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2016年12月25日 (日)

徳川埋蔵金伝説

 先日 (12月21日) 放送された《『林修の歴史ミステリー 徳川家260年最大の謎 隠された財宝3000億円徹底解明スペシャル』行った! 見た! 感じた! 発掘現場から林修が緊急リポート! 》を録画しておいたので,昨日再生して観た.
 TBSの公式サイトからこの番組宣伝を引用紹介する.

12月21日(水)よる7時から放送の『林修の歴史ミステリー 徳川家260年最大の謎 隠された財宝3000億円徹底解明スペシャル』は、TBSが1991年から10年以上にわたって放送した『徳川埋蔵金シリーズ』の完結編。およそ8年ぶりに、再度、そして最後の埋蔵金発掘に挑む。
番組はテレビ界の知恵袋・林修をMCに迎える。幕末の徳川家の財政にスポットを当て、果たして黄金が蓄えられていたのか否か、誰がどのように埋蔵したのかを鋭く推理する。埋蔵金に関する古い記録も新たな観点で検討し、発掘現場には最新の機材を投入した。
さらに林も発掘現場を緊急取材し、最新の情報を現地から報告。3000億円とも考えられる徳川埋蔵金、林は何を見、何を感じ、何を語るのか?

 とまあ言いたい放題吹き放題なのであったが,羊頭狗肉とはまさにこのことであった.

『徳川埋蔵金シリーズ』の完結編。およそ8年ぶりに、再度、そして最後の埋蔵金発掘に挑む。

と書いておきながら,完結編とは嘘ばっかり,新事実は一つもなかったのである.
 今回のから騒ぎが《最後の埋蔵金発掘》であるとすると,TBSはもう今後埋蔵金発掘から手を引くということなのだろうか.そのほうがいい.手を引きなさい.
 発掘作業には重機を何台も繰り出して,それなりに費用をかけたから放送せざるを得ないのだろうが,期待してこんな番組を観てしまった視聴者は,私も含めて大馬鹿野郎であった.(恥)
 林先生には,こんな中身のない企画にホイホイと出るんじゃないよと言いたい.
 番組には磯田道史氏がコメンテーターとして呼ばれていたのだが,磯田先生はさすがに学者であるから「と,林先生は言うんですがね」と,いわゆる徳川埋蔵金には慎重にコメントを避けておられた.テレビから出演要請があれば出ることは出ても,つまらぬことは言わない.これが見識というものだろう.雑学芸人の林先生 (笑) とは一線を画しておられたのが印象的だった.

 (しつこいようだが) 雑学芸人の林先生は,江戸時代末期の幕臣,小栗忠順を紹介しつつ,小栗が「徳川埋蔵金」を赤城山に埋めたと主張している.
 私は上州の生まれであるため上野介であった小栗については知識があるし,また幕末の歴史好きにはよく知られていることだが,小栗忠順と「徳川埋蔵金」に関する妥当な見解を Wikipedia【小栗忠順】から引用する.

同年 (ブログ筆者註;慶応四年) 閏4月、薩長軍の追討令に対して武装解除に応じ、自身の養子をその証人として差し出したが逮捕され、翌日、斬首。逮捕の理由としては、大砲2門・小銃20挺の所持と農兵の訓練が理由であるとする説や、勘定奉行時代に徳川家の大金を隠蔽したという説 (徳川埋蔵金説) などが挙げられるが、これらの説を裏付ける根拠は現在まで出てきていない。

安政7年 (1860年)、遣米使節目付 (監察) として、正使の新見正興が乗船するポーハタン号で渡米する。
フィラデルフィアでは通貨の交換比率の見直しの交渉に挑んだ。これは日米修好通商条約で定められた交換比率が不適当で、経済の混乱が生じていたためである。小栗は小判と金貨の分析実験をもとに主張の正しさを証明したものの、比率の改定までは至らなかった

 この渡米のあと,小栗は貨幣の改鋳を行って品位を大きく下げた.仮に米国が反対しようとも,交換比率が不適当であることをすでに認めさせていたので,易々と実行できたようだ.
 この貨幣改鋳 (悪貨は良貨を…を実行したわけだ) によって小栗は,かねて通じていた三井組 (三井財閥) に巨利を供与した.(Wikipedia【小栗忠順】参照)
 この貨幣改鋳で得た利益で,小栗は横須賀の地に製鉄所 (後の横須賀海軍工廠) の建設を行い,この横須賀製鉄所が明治期に,大いに国力増強に寄与することとなったのは周知のことである.
 その辺りをまた Wikipedia【小栗忠順】から引用しよう.

慶応元年 (1865年) 11月15日、横須賀製鉄所 (後の横須賀海軍工廠) の建設開始。費用は4年継続で総額240万ドルで、これが後の小栗逮捕における徳川埋蔵金説に繋がったとも言われるが、実際には万延二分金などの貨幣の増鋳による貨幣発行益により建設費用を賄っていた。》 (下線はブログ筆者が付した)

 小栗はこの国の将来のために,貨幣改鋳に手を染めてでも利益を得て先行投資したのであろう.公金を埋蔵したというのは不当な言いがかりのように私は思う.以上が小栗と「徳川埋蔵金伝説」に関する妥当な見解というものだ.
 ではあるけれど,先日のテレビ東京「開運!なんでも鑑定団」で曜変天目茶碗の新発見かも知れないことが放送されたこともあり,娯楽番組もバカにはできないと思って『林修の歴史ミステリー 徳川家260年最大の謎 隠された財宝3000億円徹底解明スペシャル』を観たのであるが,いやあTBSには見事にだまされましたわ.トホホ.

 番組内容がトホホだったのはまだいいが,「徳川埋蔵金」の発掘作業が,環境破壊もいいところのとんでもないデタラメなやり方で,これは後々問題になるんじゃなかろうか.群馬県庁の然るべき部署の監督は得ていたのであろうか.
 もしもTBSが地元の土建業者と結託して,番組制作のために勝手なことをしたのであれば,番組を監修する立場にあった雑学芸人の林先生もMCとして責任の一端は免れ得ないと思う.

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