O・ヘンリーと蕎麦 (三)
有隣堂の文庫フロアは,入口から奥まで棚が平行に設置されており,各文庫は出版社別になっている.その新潮文庫のところに『魔が差したパン O・ヘンリー傑作選III』があった.
病院では,採血や心電図をとるときにちょっとずつ待たされ,診察のときに待ち,会計でまた待ち,という具合であるから,短編集がよいかも知れない.それにO・ヘンリーはなんだか懐かしい.そう思って『O・ヘンリー傑作選』を買うことにし,どうせなら傑作選Iからにしようと考えたのだけれど,あいにくそこには傑作選Iはなかった.
それで,もしかしたらと思って売れ筋の文庫のコーナーに行ったら,ちゃんと傑作選I,II,IIIが揃っていた(*).
揃っていたのは結構なのだが,「スター・クラシックス」以前に出版された『O・ヘンリ短編集』(新潮文庫;1969年) の (1),(2),(3) も並べられていた.
うーこれは困った.困ったが,これで迷っているようでは,岩波文庫やちくま文庫,さらには講談社の英語版文庫まで選択肢に入ってきてしまう.最近の翻訳のほうが現代語としてこなれているだろうと,えいやっで『賢者の贈りもの O・ヘンリー傑作選I』を持ってレジに行った.
さて有隣堂を出て藤沢駅から電車に乗り,早速読書開始だ.
『賢者の贈りもの O・ヘンリー傑作選I』はタイトル通り「賢者の贈りもの」から始まっているが,この「賢者の贈りもの」はO・ヘンリーの作品中,読後の後味の悪さでは屈指のものだ.
(続く)
(*) 有隣堂は割と頻繁に店内ディスプレイを変更する.例えば少し前に紹介した猫本コーナーはもうなくなり,現在はリュックやバッグ (有隣堂はそういう物も売っているのだ) が展示されている.
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