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2016年4月23日 (土)

福島観光点描 (二)

 観音寺川の土手には,茎の背が低いタンポポがたくさん咲いていた.それを見た老婦人 (推定年齢七十六歳) が,他の老婦人たち (同推定年齢六十代) に「あーらこの辺はセイヨウタンポポばっかりなのねー」と言いながら,花をひっくり返して総苞片をみんなに見せ,「ここが反り返っているのが外来種のタンポポなんですよー」と解説した.
 私が「でもセイヨウタンポポにしては背が低いですね」と言うと,「いいえっ,セイヨウタンポは茎が短いのが特徴なんですっ」と語気を強めた.
 どうやらこの人は,総苞片の形だけをもって,その他の形質がどうあろうと強引にタンポポとセイヨウタンポポの二種類に勝手な分類をしてしまう人のようであり,私が何か言うとそれ以上に嘘解説を始めそうな気配がしたので,やめておいた.観光ツアーだもんね.

 観音寺川の土手を散策したあと,やはり猪苗代町にある観光名所,旧有栖川宮邸「天鏡閣」へ行った.私たちの一行以外の観光客は少なかった.
 邸内には中を案内してくれる係の女性がいて,この天鏡閣はルネサンス様式ですと解説した.Wikipedia【天鏡閣】にも《一部3階建てのルネサンス様式を巧みに取り入れた和洋折衷の建築様式》とあるが,天鏡閣は板壁なので,どこがルネサンスなのか素人の私にはわからなかった.

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 一度しか行ったことがないけれど,アリゾナ州の州都フェニックスには,アメリカ建国当時のアーリーアメリカンな建物が何棟も保存されていて,天鏡閣の白い板壁とバルコニーはそれを思い出させた.

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 ここの庭の桜も見頃に咲いていた.庭には軽食売店があり,コロッケレーなるものを売っていた.食べそびれてしまったので,あとで調べたらカレーコロッケのことらしい.カレーはケレーと言うらしく,コロッケ+ケレー=コロッケレーのようだが「有栖川宮が好んで食べたことにちなむものです」とかの由緒正しい言葉かどうかが,調べてもわからない.
 カレーコロッケは私の好物の一つで,スーパーの惣菜売場で五ついっぺんに買って食ったりするのだが,デパート地下の惣菜店ではみかけないような気がする.
 山下清画伯の言葉によるとカニクリームコロッケは兵隊の位でいうと大将で,カレーコロッケは二等兵だという.だからデパートにはないんだな,なるほどねーと思った.嘘.
 しかし有栖川宮が好んで口にされたとすれば,カレーコロッケは実は兵隊の位で近衛師団長なのかも知れず,今度から直立不動で食べなければいけないわけで,それはちょっと困ったことになったなあと思った.嘘.

 高田純次は揚げ物,とりわけハムカツが好きで,「じゅん散歩」のロケで肉屋をみかけるとハムカツを買って食うのであるが,日刊ゲンダイDIGITAL によると,揚げ物を食べるのがつらくなってきた高齢視聴者に「じゅん散歩」が不評だという.高田純次がハムカツを好きなのが気に入らないって,わけわかんないこと言うなあ.無理矢理なでっちあげ記事のような感じだが,まあいいや.
 余談だが,Wikipedia【カツ】には

ハムカツ - スライスしたスパム缶詰や、豚肉のハムを、油で揚げたもの

なんてことが書いてある.高齢者各位におかれては既に御案内の如く,これはあやまりである.
 ハムカツは安物の畜肉ソーセージを揚げたフライである.
 沖縄を除く各地方にスパムが普及する遥か以前から,庶民にハムカツは親しまれてきた.それを言うならせめて「スライスしたランチョンミート」と言え.
 高田純次はもちろんそれを知っているから,昭和の由緒正しいハムカツを売っている肉屋の旦那には「これ,これ,ハムカツはこれでなくちゃ」と言う.視聴者から文句が出ても,ハムカツを食い続けて,純正ハムカツはこういうものだということを放送で広めてほしいものである.

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 昭和天皇と皇后は大正十三年,新婚の一夏を天鏡閣で過ごした.後に昭和三十六年にも,当時は迎賓館として使われていた天鏡閣に宿泊した.その際の御製歌碑が庭にある.歌碑を建てるほどの歌とは思えぬが,そこはまあそういうことで.

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(続く)

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