ここに幸あり
大津美子さんは,昭和三十年代の日本歌謡史に燦然と輝く星の一つであるが,現在はどうしておられるのだろうと思っていたら,昨年がデビュー六十周年(*) で,記念に新曲「夜空に光るあの星よ」をリリースされたと新聞で知った.
〈(*) 昭和三十年七月,キングレコードから「千鳥のブルース」でデビュー.同年九月「東京アンナ」でブレイク〉
彼女のヒット曲は多くない.と言うよりも,昭和三十一年に発表されて同三十三年に爆発的なヒットとなった「ここに幸あり」(作詞;高橋掬太郎,作曲;飯田三郎) 一曲で昭和歌謡史に名を刻んだと言っていい.戦後すぐの流行歌には,現在のジェイなんとかだの演歌だののように量産されてただちに消費されたりはせずに,歌としての格調の高さによって六十年余にわたり人々の記憶に残り続けたものが多いのだが,その中で「ここに幸あり」は,映画の主題歌として作られたのち,草創期のテレビがヒットに貢献したという点で他の歌と少し違っている.
映画主題歌としての解説は著名ブログ《二木紘三のうた物語》に付け加えるところはないが,惜しむらくは結婚披露宴をテレビ放送するという番組「ここに幸あれ」(昭和三十四年~,フジテレビ) の主題歌にもなったことが抜けている.よく似た趣向の番組がTBSで先行したのだが,フジテレビのほうが高齢者の記憶に残っているであろう.それは大津美子「ここに幸あり」があったればこそである.
さてその「ここに幸あり」は,大津美子さんが若いときから現在に至るまでの,いくつもの歌唱が YouTube にアップされているので,年代順にピックアップしてみる.
(一) 《ここに幸あり 》
(二) 《ここに幸あり(1961年再録音盤)/大津美子 》
(三) 《ここに幸あり 大津美子 》
(四) 《AEF563 ここに幸あり 大津美子③ 》
(五) 《ここに幸あり 大津美子 》
(六) 《AEF561 ここに幸あり 大津美子① 》
上記の (一) にはキャプションがないが,動画画面に書かれているように最初の録音盤と思われる.(二) は大ヒットとなった時に再録音されたシングル盤.(三) はその後,「ここに幸あり」が紅白歌合戦などで親しまれた頃の歌唱である.(一), (二) はCDに入っていない貴重な音源なのではなかろうか.あればぜひとも欲しいのであるが.
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ここに幸あり (補遺) (2016年3月23日掲載)
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