« ぼんくら校閲 | トップページ | 嘘ジェクトX »

2015年9月25日 (金)

家族葬

 この連休中に息子と娘が私の住処にやってきたので,久しぶりに親子で食事に出かけた.藤沢市の湘南台にある人気店Hで焼肉だ.私のおごりである.
 彼らが中学高校の食い盛りのときは,同じこの店で一人頭のオーダーが並ロース三人前,並カルビ三人前,…という具合で,お勘定が二万円を超したものだが,今回は肉のグレードを上げたのに一万五千円ほどであった.なんだかしみじみとしてしまった.

 それはさておき,肉を焼きながら「俺が死んだら家族葬にして,骨は東京湾で散骨にして欲しい」と言ったら,二人は承知したと答えた.

 Yomiuri Online のコンテンツ『大手小町』に,「家族葬 誰を呼ぶべきか」と題した記事が掲載されている (9/24).

 葬送ジャーナリスト (なんだそれは〈笑〉) の碑文谷創氏,葬祭業界大手である公益社の葬祭研究所主任研究員,安宅秀中氏らの意見によれば,家族葬の注意点は以下の通りである.(記事から引用)

家族葬のポイント
・参列者は数人から数十人と幅広い
・故人のきょうだいには出来る限り声をかける。友人知人を呼んでもいい
・呼ばなかった人には、事後通知状や喪中はがきを送る。年賀状を受け取った相手には寒中はがきで伝える
・通知状を受け取った人が「焼香させてほしい」と訪ねてきたら、なるべく焼香してもらう (碑文谷さん、安宅さんなどの話を基に作成)

 驚いた.読売新聞が紹介するところの家族葬は,小振りな普通の葬式ではないか.
 私が子供たちに「家族葬にして,骨は散骨にしてくれ」と言ったのは,誰も葬儀に呼ばず,そして仏壇も戒名も位牌もないという意味である.
 だから誰からも花や香典を頂戴しない.
 私は死んだら千の風になって空を吹き渡るつもりなので,私のいないところで焼香なんかして頂かなくて結構である.
 無論,くだくだと説明をせずとも,子供たちは私の希望するところを即刻承知した.よい人間に育ってくれたものだ.

 死者は生者を煩わすべからず.

 昔からの名言だ.人間は,かくありたいものである.
 私の大学時代のクラスメートで,死ぬまで共産党員だった男が逝ったとき,葬式は東京の有名な寺で盛大に行われた.共産党員でも,葬式は死んだあとのことだから晩節を汚すことにはならぬのだろうか.参列した私は割り切れぬものを感じた.君は,君の思想的立場をエンディングノートに書き残さなかったのかね.
 暫くして遺族から故人の追悼文集の原稿依頼があったが,私は返答しなかった.死者は生者を煩わすべからず.

 横道に話が逸れた.
 それともあれか,私の考える家族葬ってのは普通ではないのか.
 昔,家族葬という形が世の中に知られ始めたころ,テレビで放送された,ある一般の人の家族葬は家族だけで行われていたが.
 年寄りが死ぬと,葬式にやってくるのは杖をついた老人ばかりで,どうかすると葬儀参列で寿命を縮めてしまうのではないかと心配になる.もしもそうなったらまことに申し訳なく,だから私が死んだら,たとえ私の生涯の親友に対してであっても,事後通知だけにするようエンディングノートに書いてある.

|

« ぼんくら校閲 | トップページ | 嘘ジェクトX »

新・雑事雑感」カテゴリの記事

コメント

万作さんがイメージされてるのは、「直葬」に近いものでしょうか。
といっても直葬もいろいろみたいですが。

私が死んだら、さっさと焼いて(直葬)、灰はどこかに撒いて(散骨)、と言ってあります。
ま、そのとおりにするかどうかは、子どもたちのそのときの都合次第でしょうが。

投稿: waiwai | 2015年10月 1日 (木) 08時47分

 もうかなり昔のことですが,おそらく家族葬というものが初めてテレビで紹介されたときのことです.家族葬という言葉もまだなかったと思います.
 団地と思しき集合住宅に住むある女性が,故人の夫の棺を狭い部屋に安置し,お子さん二人と三人だけで通夜を過ごしておられました.
 番組から伝わってきたのは,故人の死を本当に悼む者だけで見送りたいという,その女性の強い意志と故人への愛情でした.
 私は感動すると共に,三人の家族に見送られた故人を心から羨ましく思ったことを覚えています.
 で,私が葬祭業者さんにぜひ企画して欲しいのは,東京湾クルーズ散骨ディナーショーです.船上レストランにて,御一遺族様数人が一円卓にて,美味しい食事とステージが楽しめるようにして頂きたい.
 参加遺族が故人の好きだった曲をバンドに演奏してもらい,最後は皆で千の風に…を合唱して,散骨という段取りがいいですね.
 というのはともかく,死んでも墓がなければ,残った遺族は煩わしいことが一つ減るわけですから,散骨がもっと普及するといいと思います.

投稿: 江分利万作 | 2015年10月 3日 (土) 14時45分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 家族葬:

« ぼんくら校閲 | トップページ | 嘘ジェクトX »