画家ドガについて (四)
さて『ヘンタイ美術館』の内容だが,山田五郎を美術館長に見立て,コピーライターこやま淳子を相手に公開の四回の対談を行い,それを基に構成されている.
アマゾンの『ヘンタイ美術館』商品説明に
《美術家たちの生涯やビジネスの方法、人間関係のあり方、はては性志向まで。わかりやすくカジュアライズした美術本は数あれど、「ヘンタイ」という誰もが興味を抱かずにはいられない切り口により、最後まで飽きずに読み進めることができます。》
とあるが,対談部分の字数が少ないためもあって《最後まで飽きずに読み進めることができます》というより,すぐ読み終わる.
しかしそれじゃ内容が薄いかというとそうでもない.
この対談で取り上げられている画家は,レオナルド・ダ・ヴィンチ,ミケランジェロ,ラファエロ,カラヴァッジオ,ルーベンス,レンブラント,アングル,ドラクロワ,クールベ,マネ,モネ,ドガであるが,それこそ一昔前の,何言ってんだかわからない小林秀雄的評論と異なり,あるいは絵画の技術的批評でもなく,山田五郎館長は画家の人間性とか性格とか,その画家がなぜそんなものを描いたのか,などについて説明をしていく.例えば「ドラクロワと中二病の仲間たち」(p.175),「19世紀の島耕作」(p.180) の如き評言を使いながら.
そして山田館長はレオナルド・ダ・ヴィンチ,ミケランジェロ,ラファエロ,カラヴァッジオ,ルーベンス,レンブラント,アングル,ドラクロワ,クールベ,マネ,モネらは「ヘンタイ」という切り口で批評しているが,ドガは別格であるとし,「現代でも立派に通用する本物の変態性」という.
(続く)
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