人類の友 (二)
私のトイプードルを診察して下さった獣医師は,検査には一時間以上かかったのだが,この犬を例にして学生たちに眼科検査の講義をしていたものと思われた.というのは,獣医師が私に検査結果を説明する際に,その後ろに四人の学生たちが起立して検査結果の説明を聴いていたからである.
獣医先生は紙に犬の眼球の縦断面図を描きながら,角膜白濁のある部位を解説してくれた.大変わかりやすく,講義もそうなんだろうなと想像された.
主題の眼の病変はそういうことなのであったが,その他に涙の量が正常値の下限だという指摘もあった.人間でいうとドライアイである.
私自身もドライアイの傾向があり,目薬が欠かせない.そこで帰宅してから眼と涙について諸々の知識を勉強した.
意外に思ったのは,人間の感情と涙の関係について,十九~二十世紀にかけて立てられた仮説以上のものが現在もないという事実であった.(Wikipedia【情動】)
しかし脳科学の分野からこの問題に取り組む研究者もきっといると思われ,将来はもう少し解明されるかも知れないのだが.
人間についてもそういう現状だから,犬や猫は言うに及ばない.それで,ふと「犬は泣くのだろうか」という疑問が湧いた.
猫のことは知らないが,犬が喜怒哀楽の感情を実に素直に表現するということは,犬の飼い主には周知のことである.
食事とか散歩とか,あるいは好きな玩具で飼い主と遊ぶときとかに,特に小型犬は,もうぴょんぴょんと飛び跳ねて喜ぶ.人間の幼児が「わーいわーい」と踊るのとほとんど同じだ.
これと反対に,叱られるとシュンとしてうなだれる.もしかすると,この時犬の目には涙がいつもより多く分泌され,つまり「泣く」ことがあるのではないか.そういう疑問を持ったのである.
(続く)
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