夏休みアニメ
小説,漫画,アニメ映画,テレビドラマなど様々なジャンルで用いられてきたアイデアで,人間の心と体は分離できる別のものという設定がある.
海外文学には全く知識がないので間違っているかも知れないのだが,少なくとも日本では,東野圭吾の『秘密』がこのアイデアを使った最初の作品だった.
細かくいうと「大人になった自分の意識」が「子供のときの自分の意識」転移するというSF小説が先行していたような記憶があるが,これはタイムトラベルSFの変奏曲としていいのではと思う.
その種のSF作品は別として,東野圭吾『秘密』は,妻と娘の心と体が入れ替わるという設定 (このSF的設定に『秘密』の力点があるのではない) のもとで,夫婦の愛情を哀切に描き,《第120回直木賞、第20回吉川英治文学新人賞、第52回日本推理作家協会賞 (長編部門) にそれぞれノミネートされ、最終的には推協賞を受賞し》(Wikipedia【秘密 (東野圭吾)】) た作品で,東野圭吾はこれで大ブレイクしたのであった.
この『秘密』の印象が鮮烈だったせいで,これ以後のものは例えば,男女高校生の心と体が入れ替わって起こるドタバタ青春ラブコメ,みたいなものばかりではないかと,最初から私は食指が動かなかった.
ではあるのだが,この八月つまり今週公開のアニメ『君の名は。』がちょっと気になっている.はたして大人の鑑賞に耐える作品なのかどうか.(タイトルの「君の名は」に,日本語の作法として余分な句点「。」がついているのは,「モーニング娘。」の幼稚な二番煎じ小細工だ.またこの「。」のせいで,歴史的名作の菊田一夫『君の名は』への尊敬が感じられないのもNG)
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