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2016年6月24日 (金)

ソウルフード (一)

 私の郷里の群馬県というところは,正直なところ,昔からあまり大した食い物がない.
郷土料理に「おっきりこみ」と呼ばれる煮込みうどんがあるが,県庁サイトが自ら

本県には「県外から来た人にアピールできる『名物料理』がない」との指摘があったことから、伝統食である「おっきりこみ」を再評価し、「おっきりこみ」を本県の名物料理として県民運動で県外に発信し、本県ブランドの創出につなげるため、平成25年4月1日にプロジェクトを立ち上げました。
これまでの取り組みにより、「群馬といえばおっきりこみ」が着実に定着しつつあります。引き続き、ぐんまの「おっきりこみ」を応援してください。

などと,わざわざ「群馬県おっきりこみプロジェクト」を立ち上げなければならない程度のものに過ぎない.
「おっきりこみ」は基本的に,うどんを自分の家で打って食う習慣のある農村家庭の料理であり,見た目からしてあまりに旨いようにも見えない垢抜けないものであったから,都市部住民は「あんなもの」と馬鹿にして食べなかったものだ.
 他県の人に食べさせたら,普通の煮込みうどんのほうが余程おいしいと言うだろう.
 そもそもなぜ,打ったうどんを打粉がついたまま煮込んで,どろどろにしてしまうのか.
 何か理由があるのか.
 ただの手抜きじゃないのか.正直に言いなさい.
 でも,ご苦労さまです.プロジェクトの成功を祈ります.

 これに比べると,伊香保町水沢観音門前町の名物である水沢うどんは,讃岐うどんや稲庭うどんと並ぶ有名なうどんである.一般に日本三大うどんの一つとされる.世界三大うどんだと言う人もいる.誰が言っているかというと私だ.
 ただし,讃岐うどんが香川全県下で作られ食べられている,いわば郷土食であることに比較すると,稲庭うどんと水沢うどんは毛色が異なる.

 秋田の稲庭うどんは,寛文五年に稲庭吉左エ門が製法を考案し,文政十二年に佐竹藩江戸家老疋田松塘より御朱印を拝領し,以後は稲庭吉左エ門以外に稲庭干饂飩の名称使用が禁じられたという由緒正しい高級うどんである.
 その正統を継ぐ現在の佐藤養助商店の製品は中元歳暮贈答品の大定番であるが,それ故これは秋田県民にとっては,讃岐うどんのような県民食とは言いがたい.土曜日のお昼に「冷蔵庫に何もないよー,仕方ないから稲庭うどんでも茹でて食うかー」というようなものではないと聞く.

 水沢うどんは確かにうまい.うまいが,昔からこれは水沢観音にお参りした善男善女が,門前町の店で,古里への土産話に食べて帰ったものであり,稲庭うどんとは別の意味でこれまた県民食とは言いがたいものだ.
 ではあるが,というかそれだけに,稲庭うどんと水沢うどんは.小麦粉と水と塩で打つという基本が現在もきちんと守られている.
 讃岐うどんの場合は,どの店あの店と名指しは避けるが,小麦粉以外に,「タピオカでんぷん」やらそれを原料にして製造される「加工でんぷん」(解説資料はここ) が使われることがあり,それに比べれば稲庭と水沢のうどんは,少数の製造業者が守ってきた昔ながらのうどんではある.なんでもかんでも郷土食,県民食がエライというわけではない.

 話が横に逸れた.群馬には焼きまんじゅうと焼きそばもある.
(続く)

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