」に決まっている.実際に上の《汁なし担々麺は……》の前に氏は一度「違和感」を使っていて,その時はちゃんと「違和感がある」と話した.
これでわかるのは,プロの校閲者である栁下氏は,校閲のプロであるにもかかわらず,日常では無頓着に「違和感がある」と言ったり「違和感を感じる」と言ったりしているということである.
付け加えると,栁下氏が《違和感を感じる表現》と言ったとき,画面には正しく《違和感がある》との文言が示されていた.日テレのスタッフが氏の発言を校閲したのであろう.栁下氏は恥をかいたわけであるが,校閲の実力は疑問符がつくけれども人物はおもしろそうなので,再登場が楽しみである.
| 固定リンク
コメント