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2015年12月 9日 (水)

牽強付会の説

 読売新聞(Yomiuri Online) に《濃い「2B」や「B」主流に…鉛筆》と題した記事が掲載されている.
 この記事だけ読めばどうということのない内容であるが,どうも既視感があるので調べてみたら,今年の五月十四日に放送されたNHKテレビ『所さん!大変ですよ』と似たような趣旨 (昔に比べると今の子供たちの筆圧が極端に低下している) の内容である.
 ただし私はこの回の『所さん!大変ですよ』を,PCデスクの横においてあるテレビで放送されていたのを見る気もなく「ながら見」していたので,確認のために改めてネットにある動画をきちんと見てみた.
 そして驚いたのが,テレビ画面に映し出される子供たちの鉛筆の持ち方である.ことごとく鉛筆を紙に対して垂直に立てて持っているのだ.ひどいのになると,鉛筆の芯の先が自分の方を向いてしまっている.
 大人でも子供でも,鉛筆の持ち方が異常であることと箸が正しく持てないことは同じことを意味している.箸を正しく持てない者は鉛筆や万年筆を正しく持てないから,必然的に字が下手なのである.今の日本では,字のきれいな人と箸遣いが美しい人は本当に少数派になってしまったのであるが,小学校で教師が鉛筆の持ち方を指導しない (『所さん!大変ですよ』に登場した女性の小学校教師は,自分の生徒たちが鉛筆で書いているところを目で見ておらず,子供たちが使っている鉛筆の硬度を知らなかったという.授業中に何を見ているんだこの教師は) し,たぶん教師も正しく鉛筆を持てないだろうから,これは情けなくも当然の事態なのであろう.
 それはともかく問題は,『所さん!大変ですよ』の制作担当者が,もしかすると異常な鉛筆の持ち方を「正しい持ち方」だと思っているのではないかという心配があることだ.そうでなければ,あんなに何度も異常な鉛筆の持ち方をアップで撮影はしないだろう.

 ところで,字を書くのが仕事の作家などは,書痙を防ぐために芯の軟らかい鉛筆やペン先の軟らかい万年筆を好むという.
 ところが『所さん!大変ですよ』に出演していた脳科学者の澤口俊之氏は,低筆圧でも書ける軟らかい鉛筆は思考力の低下につながると指摘した.
 だとすると,軟らかい鉛筆や万年筆を使い,書痙にならぬよう低い筆圧で原稿用紙に書いていた時代の職業作家は思考力が低下していたということになる.また筆記具ではなくキーボードからの入力で文章を書く現代作家たちの思考力はどうなのか.澤口説に従えば思考力ゼロなんだろうね.前頭葉がどうのこうのと,まことに大胆な説である.大丈夫かこの先生の前頭葉は.

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