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2016年12月15日 (木)

差別に鈍感な人々

 一昨日夜に沖縄県名護市沿岸で起きた米軍垂直離着陸機オスプレイの事故で,一夜明けた昨日の朝,沖縄県の安慶田光男副知事が米軍キャンプ瑞慶覧を訪問し,在沖米軍トップである第三海兵遠征軍司令官のニコルソン四軍調整官に対して事故への抗議文を読み上げた.
 この時のニコルソン調整官の高圧的態度がテレビ等の報道で話題となっている.
 朝日新聞 (12/15 4:08,朝日新聞 DIGITAL 掲載) によると

安慶田氏によると、その際、在沖米軍トップで第3海兵遠征軍司令官のニコルソン四軍調整官の表情はみるみる怒気に染まっていった。ニコルソン氏は「パイロットは住宅、住民に被害を与えなかった。感謝されるべきで表彰ものだ」と述べた。安慶田氏が「オスプレイも訓練もいらないから、どうぞ撤去してください」と伝えると、「政治問題化するのか」などと話し、テーブルをたたく場面もあったという。

 この事故が先の米国大統領選挙の前に発生したものであったなら,ニコルソン調整官の対応はもう少し異なったものであったかも知れない.いずれ軍事や国際政治の専門家が解説してくれると思うが,ニコルソン調整官はもはやオバマ現大統領を見てはいない.この事故の処置については,トランプ次期大統領の日米関係に関するこれまでの発言に沿って行動するだろうと推測するに難くない.

 さてこれまで何冊も出版されている評論家町山智浩氏のレポート (『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』『キャプテン・アメリカはなぜ死んだか』等々) を読むと,南北戦争の頃は別として,現在の共和党の強力な支持勢力にキリスト教右派があり,これが種々の女性差別や移民差別 (実は人種差別) 政策の根源になっていることがよく理解される.
 その共和党の幹部でも,これから次期大統領トランプ氏が打ち出すかも知れない過激な人種差別政策には危惧の念を示しているわけだが,日米軍事同盟の今後を予想するためにはトランプ氏の信仰がどうなのかを知る必要があるだろう.私たちは,かつてジョージ・W・ブッシュにより行われたイラク戦争の背景に,彼のキリスト教信仰 (とコンプレックス) があったことを思い出すべきだ.

 トランプ氏の大統領選勝利が確定した時に,翁長雄志沖縄県知事は祝電を送った.
 この報道を知って私は,人権についてなんというセンスのない知事であるかと耳を疑った.トランプ氏は人種差別主義者であると選挙前から報道されていたではないか.機動隊員に土人と言われて怒った (*) 翁長知事がトランプ氏に祝電を打つなど呆れてモノが言えない.

(*) 毎日新聞 (10/20 1:06 掲載)
米軍北部訓練場(沖縄県東村、国頭村)のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)移設工事を巡り、現場警備に大阪府警から派遣された2人の20代の男性機動隊員が、工事への反対活動をする人に「ぼけ、土人が」などと差別的な暴言を吐いた問題で、沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は19日、「(土人は)未開の地域住民を侮蔑する意味を含んだ言葉で、県民としても知事としても言語道断で到底許されず、強い憤りを感じている」と述べた。
 余談だがこの件について菅義偉官房長官は記者会見で《「不適切な発言を行ったことは大変残念」と指摘。「許すまじきことなので、警察庁においてしっかり対応すると報告を受けている」と述べた》が,大阪府の松井一郎知事は《表現が不適切だとしても、府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました》《出張ご苦労様》と自身のツイッターにねぎらいの言葉を投稿した.さすが日本における差別の本場大阪の知事であるなあと感心した.(この菅官房長官と松井知事の発言も毎日新聞の同じ記事からの引用)

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