鎌倉のパエリア (十一)
「食べられない煎り大豆」の入った器に野菜を盛り付けた自称バーニャカウダ (実はバーニャフレッダ) を見て私は困惑した.
血の気の多い人間なら「食えないものと野菜を一緒に盛り付けてるけど,これって衛生的にどうなの?」とクレームを付けるところだが,笑顔が素敵な接客係のお嬢さんに凄んでみせるのは気が進まなかった.
そこで一応,目視で煎り大豆に異物が混入していないか観察して,明らかな異常はないようなので,千円以上する料理なんだから我慢して食べることにした.
料理としては大いに問題があるものの,食べてみたら食材の鎌倉野菜はなかなかうまかった.この辺りの野菜生産者はいい仕事をしているのだろう.
さて,以上が本稿「鎌倉のパエリア」の長い前置きだ.ここから本文に入る.
Brasserie 雪乃下の自称バーニャカウダ (しつこいが,これは詐称であり,実はバーニャカウダではなくバーニャフレッダである) を半分食べたところで,メインの雪乃下パエリアが私のテーブルに届けられた.
注文してからおよそ十五分であった.
これはどうしたことだ.私は心の底から驚いた.
これでは,パエリアができ上るまでバーニャカウダ (ほんとにしつこいが,バーニャカウダを注文したのに,出てきたのはバーニャフレッダだった) をゆっくりと食べながら昼飯を楽しもうとした私の深謀遠慮が台無しではないか.
鎌倉野菜をゆっくり楽しんでいたら,パエリアが冷めてしまう.どうしてくれるんだ.責任者は出てきなさい.
さてネット上でパエリアのレシピをいくら検索参照しても,十五分ででき上るパエリアはみつからない.
例えば標準的なパエリア調理例として《スペイン人に教えてもらった究極の「シーフードパエリア」が激ウマ 》では,四十分ほどかかる.
また「時短」を謳っている《ホットプレートで冷凍食品を使った時短パエリア 》を読むと,冷凍食品を使っているのでお手軽ではあるが,時間的には劇的に時間短縮というわけではなく,やはり作るのに三十分以上はかかる.
しかるに Brasserie 雪乃下のパエリアは注文後十五分でテーブルにやったきたのである.これが驚かずにいられようか.
もう一つ驚いたことがあった.
次に示す画像は,Brasserie 雪乃下の公式サイトをブラウザで表示し,そのスクリーンショットをトリミングしたもので,同レストラン謹製雪乃下パエリアの画像である.
これが,(異常にしつこいがこれは詐称で〈以下省略〉) 私に届けられた料理と全く見た目が違っていたのである.
(続く)
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