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2016年6月28日 (火)

ソウルフード (四)

 いわゆるB級グルメブームは,日経の特別編集委員であった野瀬泰申氏らが仕掛けたもので,何の観光資源もないと思われていた地方の町でも,他のところにはない「食べ物」があれば,それで町おこしができることを示したものであった.

「食べ物」を観光資源にするということは,例えばただの焼きそばに「○○焼きそば」(○○は地名) と名前を付けるところから始まる.
 その成功例 (参照;Wikipedia【B-1グランプリ】) は数多いが,ブームに便乗しただけの偽物もまた多い.

 私の郷里の群馬には「太田焼きそば」という太田市の地名を冠にした焼きそばがある.
 その公式サイトには次のような文言が書かれている.

「伝統の味」「秘伝ソース」同じものは二つとしてない。太田焼きそばのれん会
太田焼そばの特徴は、店により、味付け、麺、トッピング等がそれぞれ違うことです。

 店により,味付け,麺,トッピング等がそれぞれ違うのであれば,太田焼きそばには,他の例えば富士宮焼きそばと同じような意味での,「こういうものを太田焼きそばと呼ぶ」という特徴がないことになる.すなわち太田焼きそばの特徴は「特徴がないということ」になり,日本語として意味不明だ.
 この文章を書いた人間は頭がおかしいのかも知れないが,それでは身も蓋もないから好意的に解釈すれば,つまりそれは太田市内には焼きそばを食わせる食堂がたくさんあるということだけのことであり,それ以外の意味はない.なんだそれは.つまらん.ほんとーにつまらん.(← ちなみに,ここんとこの台詞は,是非とも故大滝秀治の口調でお願いしたい)

 市内に焼きそば屋が多いのは,まったくもって飲食店側の事情であって,食べる側のあずかり知らぬことである.公式サイトに《太田に焼そばが広まったのは戦後》とあるように,別に伝統的な郷土料理でもなんでもない.だから要するに私たちが欲しいのは「どこの店の焼きそばがうまいか」という単純な情報なのだ.全店みんなバラバラの味だという点に何か付加価値でもあるかのように宣伝する太田焼きそばのれん会は,何かを勘違いしているとしか思えぬ.
(続く)

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