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2016年12月20日 (火)

辻堂 越後屋担庵

 私のような一般の日本人が『スター・ウォーズ』というとき,それは

オリジナル・トリロジー (旧三部作)
 スター・ウォーズ エピソード 4『新たなる希望』   (1977年)
 スター・ウォーズ エピソード 5『帝国の逆襲』    (1980年)
 スター・ウォーズ エピソード 6『ジェダイの帰還』  (1983年)
プリクエル・トリロジー (新三部作)
 スター・ウォーズ エピソード 1『ファントム・メナス』(1999年)
 スター・ウォーズ エピソード 2『クローンの攻撃』  (2002年)
 スター・ウォーズ エピソード 3『シスの復讐』    (2005年)

の映画六作品を指す.
 ところが『スター・ウォーズ』にはスピンオフ作品群があって,小説に始まり,コミックやアニメに展開されている.日本では全く売れなかったが Windows ゲーム (ただしクソゲー) もあった.(《スター・ウォーズのスピンオフ一覧 》にまとめられている)
 古くからの『スター・ウォーズ』ファンは,これらのスピンオフ作品群に興味はあるが,入手は困難であるし,手に入れても言葉の壁があるだろうから,かなり敷居が高いと思われる.しかもオリジナル映画六作品とは,世界観は共通しているとしても設定に整合性がとれていないものが多いと聞く.

 そんなわけでスター・ウォーズのスピンオフ作品は日本のファンには縁遠かったのであるが,2012年10月にウォルト・ディズニー・カンパニーが本編六作品の制作会社ルーカスフィルムを買収したことから状況が変わった.ウォルト・ディズニー・カンパニーは新たな三部作 (エピソード7,8,9) の製作と共にスピンオフ作品も作ると発表したのである.
 Wikipedia【スター・ウォーズ・シリーズ】からその辺りを引用する.

アンソロジー・シリーズ
実写映画本編を補完する実写映画シリーズ。2013年、ルーカスフィルムがスター・ウォーズのメインストーリーとは別の劇場映画をいくつか製作すると報じられ、2015年4月にアメリカのカリフォルニア州アナハイムで開催された本シリーズのオフィシャルファンイベント「スター・ウォーズ セレブレーションアナハイム」で、これらのスピンオフは「アンソロジー・シリーズ」のレーベル名の下で公開されることが明らかにされた。2016年12月公開の『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を皮切りに、2作品の公開が発表されている。

 で,この年末に『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』公開の運びとなったのである.
 昨年公開された,本編六作品に続く三部作の第一弾『フォースの覚醒』は,新登場人物の紹介以外には,内容的に本編へのオマージュだけであり,古いファンには納得できても,若い映画ファンには大しておもしろくない作品だったと思う.
 それでは本家スピンオフ第一弾『ローグ・ワン』はどうであったか.
 これがなかなかよかったのである.私は年寄りの『スター・ウォーズ』ファン必見かと思う.
 それはどうしてかというと,本編六作品がジェダイという超人たちの物語であるということと,叙事詩スペース・オペラという作品の性格からして,敗れた者,倒れた者にはほとんど焦点が当てられていないのであるが,一方の『ローグ・ワン』はジェダイが壊滅したあとの物語であるため,登場人物が,超人ではない被弾すれば死ぬ戦士たちだからである.これがために手に汗握るストーリー展開になっているのだ.私は,この作品はヒロイック・ファンタジーとして本編よりもいい出来ではないかとすら思う.
 本編六作品では,単純に反乱軍は善,帝国は悪として語られているのだが,この『ローグ・ワン』では,反乱軍の戦いも汚いものだと反乱軍のスパイであるキャシアン・アンドーは述懐する.
 戦争は,戦う双方ともに殺しあう悪である.当たり前のことだ.戦場で自分が悪であることに心が辛うじて耐えられるかどうかは,戦う大義があるか否かにかかっている.そうでなかったら生きていけないとキャシアン・アンドーは言うのである.第二次世界大戦後,ベトナム戦争もイラク戦争も,米国兵士たちの心に深刻な傷を負わせたのは,いずれも大義なき侵略戦争だったからだ.キャシアンの台詞はそのことを示唆している.
 このようにして,お気楽なエンタメ映画と言い切っていい『スター・ウォーズ』シリーズに,『ローグ・ワン』は初めてリアリティを持ち込んだのである.この作品の監督,ギャレス・エドワーズは若い人だが,Wikipedia【ギャレス・エドワーズ】に次のように書かれている.

