亜細亜鶏飯
私は炊き込み御飯が好きだ.
私の友人で,炊いた飯は白飯しか食べないという男がいる.彼は飯茶碗に盛るのは銀舎利と決めていて,しかもその真っ白な飯がおかずと混ざるのも嫌だと言う.
私は普通の関東人なので,納豆は飯の上に載せて食う.塩辛の類も同じように,茶碗の上の飯に箸で一つまみのイカの塩辛を載せ,それから飯と塩辛を一緒に口に運ぶ.
しかし件の白飯原理主義者は,食事が済んだときに茶碗に納豆のネバネバとか塩辛の汁が付着して残っているなんてのは生理的に許せないと言うのである.
納豆の場合は,まあその気持ちはわからぬでもないが,それが高じて炊き込み御飯もパエリアも炒飯も一切口にしないというところまで行くと,かなり偏屈だなあと思わざるを得ない.
さて炊き込み御飯だが,山下清画伯に倣って兵隊の位でいうと,大将は筍飯だと思う.
飯粒と筍とが見た目に半々くらいに炊くと,筍というものは筍飯のためにあるのだと思われるほどだ.
これに比べると松茸御飯は,例えれば東の正横綱であるが,松茸のお値段がお値段なので筍飯のような乱暴ができないから,作るときに爽快感があまりない.食べればおいしいけどね.
炊き込み大将や炊き込み横綱が登場したが,気品の点でこの二者を圧倒するのが茶飯である.
ここでいう茶飯は,おでん屋で食べさせる安直な醤油味の飯のことではない.
静岡県内の一部地域で薫風薫る五月に食べる煎茶の炊き込み御飯のことだ.
クックパッドでレシピを探してみたが,クックパッドの投稿者たちは基本的に「簡単」志向なので,御飯を炊くときに炊飯ジャーの釜に煎茶をパラパラと加える程度のことしかやっていないが,茶処の茶飯はもう一手間かかる.
予め煎茶を淹れて,これで炊飯するのである.
このときに昆布を入れたりすると茶の香りが損なわれるので,余分なことはしない.削り節はもってのほか.某煎茶製造業者のサイトに,油揚を入れたレシピが掲載されているが,そういうことは焙じ茶でやりなさいと言いたい.
で,炊きあがった茶飯は,仄かな灰緑色で,ほんのりと茶の香りが立つ.
これが炊き込み御飯界の女王であると私は断言する.ちょっとお高いものにつくが,この季節だけの贅沢であると思って,ぜひにとお勧めしたい.
前置きが長くなった.
今日の本題は「CookDo おかずごはん」で作るアジアン鶏飯である.最近テレビでCMをしているやつだ.
製造者の歌い文句は
《コクのある鶏だしと醤油をベースに、しょうがの風味を利かせ、隠し味にナンプラーをほんの少し加えた香ばしい味わいのソースです》
である.おいしいか否か.早速作ってみた.作り方はここ.
私は東南アジアの料理に疎いので,この商品の詳しいレビューは遠慮しておく.
ただし,炊いた直後は旨いと思ったが,一度に三,四人前もできてしまうので,翌日の朝に冷えたのをレンチンして食ったが,鶏油と生姜まみれの飯は,もういいですという感想を持った.話のネタに一度食べてみるのはいいかも知れない.ではまた.あー本文が短すぎ.
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