« 猫本と蕎麦 (三) | トップページ | 猫本と蕎麦 (四) »

2016年1月22日 (金)

カマキンにお別れを

 神奈川県立近代美術館鎌倉 (鎌倉館) の閉館が迫ってきた.
 神奈川県立近代美術館の今後は,鎌倉別館と葉山館での二館で運営していくというのだが,鎌倉館がなくなるのはいかにも名残惜しい.
 それで昨日,いま開催中 (2015年10月17日~2016年1月31日) の『鎌倉からはじまった。1951-2016 PART 3:1951-1965 「鎌倉近代美術館」誕生』へ足を運んだ.

20160121c

 常識的には初詣は元旦にするものだろうけれど,私は鶴岡八幡へ元旦どころか三が日にも出かけたことがない.人混みが嫌いというわけではないが,あの混雑に身を置くのはいささか疲れるからである.
 ま,初詣は一月中にお参りすればいいんじゃないかと思う.
 さて藤沢駅南口から江ノ電バスに乗り,十一時に鎌倉駅東口に到着.バスを降りて小町通りを歩き,北鎌倉からのバス通りに出て右折.段葛の北端,八幡宮前丁字路から境内に入る.
 鳥居のすぐ左にある喫茶「風の杜」に入り,ココアフロートを注文した.かなりハイカロリーと思われるので,これを昼飯の代わりとする.そしてこれから少し歩くことになるので,腰痛を用心してロキソニンを一錠飲んだ.
 隣のテーブルでは白髪,銀髪の御婦人三人連れが楽しげに会話していた.
「わたしは若いときにジェームス・ディーンにあこがれましてね,ほほ」
「あーら わたくしもそうでしたわ,ほほほ」

 「風の杜」を出て,旗上弁財天にお参りし,政子石に安産を祈願した.あー爺さんがそういう祈願をしてはいけません.
 それから本宮へ.(境内案内図) 

20160121b
 本宮の賽銭箱に百円を投じて今年一年生き延びられますようとお願いし,引いたおみくじは吉だった.若いときは凶 (鶴岡八幡は正月でも普段と同じ確率で凶が出る) を引き当てるとスキャナーで画像に保存して喜んでいたものだが,この歳になるとそうもいかない.朝に目覚めては今日生きてあることを神に感謝し,夕にはまた明日も生きてありたいと仏にお願いする毎日である.よかったよかった.ではまた.

 違う.話は鎌倉館だ.

20160121d
 八幡宮境内に観光客の姿はまだ多くなかったが,鎌倉館は入館券売窓口に人々が列をなしていて,列の後端から窓口まで進むのにおよそ三十分かかった.平日午前中でこれだから,今週末と最終日はすごく混むのだろう.
 今回の展覧会『PART 3:1951-1965』の目玉は松本竣介立てる像』と古賀春江窓外の化粧』と古賀の絶筆『サーカスの景』のようだが,他に梅原龍三郎,佐伯祐三などの作品が展示されている.村山知義の絵もあって,これは初めて観た.
 なかなか見応えのある展示であったが,この鎌倉館は鶴岡八幡参拝のついでに立ち寄る人も多く,絵を前にした年輩の婦人がたのゆるい会話が微笑ましい.

松本竣介『立てる像』の前で高齢の御婦人がた;
「ねえ,このひとがはいてるのって,イージーパンツっていうの?」
高村光太郎『上高地風景』の前で老夫婦;
「あ,おとうさん,おとうさん,高村光太郎って聞いたことあるわよ」

 画家の名を知らずとも,絵を観るのはよいことだと思う.

 鎌倉館を出てから段葛を下り,袋小路にある喫茶店で一休み.モカ・マタリがおいしかった.それから豊島屋で干菓子を買い,再びバスで藤沢へ.
 十六時に藤沢駅南口に帰着.そのまま磯丸水産に行き,夕食はスルメイカの姿造りで薩摩白波のロックを二杯.一日何事もなく,良い日であった.また明日も良い日でありますようにと薩摩白波を飲みながら仏様にお願いしたのであった.

|

« 猫本と蕎麦 (三) | トップページ | 猫本と蕎麦 (四) »

冥途の旅の一里塚」カテゴリの記事

コメント

2009年に神奈川県立近代美術館鎌倉別館に「伊庭靖子展 - まばゆさの在処(ありか)」を見に行きました。あれからもう7年近く経つのですね。

投稿: warbler | 2016年1月22日 (金) 12時00分

 神奈川県立近代美術館が鎌倉,鎌倉別館,葉山の三館運営になったのはもう十三年前のこと.葉山館の紹介に「最新の美術館施設となっています」とありますが,それが十三年前.飛ぶ矢のごとき年月であります.
 このところ私の周辺では七十歳過ぎてすぐ亡くなる人が多いです.私も早ければあと五年.それを思うと,あれもこれも早く捨てて身辺整理をと思うのですが,なかなかその気になれません.

投稿: 江分利万作 | 2016年1月22日 (金) 13時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: カマキンにお別れを:

« 猫本と蕎麦 (三) | トップページ | 猫本と蕎麦 (四) »