慰霊の日
太平洋戦争最後の地上戦の行われた沖縄に,七十一年目の夏がまたやってきた.
沖縄戦の犠牲者らを悼む「慰霊の日」の今日,「沖縄全戦没者追悼式」が糸満市摩文仁の平和祈念公園で開かれた.
翁長雄志沖縄県知事の平和宣言全文を新聞各紙が掲載したが,その宣言に以下の文言がある.
《日米安全保障体制と日米地位協定の狭間で生活せざるを得ない沖縄県民に、日本国憲法が国民に保障する自由、平等、人権、そして民主主義が等しく保障されているのでしょうか。》
翁長知事だけでなくこれまでの全沖縄県知事が,日本国憲法が国民に保障する自由・平等・人権・民主主義を沖縄県民にも保障せよと要求してきた.
しかし安倍晋三首相は,今日の沖縄全戦没者追悼式では日本国憲法には触れず,基地負担のことだけを述べた.
今年の沖縄全戦没者追悼式のあとには,参院選が行われる.
最近,ニッポン放送などの一部マスメディアには,安倍政権による憲法改正は今回の参院選の争点ではないとする評論家が出演して見解を述べている.争点は経済政策だというわけだ.こういうコメントを放送するということは,このメディアがそういう見解を持っていることを意味している.
だがそうだろうか.
安倍晋三が首相である限り,国政選挙は常に憲法改正が争点である.
その点で,この参院選の争点には,憲法改正の国会発議に必要な三分の二の議席をめぐる攻防が焦点であるとする朝日新聞と毎日新聞の参院選報道は的確であると私は考える.
今度の参院選で初めて投票に行く若い人たちには,憲法論議は身近なことでないことだろう.一向に明るくならない景気のことに関心が高いかも知れないが,しかしまずは日本国憲法が大切だ.
沖縄県民斯ク戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ
沖縄県民に対する特別の配慮とは,琉球征服から沖縄戦に至るまで,常に本土のための存在として位置づけられてきた沖縄の県民にも日本国憲法を保障すること.それがこの国が戦後一貫して目を背けてきた課題である.
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