« ゴキブリ缶 | トップページ | 続・ゴキブリ缶 (二) »

2016年11月 4日 (金)

続・ゴキブリ缶 (一)

「加工食品にゴキブリが混入」と聞けば,誰でも思い出すのは,ローカル企業でありながら知名度は「ペヤングやきそば」で全国的だった「まるか食品」(群馬県伊勢崎市) の異物 (ゴキブリ) 混入事件だ.
 この事件について Wikipedia【まるか食品】から長文だが引用する.

異物混入と自主回収
SNSでの指摘と対応
2014年 (平成26年) 12月2日、購入客が「ペヤングからゴキブリ出てきた」というメッセージと、油揚げ麺の内部にゴキブリとみられる虫が入り込んでいる画像をTwitterに投稿した。12月3日、まるか食品の担当者はJ-CASTニュースの取材に対して、「製造過程で虫が混入するなんてありえない」「虫が混入していたという苦情も初めて」と話したとされるが、そのことが公開されると同ニュースサイトには、複数の消費者から「過去に同様の苦情を入れたことがある」との意見があったという。
同日夜に行われた、群馬県伊勢崎保健所による本社工場への立ち入り調査を経て、翌12月4日、同担当者は再度の取材で消費者からの意見の真偽を問われると、「『初めて』というのは虫の混入全般を指したものではないので、訂正してもらいたい。今回のような大きな虫が麺に混入しているという苦情は初めてということで、小さな虫の苦情は過去にも何件かあった」と説明し、それ以上の明言を避けたという。
同日、他に主要メディアが報じたところによれば、同社は「異物検査をしており、製造工程での混入は考えられない」としながらも、11月10日製造の当該製品「ペヤング ハーフ&ハーフ激辛やきそば」と同日中に同じラインで製造された「ペヤング ハーフ&ハーフカレーやきそば」の自主回収を実施した。
12月11日、問題の商品を外部機関により分析した結果、虫に過熱の形跡が確認されたため、同社は「製造過程での混入の可能性が否定できない」と改め、本社工場・赤堀工場での生産を停止し、ペヤング全商品を販売休止とした。
12月12日には、同社を通じて外部機関による検査結果をメディアが改めて報じ、混入していた異物は雌のクロゴキブリの成虫で、体内酵素「カタラーゼ」の働きが失われており、加熱されていたことが判明するが、虫に付着していた油が工場使用のものと同一かは、検体が小さいことから確認できないとした。
また工場内に設置された約30台の監視カメラの映像を確認した結果、何者かが意図的に混入した可能性を否定している。なお、同社は自主回収が発生した際に、その費用を手当てするための「リコール損害保険」に加入していないこともわかった。一方で、同社の担当者は産経新聞の取材に対し、「油の一致がわからない以上、製造過程での混入を断言できない。第三者が虫を加熱死させ、製造後の商品へ意図的に混入した可能性もある」と話している。

 常識的には,食品会社というのは,万が一の製品回収に備えて保険に入る.
 損保会社と単独で契約する場合が多いが,中小企業の場合は負担が大きいので,集団で加入することもある.
 いずれにせよ,まるか食品は食品産業界の常識を堂々と打ち破って,製品回収保険に入っていなかった.そのことを報道で知った食品業界の (まともな精神の) 人々は唖然としたものである.
 食品の自主回収は,小規模の回収であれば二千万円くらいの費用でできることもあるが,たぶんペヤングやきそばくらいの販売数量の製品だと五千万円以上の損失を計上することになる.
 そこで全国ブランドあるいは準全国ブランド製品の場合,最大で一億円の回収費用が保障される保険契約をするのが普通である.これに入っておけば,回収費用のほとんどが補填される.(ただし回収事件を起こすたびに当然ながら保険料はどんどん高くなる)
 ちなみにその回収に係る諸費用で一番単価の高いのが新聞広告である.製品の販路が全国にわたる場合は全国紙に製品回収広告をだす慣習 (保健所の指導によっては地方紙でもよい場合がある) があるが,全国紙といえば普通は読売・朝日・日経・毎日の四紙でよいと考えるかも知れないが,ここに産經新聞というやっかいな新聞がある.
 以前,読売・朝日・日経・毎日に回収広告を掲載したとたん産經から電話があり,ウチも全国紙なのに無視するのかとネチネチ言われたことがある.産經の広告掲載要求をはねつけると紙面で回収事件をことさら大きく報道されると業界ではかねてから言われていたので,止む無く高い掲載料を払ったのだが,これは今思い出しても腹が立つ.
 現在は新聞広告よりもウェブの方がはるかに広告媒体として強力であることを保健所も知っているので,自社サイトに回収広告を掲載すれば,これを補完するものとして全国紙掲載は一紙か二紙で保健所の了解はとれると思われる.産經新聞の要求は,二流紙には掲載する必要を感じませんと断るのが賢明である.産經ごときに悪く書かれたところで大した影響力はない.
(続く)

|

« ゴキブリ缶 | トップページ | 続・ゴキブリ缶 (二) »

新・雑事雑感」カテゴリの記事

食品の話題」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 続・ゴキブリ缶 (一):

« ゴキブリ缶 | トップページ | 続・ゴキブリ缶 (二) »