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2016年1月21日 (木)

猫本と蕎麦 (三)

 蕎麦屋「あいづ」の品書きは,文具店で販売されているコクヨかキングジムあたりのメニュー用ファイルに,グランメニューが綴じられていた.「冷たいお蕎麦」はこれこれ,「温かいお蕎麦」はこれこれ,などと書かれている極普通の品書きである.
 この品書きとは別に,パウチされた紙一枚に酒のリストが書かれている.
 酒は各種取り揃えてあるようだったが,真昼の蕎麦屋で本腰を入れて吟味した酒を口にするのは少々恥ずかしいものがあるからして,「あ,酒はなんでもいいんです,わたし地酒とか詳しくないんで,昼間だし,テキトーでいいです」という言い訳に代えて,菊正宗一合を頼んだ.

 肴は,品書きには天ぷら盛り合わせや刺身盛り合わせの他に,鴨焼き (八百円),出汁巻玉子 (五百円),天抜き (五百八十円) など,あるいは居酒屋メニューであるアサリ酒蒸しなども書かれていたが,「あ,おつまみはなんでもいいんです,わたし酒肴とか詳しくないんで,昼間だし,テキトーでいいです」という言い訳に代えて,板わさ (三百円) を頼んだ.

 若い女性店員さんが「かしこまりました」と厨房に下がったあと,私は『江の島ワイキキ食堂1』を開いて読み始めた.
 作者である岡井ハルコさんの名前は先程の有隣堂猫本コーナーで初めて知ったのだが,『江の島ワイキキ食堂』シリーズが目立つように平棚に陳列されていたし,本の帯には「増刷できました」とあるから,きっと人気作家なのだろう.そして絵はなかなか達者なのに,なぜか主人公の猫であるオードリーが猫らしくない.あからさまに言うとヘタである.これではジバニャンみたいではないか.と思ったが,読み進めるとオードリーは人語を発し三百年も生きている妖怪という設定だった.だとするとむしろジバニャン似でよいのだろう.妖怪のせいなのね,そうなのね.

 さて読み始めて程なく,「お待たせいたしました」と酒が届いた.
(続く)

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