客観性は要らない
このあいだ私の娘と雑談していたら,ある店で食事をしていたときに○○さんらしい人を見かけた,と彼女が言った.○○さんというのは,うちのエリアの「食べログ」の「クチコミ」で有名な人である.娘から聞いたところでは,彼のレビューは女性たちにかなり信頼されているらしい.食べログは匿名の投稿だけれど,有名人は食事中でもそれとわかるオーラを放っているのだろうか.
その○○さんとは別の人だが,思考回路が私にはよく理解できない人がいる.
仮に◇◇さんとする.
食べログにおける◇◇さんのレビューの冒頭は,例えばこんな具合だ.
《じつはここの店の前に△△ (当ブログ筆者註;店の所在地を明記している) の▲▲ (同左註;店名を明記している) に伺いましたがやっちまいまして。。次は絶対しくじれない思いがあり、ウォーキングを兼ねてこちらへやってきました。》
《やっちまいまして》が唐突すぎる.一体何を《やっちまいまして》なのか読んだ者には皆目わからないのだが,◇◇さんは食べログを自分のブログと勘違いしていて,自分のレビューを読む人は《やっちまいまして》が何を意味しているか理解できるはずだという思い込みのもとに書いていると思われる.で,《やっちまいまして》だが,無断で料理を撮影するなどが原因で店側と何かトラブルになったのだろうか.《次は絶対しくじれない思いがあり》もすごい.飲食店へ行くのは,食事よりも食べログに投稿するために行くのだという強い思いが伝わってくる.消化にすごく悪そうだなあ.
上の◇◇さんは極端な例だが,自分勝手な造語を用いて主観的なことを書いているレビューはよく見かける.それで「レビューに客観性がないと他の食べログユーザーの役に立たないじゃん」と思って,遅ればせながら「クチコミのガイドライン」を読んでみた.そして私は自分が食べログについて今まで誤解していたことを知った.ガイドラインには次のように書かれていたのである.
《お店で実際にお食事されたユーザーによる主観的な感想や評価をご提供いただいた写真等とともにインターネット上に公開することで、お店選びの参考となる信頼できるレストランガイドとして多くの皆様にご活用いただくことを目的としています。》 (下線は当ブログ筆者が付した)
食べログの運営者は《主観的な感想や評価》のほうが,客観的な感想や評価よりも《レストランガイドとして多くの皆様にご活用》してもらえると主張しているのだ.ブログに書けよと言いたくなるような投稿が多いのは,そういうわけだったのかと,腑に落ちた.
余談だけれど,食べログのクチコミガイドラインには《衛生管理面のクレームはしかるべき当局へご連絡ください》と《お店の法律違反・契約違反に関する内容はしかるべき当局または関係者へご連絡ください》と書かれていて,この種の投稿は禁止されている.
私の生活圏内に,非常に不潔な飲食店があり,集団食中毒を起こして報道されたこともあるのだが,食べログの評価は非常に高い.どうしてかなと思っていたら,衛生面のことは投稿禁止事項だったのだ.なるほどねー.
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