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2016年2月21日 (日)

アイナふくしま (補遺三)

【補遺三】

 東日本大震災被災地の多くは,神戸のように,やがて復興するであろう.そして震災の被害を直接受けなかった地方の人々は,震災以前と同じように原発による電力の恩恵を享受していくであろう.原発事故のこともたまにしか思い出さなくなるだろう.
 しかし福島県は東電原子力発電所が重い足枷になっている.例えば今も放射能汚染水は増え続けている.汚染水をどうするのかの政府内コンセンサスすらまだない.事実,原子力規制委員会の田中俊一委員長は先日(2/13),福島第1原発を視察したあと,汚染水の増加抑制策とされる凍土遮水壁を視察したが,これで汚染水問題が解決はしない,凍土壁に関心はないと述べた.現内閣は,福島原発対策を今後どうしていくか,そのコンセンサスをとろうともしていない.原発事故に関する基礎知識もない人物が環境大臣に任命された事実を見れば,総理大臣はまるで原発事故がなかったことにしたいかのようだ.そして平均的な日本国民は,現内閣を支持しているのだ.
 そう遠くない時期に,被災者への生活支援は打ち切られるだろう.現在行われている除染作業すらも,効果がないからとして終了になるだろう.福島の復興はあの日から一歩も前に進んでいないのに.
 国民全体の意志として,現内閣を支持する多数派の国民が「原発事故はなかったことにする」と言うのであれば,正直なところ,故郷を追われた人々のために,被災地外に住む私に何ができるのかわからない.せめて良心に基づく報道くらいは見落とさずにいたい.

[連載記事]
アイナふくしま
アイナふくしま (補遺一)
アイナふくしま (補遺二)
アイナふくしま (補遺三)


[資料]
 福島原発事故「4年半」の現実(上)国が進める「棄民政策」
 福島原発事故「4年半」の現実(下)「除染ゴールド・ラッシュ」の果てに
[報道サイト]
 NHK 東京電力 福島第一原発事故関連ニュース
 朝日新聞 震災特集
 読売新聞 震災特集
 毎日新聞 震災特集
[その他]
 福島原発被害弁護団
 原子力規制委員会

(アイナふくしま 以上)

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