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2015年11月12日 (木)

最近の温暖化懐疑論 (何度かの追記あり)

 現役の会社員だった頃,私の主たる仕事は製品の品質保証業務であったが,同時に環境関連の業務を行う部門長も兼任していた.
 環境関連の業務とは,一口に説明しにくいのであるが,省エネルギーとか省資源とか炭酸ガス排出量削減とか,そういった諸々の取り組みである.
 炭酸ガス排出量削減の目的は言うまでもなく地球温暖化対策であるが,私自身はどうしても地球温暖化論に同調できなかった.
 というのは,私たち一般人は様々な地球観測の生データを入手も理解もできないわけで,そのため研究者たちが観測データを画像に加工したりグラフ化したものを見ることになるのであるが,しかしそれらのグラフ等を見ても,私にはどうしても温暖化が進行していることを示すデータだとは思われないのである.「どうしてこんなグラフから地球が温暖化してるなどと言いきれるわけ?」と思うのだ.

 地球温暖化論の総本山は『気候変動に関する政府間パネル』(IPCC) であるが,Wikipedia【地球温暖化】によれば,《IPCC第4次評価報告書によって、人為的な温室効果ガスが温暖化の原因である 確率 は「90%を超える」とされる》となっている.
 正直に言うと私は「IPCC第4次評価報告書」原文を読んでいない.読んで理解する能力がない.それでこのWikipedia【地球温暖化】の記述が「IPCC第4次評価報告書」に基づいているとしての話であるが,引用文中に下線をつけた「確率」という語は,このような場合に使用してはいけない.これは高校数学の基礎知識である.従ってもしも「IPCC第4次評価報告書」に本当に「確率」と書かれているのならば,『気候変動に関する政府間パネル』(IPCC) は馬鹿である.
 この例に限らないが,どうも IPCC という組織は,まともな研究者の集まりではないような気がするのである.
 これまでに, IPCC によるデータの捏造や画像の修正,取り換えなどが発覚している.しかし本当に地球が温暖化しているのならば,どうしてそんなことをする必要がある?
 つまり私が上に《地球温暖化論に同調できなかった》と書いたのは,正確には「IPCC に同調できなかった」ということである.繰り返すが,私には地球温暖化論が正しいか否か判断する力がない.
 しかし私のような一般人が抱く疑問なんかではなく,地球科学の専門家には温暖化に対して懐疑的な少数の人々がいて,これまでにいくつかの懐疑論 (Wikipedia【地球温暖化に対する懐疑論】) が提出されてきた.
 ところがこれらの懐疑論に対する IPCC の立場は「議論する段階はおわった.今は行動に移すときである」として,全く相手にしていない.無視している.
 そして温暖化論の根拠に援用してきた論文の誤りが発覚すると,論文の誤りは認めても「結論はかわらない」と主張して,懐疑派を無視してきた.
 でも,本当に地球が温暖化しているのならば,新たな懐疑論が出てきたら論争して論破すればいいじゃないか.

 というようなわけで,IPCC に無視されるであろうが,最近の温暖化懐疑論を一つ紹介しておきたい.

深井 有 (中央大学理工学部名誉教授)
地球はもう温暖化していない

 ただし,上の深井氏の文章にも疑問の点はある.冒頭の

確かに過去100年にわたって気温はじわじわと上昇してきたが、実は最近18年間、それはピタリと止まっているのだ。米国の気象学者クリスティがまとめた最新のデータを図1に示す。これは2015年5月の下院諮問委員会の資料から転載したものである。地球全体をカバーする気象衛星データと膨大な気球観測のデータはよく合っていて、1998年以降はほぼ頭打ち、最近はむしろ下降傾向にある。一方、世界で100以上のグループがCO2温暖化を仮定して行った計算ではCO2増加につれて気温は上がりっぱなしで、実測との乖離は年々大きくなっている。CO2温暖化論は破綻したのだ。

であるが,ここに掲げられた《「図1.1979年以後の世界平均気温:観測とCO2温暖化論による予測の比較 (クリスティ2015)」》を見ると確かにこの十八年間の気温は上昇していないように見える.
 しかしこれまで,《地球全体をカバーする気象衛星データと膨大な気球観測のデータ》によって,最近の大気温度は跳ね上がるがごとく上昇しているように描かれていたはずではなかったか.
 それがどうしてクリスティによれば停滞しているように描かれ,IPCC によれば極端な上昇を示すように描かれるのか.
 実は,膨大な生データをグラフ上の一つの点に表現する際に,どのような論理に基づいて計算したかが異なると,全く異なる結論が出せるのである.
 実にいいかげんである.
 気象「学」においては,こうあって欲しいという予断に基づいて,それに合致するようにデータをグラフ化できるのである. (平均気温計算式の中のパラメータを変化させるとどのように平均気温が変化するか,実際にコンピュータ計算を行い,結論をいかようにも変えられる気象「学」のカラクリを解説しているネット記事がある.関心ある向きは検索されたい)
 地球温暖化論にしても温暖化懐疑論にしても,こんなものが科学であるはずがない.やっていることが,あの小保方と同じレベルだ (遠い目).
 だからこそである.IPCC は最新の懐疑論には最新の反論を行って論争しなければならないのだ.それを「議論をする必要はない」などとうそぶいているのは,自分たちの計算に何か「不都合な真実」を隠していると疑われてもしかたがない.
 一方の深井名誉教授も,自論を展開するならば《「図1.1979年以後の世界平均気温:観測とCO2温暖化論による予測の比較 (クリスティ2015)」》の描画論理が正しい (すなわち論理的であって恣意的ではない) という検討結果を先ず示さねばならない.それをしないのは,深井名誉教授もまた「不都合な真実」を隠している可能性がある.こうなるともはや目くそが鼻くそを笑

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コメント

クリスティという人物が集めたという気温のデータも温暖化傾向を示しています。
予測の方は実際よりもCO2濃度が高いシナリオでしょう。

投稿: 通りすがり | 2017年7月29日 (土) 23時37分

 コメントありがとうございます.
《クリスティという人物が集めたという気温のデータも温暖化傾向を示しています》とお書きですが,クリスティが集めたデータをまとめたグラフを本当にご覧になっていますか?
 米国下院の委員会に報告されたというそのグラフによれば,明らかに世界平均気温は停滞しています.
 問題は,クリスティが膨大な観測データをグラフ化する際に,どんな論理を用いて「世界平均気温は停滞している」としたか,ということなのです.
 IPCC とクリスティが同じ計算論理を用いれば,おそらく似たような仮説 (=地球は温暖化している) あるいはその仮説の棄却 (=地球は温暖化していない) に到達するでしょうが,そうならないのは,両者が異なる論理で計算しているからです.
 コンピュータ計算の専門家が,世界気温の算出に関して,恣意的な加工が可能であることを指摘しています.そのウェブサイトを検索してご覧ください.

投稿: 江分利万作 | 2017年8月 3日 (木) 08時11分

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