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2016年9月28日 (水)

環境破壊雑感 2016/9/28

 前稿に

カネミ油症の原因が「カネミライスオイル」の製造過程で熱媒体として使用されていたPCB (ポリ塩化ビフェニル) であること (下記の引用) は,食品業界に大きなショックを与えた.

と書いた.

 昔から PCB は広範な産業分野で,様々な目的で使用されていたのであるが,カネミ油症事件 (昭和四十三年) によって大きなショックを受けたのは,食品業界の中でも食用植物油業界であった.
 当時の食用植物油の製造工程 (脱臭工程という) では,一般的に,カネミ倉庫株式会社と同じく合成熱媒体が使用されていたのである.
 カネミ油症の真の原因物質は PCB そのものではなく,PCB から熱によって生じるダイオキシン類のポリ塩化ジベンゾフラン (PCDF) であるのが確実視されているが,PCB そのものも強い毒性を有する.このような毒性物質を,食品と接触混入する可能性のある工程に使用すること自体が,現在の消費者にしてみれば信じがたいことであるが,昭和時代の食用植物油製造業界の食品衛生水準はその程度だったのである.
 現在でも食用植物油製造工場を見学するとわかるのだが,食用植物油製造工場は一般の食品工場と大きく異なっている.どちらかというと,石油コンビナートにある化学品製造工場のようである.そして,かつての昭和時代,それらの工場の幹部も社員たちも,自分たちが消費者の口に入る食品を作っているなどという意識は有体に言ってなかったのが実態である.だからこそ平気で,PCB を熱媒体として使っていたのである.

 話を元に戻すと,合成熱媒体には PCB のように塩素を含むものと,含まないものがある.
 現在でこそ我が国の食用植物油製造業者は,競争による淘汰と業界統合により企業数は少なくなっているが,昭和の中期にはまだ小規模・零細な食用植物油製造工場が全国に多数存在しており,しかもそれらは業界団体 (当時は「日本油脂協会」といった) にも加入していなかった.
 大手の工場の PCB は,PCB 系熱媒体の製造者 (鐘淵化学〈現株式会社カネカ〉など) が回収したと聞いているが,小規模工場のどこが PCB 系熱媒体を使用していたか,私の知る限り資料はない.そして当然ながら,それら工場が使用していた PCB 系熱媒体がカネミ事件後どう処分されたかも資料が存在しない.推測ではあるが,環境中に違法に投棄された可能性が高く,Wikipedia【カネミ油症事件】に

当時はPCBの無害化技術も確立していない時代であり、カネミ油症の原因物質であるライスオイルは不適切な処理をされた蓋然性がきわめて高い。カネミ倉庫の事業所が存在する北九州市及び大阪市 (木津川運河) では、ダイオキシン類の一つであるコプラナーPCBが河川及び港湾の底質から基準を超えて検出されている。

とあるのは,そのことなのである.
(続く)

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