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2015年9月 1日 (火)

デジタルリマスター (三)

 昭和四十年代,私が通った大学には競技ダンス部があった.同好会レベルではなく多数の部員を擁する歴とした体育会系競技部だった.
 他大学にもこのようなダンス部はあり,時折それらが主催するダンスパーティが開かれていた.活動資金調達の意味合いもあったのだろうと思う.
 このような一般学生が参加できるダンスパーティは競技ダンスのレベルでは無論なく,男女交際という気分のものだった.
 私は学生ダンスパーティの経験がほとんどないのであるが,当時知ったわずかな知識でいうと,主催者側がパートナーの交替をアナウンスしたら,別の相手と踊るようにするのがマナーであった.
 "Changing Partners"の歌詞冒頭に

We were waltzin' together to a dreamy melody
When they called out "change partners"
And you waltzed away from me

とあるが,When they called out "change partners" はこのアナウンスのことを指している.
 中学校の英語であるが,和訳すれば
「『パートナーを交替してください』という声がして,そしてあなたは他の人と踊りながら私から離れていった」
である.別にフラれたわけではない.ダンスパーティはそういうものなのである.
 この change partners はダンスパーティについて用いられる慣用表現であり,ダンス以外のものすごく怪しからぬ行為で「相手を取り替える」という意味ではない (そういう文脈のときはそういう意味だが).これは試験にでるから中学生とか高校生は気をつけるように.でないですか.そうですか.

 さて本題.前稿で
これを聴くと,誰もが「あれ? changing partners ではなく changing partner って歌ってるじゃないか」と思うであろう.
 そのことについて私は書こうとしているのである.

と書いたそのこと.

 江利チエミの歌唱と

パティ・ペイジ「チェインジング・パートナー」

を比較して聴いてみる.
 パティ・ペイジは明瞭に change partners も changing partners も,複数形の s を発音している.
 これに対して江利チエミのSP盤は,最後のフレーズ Oh my darling I will never changing partners again を除いて,あとの箇所はどう聴いても change partner ,changing partner としか聞こえない.
 私はこのことについて,江利チエミの芸能活動は彼女が十二歳のときからスタートしたこと,つまり彼女が英語を,教育によってではなく進駐軍キャンプで歌いながら身に着けたことと関係があるのだろうと思ってきた.
(どんどん続く)

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