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2016年10月13日 (木)

人生は他意だらけ

 発熱があって暫く寝込んでしまった.
 どうにも気だるくて何もする気になれず,日がな一日中テレビの前のイスに陣取って (ベッドで横になっていると腰に負担がかかるからである) ニュースショーや撮りためた番組録画を流し見ている.

 昨日の午後,埼玉県新座市野火止七丁目の地下に設置された東京電力の送電ケーブル (事故を起こしたのは,この種のケーブルとしては古いタイプの「OFケーブル」というもの) で,漏電が原因とみられる火災が起きた.
 このため新座変電所から豊島変電所と練馬変電所への送電が停止して,都内では大規模な停電となった.

 各テレビ局の朝のニュース番組ではこの事故を大きく取り上げたが,テレビ朝日の「ワイドスクランブル」(橋本大二郎,大下容子他) の解説が群を抜いていた.
 これに比べると他番組は全くだめであった.
 日本テレビ「スッキリ!!」(加藤浩二他) もテレビ朝日「モーニングショー」(羽鳥慎一他) も,漏電によるスパーク発生の原因について見当違いなことを言っていた.
 どんなことを放送したかというと,ケーブル内部の導線を厚く被覆している絶縁紙に何らかの理由によりクラックが入り,そこから火花がでたのではないかというのである.
 「何らかの理由により」で済むならお気楽なものであるが,これは東京電力が示した見解をそのまま流したものである.
 ところが「ワイドスクランブル」では東京電力の元技術幹部社員のかたが出演して,次のような推論を述べた.

 大都市へ給電するケーブルは,昼間は大電力が流れるために発熱し,その結果ケーブルの長さ方向に延びようとする力が発生する.
 逆に夜間はケーブルは縮もうとする.
 この伸び縮みによる力が繰り返し働くから,OFケーブルとOFケーブルを接続している機器は経年的に劣化してクラックが入り,そこから絶縁油が漏れる可能性があると東京電力の元技術幹部社員氏は語った.
 この導線接続機器のクラックから絶縁油が漏れたらどうなるか.(ケーブル内部の導線〈の束〉には中心部に空洞があり,そこに絶縁油をポンプで加圧して流しているらしい.この加圧により絶縁油が導線から絶縁紙に浸み出て,絶縁紙の絶縁性が保たれるわけだ)
 もしケーブル接続機器に生じたクラックから絶縁油が漏れると,絶縁油の送油圧力が低下し,ケーブル内で導線を被覆している絶縁紙の絶縁性を保つのに必要な含侵絶縁油の量が不足する.
 こうして絶縁性が低下した絶縁紙はスパークを起こしやすくなるのだという.
(OFケーブルの絶縁劣化については「絶縁体劣化現象の解明」で検索されたい.詳しい論文がヒットする)

 実に論理的な解説で,ナルホドと私は膝を打った.
 論理的なだけでなく,この種の送電ケーブルの事故は希ではあるのだが,この東京電力の元技術幹部社員氏は過去に一度,OFケーブルの事故経験があり,それに基づく推論だという.
 もしかすると現在の東京電力には,「ワイドスクランブル」に出演した元東電技術者ほどの力量ある人がいないのではなかろうか.

 およそこの手の報道番組というものは,レギュラー出演者はただの大道具であり,番組の質はゲストの肩にかかっているのだなあと,今朝のテレビでよくわかった.加藤浩二や羽鳥慎一がだめで橋本大二郎が有能であるなどと言うのではない.大切なのは,適切なゲストを選定して招いてくるなどの,裏方である番組制作スタッフの能力だということだ.
 ちなみに,上に (加藤浩二他) とか (羽鳥慎一他) と書いてあるのに「ワイドスクランブル」だけ (橋本大二郎,大下容子他) としているのは他意はない.私は大下容子さんのファンだというだけのことである.あー他意だらけですか.そうですか.

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