« 鎌倉のパエリア (五) | トップページ | 鎌倉のパエリア (七) »

2016年11月28日 (月)

鎌倉のパエリア (六)

 私がこの日,駅前の喫茶店ルノアールを出て小町通りを北に歩き始めたのは,昼前の十一時をわずかに過ぎた頃.
 八幡宮に向かって歩いていくと,小町通りの中程に飲食店が立ち並んだ狭い小路があり,ここを左に入って,Brasserie 雪乃下への階段を二階に上がるとすぐドアがあった.全五十席という店内にはまだ客が数人しかいないようだった.
 笑顔がとても感じの良い接客係の女性従業員に私が「一人です」と告げると,お好きな席にどうぞとのことだった.
 そこで私は,店の公式サイトに《テーブル席 // 解放感のある窓側のお席 //窓側のお席は解放感があり明るい雰囲気です。外に目を向けると少し遠くに小町通りが見えます。 》と書かれている窓際の二人席に着いた.
 ざっと見渡すと,その他の《テーブル席 // 落ち着いた雰囲気のお席 //落ち着いた雰囲気の店内にイス・ソファの並んだお席です。》と書いてある席は暗くて窮屈な印象だったからである. その窓際の席の画像はこちら
 前稿に書いたテレビ東京「歴史の道歩き旅」で,撮影の際にタレントの佐藤弘道さんが着いたのは,この窓際のテーブルのうちの四人掛けのテーブルである.私が選んだ席はこの画像の左隣の二人用テーブルであった.
 注文を済ませてから気が付いたのだが,実はこの窓際の二人席は,窓から外が見えるとはいうものの,レジカウンターのすぐ横の通路に置かれたテーブルであり,客や従業員が横を通るようになっていた.つまり通路際の,あまりよくない席なのであったが,お好きな席にどうぞと言われた私が選んだのだから,文句を言ってはいけない.

 さてその注文だが,公式サイトに「売れ筋」と書かれているパエリアに惹かれるものがあって,それに決めた.自称フランス料理店 Brasserie 雪乃下が「売れ筋」と自賛するスペイン料理ってどんなものなんだろう,という興味からである.
 パエリアは米飯料理だということもあって,私たち日本人によく知られたスペイン (東部バレンシア地方) の料理である.
 実は藤沢にはスペイン出身のかたがシェフである人気のスペイン料理店がある.「エラルテ」という店で,料理はうまいしシェフは陽気な感じのいい人だ.私の娘がお気に入りで,時々娘夫婦はここで食事しに行っているらしい.
 パエリアはおいしいが,注文してから出てくるまでに時間がかかる.ざっと三十分はみておいたほうがいいから,時間に余裕のあるときでないといけない.
 それに,パエリアは料理の性質上,二人以上でシェアするのがよい.私の経験では,パエリアは二人前以上で注文するもんだと思う.そしてパエリアの他に前菜などの料理を頼んで,それを食べながら,家族とか友人,恋人あるいは愛人または後妻業とかと会話を楽しみながらパエリアの出来上がりを待つわけだ.どんな状況だよ.つまり,言い換えれば,お一人様客はなかなかパエリアを食べる機会がないのである.
 ところが Brasserie 雪乃下のメニューには「二人前以上でご注文ください」と書かれていない.おお,これはよい店をみつけたと私は嬉しくなった.
(続く)

|

« 鎌倉のパエリア (五) | トップページ | 鎌倉のパエリア (七) »

外食放浪記」カテゴリの記事

冥途の旅の一里塚」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 鎌倉のパエリア (六):

« 鎌倉のパエリア (五) | トップページ | 鎌倉のパエリア (七) »