少しの心配り
週刊文春(3月24日号) の巻頭特集《5年目の3.11》に,《不肖・宮嶋が見た 被災地に差す希望の光》と題した写真ページがある.これは,撮影した写真家の宮嶋茂樹氏が文も書いているのだが,文章の冒頭を引用する.
《五年前の三月十一日、午後二時四十六分。日本人なら、誰もがどこで何をしていたか覚えているはずである。》
昨日書いた記事《雑多感想 (3/16) 》で,山本おさむ作のコミック『今日もいい天気 原発事故編』(双葉社;2013/2/12,Kindle版) を紹介したが,あの未曾有の災厄のあと,自身が被災した漫画家や,日を置かずに現地取材に入った漫画家たちが,いくつかの記録あるいは証言集的な作品(*) を残した.
それらを読んでいると,震災発生当日の記憶が曖昧だという証言がみつかる.あまりに現実離れした光景を見た精神的ショックが記憶の再生を妨げているのではないかと思われる.
宮嶋茂樹氏は,根は善人なのだろうが多分に軽率かつ国粋的なところがあり,それが《日本人なら、誰もがどこで何をしていたか覚えているはずである》と書かせたのだろう.被災地の人々に対するほんの少しの心配りを望む.
(*)
『わたしたちの震災物語〜ハート再生ワーカーズ』
(井上きみどり;集英社,Kindle版)
『漫画で描き残す東日本大震災 ストーリー311』
(ひうらさとる他;角川書店,Kindle版)
『漫画で描き残す東日本大震災 ストーリー311 あれから3年』
(ひうらさとる他;角川書店,Kindle版)
など.
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