« 環境破壊雑感 2016/10/15 | トップページ | 現実と虚構 (四) »

2016年10月16日 (日)

藤沢 ふじやす食堂

 先月,Yomiuri Online に労働ジャーナリストの金子雅臣氏が《なぜ新入社員たちは、良心に反する指示にも従ってしまうのか 》と題した記事を寄稿していた.(掲載日;2016年09月13日)
 この記事は,日本生産性本部が実施した「2016年度新入社員 春の意識調査」を材料に,企業における不正を考察している.金子氏の物の見方は少々性善説に傾き過ぎていていると思われるが,それはともかく次のような文章があるので引用する.

《(ブログ筆者註;企業で不正が行われた場合) 多くのケースでは、事実かどうかは別にしても、経営トップは、「知らなかった」または「なんとなく知ってはいたとしても、不正そのものを指示はしていない」ということになっている。典型的には、上は数値目標を設定して下ろしただけで、下に行けばいくほど、その達成がリアルな負担になり、それを何とかするために「やむを得ず不正を行う」。「現場で始まった不正が容認され」「それが積み重なって大きな出来事になってしまった」という流れで、映画・ドラマの「踊る大捜査線」ではないが、まさに「不正は現場で起きている」ことになっている。

 私が上に,金子氏は性善説に傾き過ぎていていると書いたのはまさにこの点で,ある企業が不正や法令違反を行ったばあい,その会社の《経営トップは、「知らなかった」または「なんとなく知ってはいたとしても、不正そのものを指示はしていない」ということになっている》が,しかしその経営トップは,自分の指示を実行するために,社員たちが《「やむを得ず不正を行う」》ことは百も承知なのである.社員たちが不正を行うことを期待して目標を設定するのである.社員に数値目標だけ示して具体的な方法を語らないのは,不正が発覚したときの保身のためだ.

 私が定年までいた会社で社長,会長を歴任し,業界団体の会長も務め,さらにその勲功により旭日中綬章を受賞したSという男は,「企業にとって赤字は最大の悪だ.法違反よりももっと悪い」というのが持論だった.「いいか,俺の口から法を犯せなどと言わせるな」とも言った.それでこのSの忠実な部下たちは,営業利益を出すために,Sに諮ることなく (Sが「知らなかった」と言える形をとって) 悪事を実行したのであった.

 不正を嫌いコンプライアンスを経営理念の第一に掲げる立派な経営者は世の中に多いと思う.
 しかしその一方で,不正が発覚した会社のトップは間違いなく部下の不正行為を知っていたはずだといえる.本当に知らなかったとすれば,企業統治ができていないということであり,そんな人物がトップの地位につけるはずがないからだ.

 話が大きくなってしまったので,少し元にもどす.
 先月,前々から黒い噂があった口コミサイト「食べログ」の評点不正がおおっぴらになった.
 →《【衝撃】食べログの点数がいきなり3.0に下がる → 食べログから連絡「弊社予約サービス使わないと検索結果落とすよ」評価をカネで買える信用できないサイト?

 この記事は,ある飲食店の経営者が,食べログの営業担当から「(食べログ) の予約サービス使わないと検索結果を落とす」と言われたと暴露したことを報じている.
 店舗の点数評価に関する不正について,メディアの取材に対して食べログの運営側は否定している.
 また江間正和という飲食店評論家 (?) は《食べログ、運営側が点数操作疑惑を否定…なぜ「公平さ」への疑問広がる?点数動いた理由 》と題した記事の中で,

今回の件は、ブラックリスト者の書き込みの評価が無効化されたり、なにかしらのストッパー要因やプラス要因がアルゴリズムに組み込まれて点数が動き、さらに未熟な営業担当者の動きと重なって起きた出来事と考えられます。

と書いている.
 能天気なことを書くものだ.《未熟な営業担当者》が勝手にそんなことをするわけがなかろうが.
 間違いなく食べログの経営側は,営業担当者が飲食店に不正な働きかけをすることを承知で,成績を上げるよう圧力をかけたと思われるのである.

 以上が長すぎる前置きで,これからが本題.
 上に書いたように,最近行われた食べログの店舗評点の変更で,店の利用者から高く評価されていた飲食店なのに,現在は点数が星☆三つに落ちてしまった店が藤沢駅の北側にある.
 駅北口の商店街に藤保水産という魚屋があり,この店が二階で平日の昼飯時間帯のみの海鮮定食屋をやっていて,ふじやす食堂という.
 一昨日,銀行へ通帳の記帳に行ったついでに,久しぶりにその店で食事した.相変わらずの繁盛ぶりと,献立の質の高さに大いに感心した.

20161016a_2

 ふじやす食堂の献立は,千円の定食が二種類,九百円のセットメニュー (鮪三昧丼セット,鯵たたき丼セットなど) が四種類と,あとは日替わり定食があって,このラインアップは以前からずっと変わりがない.

 このうちの九百円のセットメニュー (丼と味噌汁,小鉢,茶碗蒸) は丼と味噌汁だけを注文することができて,それだと七百二十円である.
 御飯の大盛りは無料サービスであるが,二百円追加すると九百二十円の大漁盛りというのがあって,これは御飯が大盛りの二倍になり,さらに飯の上に載る魚も増量になる.おそらく大漁盛りは若い大食漢でないと食いきれぬ.

 一昨日,私は鮪三昧丼セットを頼んだのだが,魚屋の直営だけあって,魚の活きのよさは文句のつけようがない.鮪の量もたっぷりだ.

 この食堂は午前十一時に開店だが,十一時半になると満席になって会社員たちが入口に列をなすくらい混むので,開店と同時に店に入るのがよい.あるいは落ち着いて食事したいなら二時過ぎにするのがよかろう.(ラストオーダーは二時半)

 まあたぶん,藤沢駅周辺の飯屋で一番良心的なのがこのふじやす食堂だ.昼飯時に会社員たちが列を作るのはこの店くらいなものである.駅南口の鰻屋「はま吉」の貧相な鰻重を食う金があれば五回も昼飯が食えるのだから無理もない.
 食べログの星☆は三つしかないが,ふじやす食堂は痛くもなんともないだろう.飲食店の評価は食べログじゃなくて客が決めるのだから.

|

« 環境破壊雑感 2016/10/15 | トップページ | 現実と虚構 (四) »

外食放浪記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 藤沢 ふじやす食堂:

« 環境破壊雑感 2016/10/15 | トップページ | 現実と虚構 (四) »