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2017年1月17日 (火)

小池知事の意図は

 私は小池知事が精力的に仕事を開始したときから感じているのだが,豊洲新市場への移転費用が全く無管理的に増大したことと,オリンピック会場の建設費用問題は,都知事の中では一つのことではないか.
 テレビも新聞もこの二つの問題を別々に取り上げているし,小池知事自身も明らかにしないが,実は背景に,知事が都財政に危機感を持っていることがあると,私には思われる.

 つい最近まで Wikipedia【東京都】は,都の財政について極めて悲観的な記述 (特に連結の財政に関して) をしていたのだが,今年になって気が付いたのだけれど,その記述が編集して抹消され,現在は次のように大変に楽観的な書きぶりに変化している.(引用部分内の赤い着色は私がしたものである)

財政と事業
東京都の財政状況は、景気の回復による都税収入の増加と、石原慎太郎都知事による施政下での緊縮財政によって、2000年前後の最悪の水準から大幅に回復し、一般会計が他の会計から借り入れる「隠れ借金」も2006年度で完済する目処が立ち、2005年度の一般会計では16年ぶりの黒字決算となり、2016年度現在の収支は均衡、経常収支は黒字を確保している。起債依存度は全国の自治体で最低の5.0パーセントと財政の健全化が進んでいる。2016年現在、都道府県で唯一地方交付税交付金を受け取っていない自治体となっており、歳入のうち地方税の占める割合は74.3%(全都道府県平均45.1%)と極めて高い。

特別会計や監理団体なども含めた東京都の連結での負債は、2004年度末に16兆9,508億円、都民一人当たりの負債額は約135万円と共に全国最多であったものが、2015年度末には9兆522億円、都民一人当たり約66.7万円となり、減少傾向にある。実質公債費比率は0.7%、将来負担費比率も49.7%と低く、完全 (ママ) な財務体質を維持している。
かつて連結での財政を悪化させた要因は第三セクターの財政問題である。東京都が推進した臨海副都心開発事業では、東京テレポートセンター、東京臨海副都心建設、竹芝地域開発、東京ファッションタウン、タイム二十四の臨海関連第三セクター5社が相次いで経営破綻するなどの問題が発生し、5社の頭文字を取って「5T問題」と呼ばれた。他にも、国際貿易センター、東京臨海高速鉄道、東京都地下鉄建設、多摩ニュータウン開発センターなどの問題を抱えた。また、石原都知事の主導により中小企業金融を名目として2003年(平成15年)に設立された新銀行東京は、巨額の赤字を計上し、東京都による追加出資が必要となる事態となったが、2010年度以降黒字化、2016年に舛添要一都知事によって東京TYフィナンシャルグループに売却された。

 こんなに変化するとは思ってもいなかったので編集前の記述をコピーしていなかったのだが,手抜かりであった.
 都民一人当たりの負債額約66.7万円は問題がない,都財政は健全 (Wikipedia 中のこの文言は上の引用にある通り「完全」となっているが,これは勿論「健全」の間違いに決まっている.執筆者はたぶん日本語を知らぬ馬鹿である) であるとしている Wikipedia【東京都】の現在の記述が正確なら,小池知事のやっていることには大した意味がない.つまり現在の Wikipedia【東京都】はアンチ小池の立場で執筆されていることになるのだが,どうなんだろう.これだけ巨大な財政ともなると私には全く現状が理解できない.自治体財政の専門家がマスコミで解説してくれないものかと思う.

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