時には (続)
いや,話は昨日のNHK山形のニュース番組中に気象予報士の岡田さんが泣いてしまった件の続きだ.
この事件でスイッチヤーという言葉を初めて知った.天気予報などの画面を切り替える操作を行う担当者のことだが,この番組のスイッチヤーは,岡田さんが話し始めると,話の流れにお構いなしに画面を切り替えてしまう.これに何とかついていこうとした岡田さんであるが,あまりのことにとうとう泣きだしてしまったというわけである.
そしてカメラは岡田さんが泣いているところを晒し者として映すのであるが,原稿を置く小さな台の上には,混乱した岡田さんの気持ちそのままに原稿が散らばっていた.
公共の電波を使って,どうしてこのようなことが行われたのか.
一人のスイッチヤーの意志では実行できるわけもなく,当然NHK山形のニュース番組制作責任者の承知のもとに行われたと思うしかないだろう.
会社の中にもイジメは多々ある.
ただしその社員イジメを顧客の前で行う会社は異常である.
私は若い頃,勤めていた一部上場会社のS専務 (後にその会社の社長と会長を歴任し,業界団体の会長にもなって旭日中綬章〈昔でいうところの勲三等だ〉を得た) から命じられた違法行為 (ばれれば業務上傷害罪で刑務所だ) の実行を拒み,ために研究所の室長のポストを追われて地方の工場勤務になった経験がある.
このSという野郎は社長在任中に,東南アジアからある食品添加物を食品と偽って違法に輸入するなど悪事の限りを尽くしたのであるが,それでも馬鹿ではないから,顧客の前で私を辱めるなんてことはしなかった.全社の管理職を集めて行った社長訓示の際に私を名指しで給料泥棒と呼んだり,社長の部屋に呼ばれて行くと「辞める決心はできたかね」とネチネチいびられたりはしたが.
NHK山形は放送局まるごと,何をしたら世間に悪事がばれるかもわからぬほど低能であるらしい.
[註]
(1) S経営者の会社はその後,業界再編成の波の中で吸収合併されて消滅した.あれだけ違法行為を働いてもなお業績不振だったのだから,どれだけ無能だったのだろう.
皮肉なことであるが,会社が吸収合併で消滅したあと,吸収した会社側の人たちによって私はSの陰湿なイジメから救い出されたのであった.世の中,悪いことばかりではないなあと,その時に思ったことである.岡田さんはこの件で番組降板だろう.今後の人生にも大きな影響が生じるだろう.しかし世の中,悪いことばかりではない.涙を拭いてがんばれ.
(2) 当時の社会には,企業犯罪を内部告発するという概念がなかった.私にも内部告発するということは思いもつかなかったが,それが今では悔やまれる.
企業犯罪の内部告発が世間に認知されるようになったのは平成十四年以降であり,Wikipedia【内部告発】によれば最初は次の事件のようである.
《告発者に対する制裁・報復
日本国内において、告発者に対して組織が制裁・報復行為(不利益処分としての不当懲戒処分)をした実例を例示する。
1974年にトラック業界の闇カルテルを告発したトナミ運輸元社員(2006年9月20日定年退職)串岡弘昭が、告発が匿名されなかった為に、32年間も閑職しか与えられなかった。串岡はこの処遇を内部告発に対する不当な報復行為として、2002年1月にトナミ運輸に対して訴訟を起こし、2005年に勝訴判決を得ている(富山地判平成17年2月23日)》
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