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2015年11月24日 (火)

借金の相談

 定年後に再就職した仕事からもリタイアして以来,外に出かけるのは週に一度か二度の食料品の買い出しと,月に一度の友人との昼食会だけである.
 あとは家にいて,本を読んだりDVD鑑賞三昧,あるいは暇つぶしにゲームで遊ぶかだが,そのあいだもラジオを垂れ流しに聴いている.
 ラジオは,かつて名機と呼ばれたソニーのアナログ機で,ニッポン放送に固定している.古いアナログ機 (しかしアナログ機最高の感度を誇る) だからメモリがなく,あちこちチューニングするのがめんどくさいからで,特にニッポン放送が好きというわけではない.

 そんなラジオリスナーとなって気が付いたのは,やたらと司法書士事務所のCMが多いことである.感覚的には五分から十分間隔でCMが流れるので,ほとんど連呼に近い.
 その司法書士事務所とは「司法書士法人新宿事務所」である.
 司法書士法人新宿事務所 (以下,新宿事務所とする) のラジオCMは,私が去年ラジオを聴き始めてからずっと一日中,繰り返し繰り返し「過払い金の返金期限が迫っています.最高裁で過払い金が認められて来年で十年.十年経つと過払い金は時効で消滅します」と叫んでいた.(今秋に一部修正があった;後述)
 ヨーゼフ・ゲッベルスは「大きな嘘でも頻繁に繰り返せば,人々は最後にはその嘘を信じるだろう」と言ったが,実はこの新宿事務所のラジオCMには微妙な嘘があった.
 過払い金返還の消滅時効は法律で十年だが,時効の起算点は完済した時点である.しかるにこの夏まで放送されていた新宿事務所のCMは,最高裁判決から十年経過すると時効となるかのごとき紛らわしい表現であった.
 CMの文言だけでなく,文言を読み上げる女性の声のトーンも債務者の危機感をあおる雰囲気があり,このCMは誤解を生むとの識者の指摘もあって,秋からは「完済から十年経つと過払い金は時効で消滅します」と修正された.このCMを毎日聴いていた私の印象では,誤解を生むというより債務者の危機感をあおるのがあからさまであったと思う.司法書士法人は公的な立場にあると思うが,新宿事務所は違うのだろう.

 さて過払い金時効についてのラジオCMを流しているのは新宿事務所だけではない.
 新宿事務所はCMの最後を「借金問題は新宿事務所」としているが,ある司法書士法人は〆の文句を「借金のご相談は○○事務所」と言っていた.
 借金問題の相談と借金の相談は全然違う.私はこれを聞いてイスから転げ落ちた.ここは金を貸してくれるらしい.

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コメント

 近年、弟が死亡して世話になっていた司法書士の人に事務手続きなどで会った際、話を聞いたら、高利の過払い金の返還請求などの業務はもう完全に下火で、今は病気、障害、ボケなどの人への成人後見人の受託が業務の主体になっているそうです。高齢化の進展に伴ってますます需要が増えるでしょうねぇ。

 私の脳内お花畑も年中ボケやクサボケが満開状態です。みんな忘れてマドロス酒場ですねぇ。

投稿: fulmar | 2015年11月24日 (火) 10時52分

コメントありがとうございます.
高齢化の進展でなくなってしまったのが結婚式場ですね.みんな葬儀場に衣替えしてしまいました.
結婚披露宴はホテルかレストランでやるのが普通になりました.
暇な年寄りの昼酒呑みも普通のことになって,近くの駅の周辺に昼間から飲める店がいくつもできました.
回転鮨でじっくり呑んでいる老人もいます.酒肴はガリで,安上がりです.(笑)

投稿: 江分利万作 | 2015年11月25日 (水) 00時06分

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