やっぱり猫が
昔々『やっぱり猫が好き』という毎週一話完結の人気テレビ番組があった.放送されていたのは昭和六十三年から平成三年までである.ボックスDVDが今も販売されているし,YouTube に動画がたくさんアップされていて,今でも観れば爆笑のコメディーである.
出演者は もたいまさこ,室井滋,小林聡美の三人が演じる恩田三姉妹(*1) で,タイトルは『やっぱり猫が好き』だが,特に猫が話の中心となるわけではない.それなのになぜ『やっぱり猫が好き』なのだろうと,当時から不思議に思っていた.
昨日の記事に書いた群ようこの『ビーの話』(ちくま文庫版) 読了.
この「猫物語」は,シャム猫のビーと,ビーの元の飼い主のアリヅカさん,現在の飼い主のモリタさん,そしてモリタさんの隣の部屋にすんでいる群ようこが主な登場人物である.
そして文庫の巻末にはこの三人の鼎談が掲載されていて,ここでアリヅカさんとは安藤由紀子さんで,モリタさんは もたいまさこであることが明かされる.
安藤由紀子さんはなぜか Wikipedia【やっぱり猫が好き】のスタッフ一覧に名前の記載がないのだが,次にあげる巻末鼎談からの引用からすると,『やっぱり猫が好き』の制作関係者と思われる.
《安藤 小さいころから怒ったことなかったよ。とにかく人を嫌うということがなくて。『やっぱり猫が好き』という番組名も、ハタノ(*2) さんと私が、うちで話してて、「あとはタイトルなんだよねえ」と言ってたときに、人好きなビーがチョロチョロッと来て、それで「あ、猫……猫が好きでいいんだよね」って決まったのよ。
もたい あの番組のきっかけになった猫が、いまや老いてたれ流し状態という……涙を誘う物語です(笑)。》
これでようやく,あの番組のタイトルがなぜ『やっぱり猫が好き』なのかという,三十年近く前の疑問に答えが得られた.すとんと腑に落ちるとはこのことだと私は思った.
(*1) 放送の最初の頃,姉妹の姓は「恩田」ではなく「安藤」であったことと関係があるかも知れない.
(*2) 演出家の波多野健と思われる.
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