コロンブスの焼きそば
私は麺類が好きで,カップ入りインスタント麺や袋入りインスタント麺,冷凍うどんなどを台所に常備している.茹でた野菜,冷凍てんぷら等々も冷蔵庫に欠かさず蓄えており,これを麺類にトッピングして変化をつければ食い飽きることはない.
これらの長期保存可能麺と比較して,生麺や蒸し麺は保存性が悪くて困る.
家族が多ければ三食入りの「マルちゃん焼そば」なんか一回の食事で食べてしまうだろうが,老人には量が多いのである.
そこでインスタント焼きそばが重宝するのであるが,しかし蒸し麺の食感に比べると袋入りインスタント焼きそばは,ロングセラーにして日本焼きそば界における孤高の独立峰「日清焼そば」でも残念ながら,やはり一段落ちる味と言えよう.
ましてやカップ入りインスタント焼きそばは,「ペヤング」だろうが「日清焼そばUFO」であろうが,これらは「焼きそば」と称してはいるが麺の食感の点で「焼きそば」とは別の食べ物であるとしか言いようがない.
その原因は,調理温度の低さにある.容器に注いでから次第に低下していく湯温のせいである.「焼く」ではなく「ふやける」なのである.
ならば試みに容器から「日清焼そばUFO」を取り出し,「日清焼そば」と同様に調理してみられよ.
調理者は,グンと向上した食味をそこに発見するであろう.
と,ここまではよく知られたことである.
しかし「日清焼そばUFO」の容器から中身の麺を取り出してフライパンで調理するなら,そもそも袋入りの「日清焼そば」にすればよいのである.そのほうが省包装資材で環境負担が少なく,栄養的には野菜やハムなども入れて作れるから,はるかに優れている.
そういうわけで,「日清焼そばUFO」をフライパンで作るのは,理論的には食味向上が望めるが実行する価値のないことだったのである.
が,しかし最近,カップ入りインスタント焼きそば界に衝撃が走った.
容器から麺を取り出してフライパンで調理するのではなく,電子レンジで調理するのである.
そのやり方はこれ.
言われてみればコロンブスの卵.なるほどと感心した.(末尾に註)
ただし,容器のフタを取って電子レンジに入れる際に,冷蔵庫にストックしてある茹でキャベツとか茹でもやし,ハムの切り落としなどを乗せてから加熱調理すれば,オリジナルよりもさらに美味しい焼きそばができあがることを追記しておきたい.
これで大晦日を待たずに今年の「輝け!日本即席麺大賞 焼きそば部門特別賞」は確定したも同然である.よかったよかった.
(末尾註)
クックパッド投稿者はこんなことを書いている.
《昔、インスタントラーメンを作っていた際にふきこぼれを防ごうとして水を足した。この時、麺が透き通ったのです。今から思えば「びっくり水」ってやつですね。この原理を応用して、市販のカップ焼きそばを「びっくり」させてみたところプリプリになったのです》
しかし,これは調理科学的には明らかな誤りである.余計なことは書かないほうがよろしい.
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