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2016年1月15日 (金)

江ノ島西浦写真館

 米澤穂信『真実の一○メートル手前』を読み終えたところに,三上延『江ノ島西浦写真館』が配達されてきた.
 前の記事《恋累心中 》で,《三上延の『江ノ島西浦写真館』は,レビューの評点は無視して著者買いだ》と書いたのは,もちろん私が『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズの読者であるからだ.
 『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズが大いに売れたのはヒロイン栞子のキャラクターが「立って」いるからだと思われるが,それに比較すると『江ノ島西浦写真館』のヒロインである繭は少し地味である.作者の語り口もいささか暗い.トリックは古典ミステリーの雰囲気がする.
 ではあるが,忘れてしまいたいと繭が思っている過去の自分と青春に向き合っていくストーリーには「ああ私にもそんな過去がある」と思い当たる人はいるのではないか.それを千街晶之は《ビターさが印象的》と文春のレビューに書いた.
 『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズはそろそろ終わりに近づいている.三上延のファンとしては,暗めのヒロイン繭を連作の主人公にしてもらいたい気がするが,どうであろうか.

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