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2016年7月30日 (土)

真・ゴジラ

 私たちが子供の頃から何度聴いただろう,あの伊福部昭の曲が鳴り渡る中,スクリーンを下から上に流れる長いエンドロールの最後に「終」の文字が現れたとき,客席のそこかしこに,ふーっというため息の音が聞こえた.

 昭和二十九年 (1954年) に公開された本多猪四郎監督作品の第一作『ゴジラ』以降,常に子供向け娯楽作品へ傾こうとする東宝の『ゴジラ』シリーズは,何度か娯楽作品化傾向をリセットして原点への揺り戻しを試みた.
 その必ずしも成功しなかったゴジラの原点回帰は,遂に庵野秀明総監督 (脚本) と樋口真嗣監督 (特技監督) の手によって,第一作から六十余年後に,第一作への最大のリスペクトをもって成し遂げられた.
 また今作『シン ゴジラ』において,庵野秀明監督の脚本が東日本大震災における福島第一原子力発電所事故を踏まえて書かれたものであることは明白である.
 国の危機において,私たち日本と日本人はどう行動するだろうか.その問いに対する庵野秀明の答えがこれだ.
 作中,矢口内閣官房副長官が対ゴジラ作戦に従事する自衛隊員に決死の訓示を行う.そしてその隊員たちの乗る特殊作業車がゴジラの一撃で粉砕され,「全滅」との報告を聞いて矢口副長官が一瞬目を閉じる.この短いシーンで私は思わず胸に熱いものを覚えたことを告白しておく.

 圧倒的なリアリティと畳みかけるようなストーリー展開に,私は三十分ドラマほどの時間経過しか感じなかった.
 少年時代の始まりに観た映画の復活を人生の終わり頃に目撃できるとは,私は思ってもいなかった.いい映画をみせてもらった.庵野総監督と樋口監督に感謝する.

[蛇足]
 出演俳優陣中,花森防衛大臣を演じた余貴美子の存在感が際立っていた.
 東内閣官房長官役の柄本明の好演は言うまでもない.
 大河内総理大臣の不慮の死後,他の政治家たちから火中の栗を押し付けられるようにして首相となった里見農林水産大臣 (平泉成) は,かの鈴木貫太郎を彷彿とさせた.もちろんそれは庵野脚本に織り込まれていたはずである.
 パタースン米国大統領特使役の石原さとみだけが,キャストとしてどうなんだろうと思われたが,こういう意味不明な美女が登場するのも,過去の東宝ゴジラ映画に対するオマージュだと受け取っておきたい.
 あとで気がついたが,前田敦子も出ていた.天賦の才に恵まれているわけではないのだから,こういう雑巾掛けから女優への道を進むのは彼女にとってよいことだろう.ネット上には,『シン ゴジラ』を前田敦子主演 (避難民) と書いているコンテンツがあるが,まあ気にしないで精進してほしい.(大爆)

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コメント

ゴジラを深読みし、テクスト論的にゴジラにアプローチする、団塊、全共闘世代真っ只中の深刻なゴジラファン。
全共闘思考のゴジラ感。
日本のゴジラ「Gと日本壊滅」
A首相の指導のもと積極的な原発政策を続けている日本。
一方、世界的には原子力に頼らないエネルギー開発が趨勢となり、日本以外の国から原発はなくなる。
ある日、氷に閉じ込められていたゴジラ(2作目)が、地球温暖化により復活する。蘇ったゴジラは、そのエネルギー源を原発大国日本に求めるの当然の帰結であった。
かくして、エネルギー源を求めるゴジラのために日本は蹂躙され壊滅してしまった(18作目への序章)。
日本を壊滅させ、原発エネルギーが世界から消滅するとともに、ゴジラは静かに身を潜めるのである。

世界のゴジラ「Gと太陽系誕生」
〜G出現から世界蹂躙〜 → 対ゴジラ作戦で使用された水爆エネルギーにより、より強力な可変サイズのゴジラへ変身(その場所の最も高い建物より少し高いサイズで出現)また、空間転移するようになり世界各地に唐突に出現。
 ◯代目芹沢博士は、空間転移をするゴジラを「過去、現在、未来」へと移動する時間シーソーへ引き込ませる。やがてゴジラは、超新星爆発を起こすほどの時間エネルギーをためこんでしまう。
そのとき、ゴジラとともに時間転移していた◯代目芹沢博士が時間軸から飛び出すための引き金を引く。
と同時に宇宙のある場所で超新星爆発が起こり、太陽系の材料となる"かけら"を作り出す。

投稿: サトウ キヨシ | 2016年9月 6日 (火) 07時34分

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