キャリア
VFXクリエイターとして、BBCやディスカバリーチャンネルの作品を手がけ、英国アカデミー賞を受賞するなど成功を収めた。2008年にはBBC製作の大河ドラマ『ウォリアーズ 〜歴史を動かした男たち〜』を監督し、250もの視覚効果をすべて自分自身で担当した。また、映画製作の分業化に業を煮やした結果、Sci-FIチャンネルの48時間映画コンテストにてクルーなしで俳優を1人だけ使って製作した短編映画を発表し、グランプリを受賞した。その後、自身にとって初の長編映画での監督作品となった『モンスターズ/地球外生命体』は、低予算映画ながら多くの批評家や映画監督から賞賛され、英国インディペンデント賞にて3部門を受賞し、英国アカデミー賞にもノミネートされた。これらの功績から、『GODZILLA ゴジラ』の監督に抜擢された。その後、2016年公開予定の『スター・ウォーズ』の単独映画を監督することになった。

 ギャレス・エドワーズに本編の監督もやって欲しいと思ったのは私だけではないだろう.
 付け加えると,本作品では,ジェダイの時代に生まれていたらジェダイになれたかも知れない僧兵チアルート・イムウェの奮闘が印象的だった.また使命を果たしたローグ・ワン戦士二人の最後のシーンも美しい.

 話が横に逸れるが,昔の Windows RPG には,ウォーリア,ソーサラー,ローグ (!) の他にモンクという職業設定があった.モンクはすなわち棒術を使う僧兵であり,若い人は知らない (チアルートが盲目であるという設定だけで闘技が棒術であることなどは全く無視し《どう見ても座頭市の勝新じゃねーか!?》と書いている無知なサイトがある.どこの座頭市が棒術の達人なんだよ.座頭市は僧じゃないし<笑>;このウソサイトは検索するとすぐみつかるだろう) だろうが,チアルートのキャラはモンクそのものであることを指摘しておきたい.そういうことも映画を観る上で知っていると楽しい知識である.
 そして,Wikipedia にネタバレ気味に書かれてしまっているが,本編ファンなら「おお,そうきたか!」と思わず口元が緩むラストシーン.これがいい.

 なんだか今年は,くだらないアメコミ実写映画もやたらとあったけれど,いい映画もいくつか観ることができた.
 来年はたぶん新シリーズの第二作 (エピソード8) が出て,つぎの年にはスピンオフ第二弾 (タイトル未定) がやってくるだろう.頑張って長生きしようと思って,映画を観たあと景気付けに昼酒をやることにした.昼酒の言い訳になってないような気がするが,まあそんなことはどうでもよろしい.

 さていつも私が映画を観るのは辻堂駅北口の Terrace Mall 湘南内のシネコンだが,このモールには,高いばかりでおいしくないレストランが多い.婉曲な言い方をやめると,だめなレストランばかりだ.
 それがために映画を観たあとの飯は藤沢駅に戻るしかないと思っていたのだが,『ローグ・ワン』を観たあと,辻堂駅まで歩きながらふと気が付くと Terrace Mall 湘南のすぐ隣に道路を挟んで小さなビル (Luz 湘南) があり,飲食店が幾つか入っているらしい.
 ものは探検だというわけで,その小さなビルの一番上のフロアに行ってみると,
「やきとりセンター」「北海道」「ラ パウザ」「三ツ矢堂製麺」「九州料理ふくまる」「サラダバー けん」「越後屋 坦庵」「温野菜」といった店が入っていた.
 「北海道」とか「温野菜」なんかはお一人様には無縁の店と思うが,「越後屋 坦庵」はどんな店か知らないので,入ってみることにした.
 「越後屋 坦庵」は,品書きをざっと見たところ,どうやら焼魚定食と蕎麦が食える居酒屋といったコンセプトのようだ.ネット情報ではかなり酷い評価も書かれているが,よい店だとする人もいる.

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 本日は様子見というわけで,銀鱈の西京漬,ししゃも (カペリンじゃないやつ),胡瓜の辛子味噌漬,てんぷら盛り合わせを注文した.飲み物は黒霧島と赤兎馬をロック各一.
 料理は,まあまあの出来だと思う.てんぷら盛り合わせは,小さい海老天が三本にキス,かぼちゃ,さつもいも,茄子が盛られていて七百八十円.揚がり方は及第点で,コスパがかなりいい.辻堂に映画を観に来たときの昼酒に贔屓にしようかと思う.
20161219a

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