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2015年3月16日 (月)

麺道

 前にも書いたが,袋入り即席麺の価格上昇が激しい.同時に特売価格と通常価格の差が著しい.
 私が食品の買い出しによく行く藤沢市のディスカウント店では,つい先週は一袋約三百五十円ほどで売られていた袋麺であるが,東洋水産の正麺などの人気商品はとうとう店頭売価四百円台に突入した.
 そんな状況下で奮闘しているのが,茨城県水戸市にある従業員二十七名の小企業である株式会社麺のスナオシだ.

 この会社の「しょうゆラーメン」は五袋入りのパックの希望小売価格は四百円で,一袋八十円であるが,直接同社から通販で買うと一袋四十五円である.
 ところが,これがディスカウント店では,五袋入りのパックが通常百五十五円 (つまり一袋たったの三十一円) で売られている.
 つまり明星チャルメラなど高価格帯品が現在は通常価格で一袋九十円くらい,一日限りの特売価格で一袋六十円ほどするから,これに比べると,一袋あたり三十~六十円くらい安い勘定だ.
 驚くべし,麺のスナオシ.小企業の鑑,麺のスナオシ.年金生活者の味方,麺のスナオシ.

 とはいえ,品質が悪ければいくら安くても何の意味もない.
 そこで私は上記の「しょうゆラーメン」を購入して食べてみた.
 そして,聞いて驚け.
 麺のスナオシ「しょうゆラーメン」は,サンヨー食品「サッポロ一番 しょうゆ味」と大差ない味であった.
 当然のことながら,最近の製法による「マルちゃん正麺 醤油味」の生麺うまいまま製法によるなめらかな食感の中太麺 〈 太字部分 (C) 東洋水産〉 と比較すると,いかにも古色蒼然たる昭和の即席麺と言わざるを得ないが,それは「サッポロ一番 しょうゆ味」とて同じこと.
 であるとすれば麺のスナオシ「しょうゆラーメン」は,サンヨー食品「サッポロ一番 しょうゆ味」をコストパフォーマンスで圧倒すると言っていい.パッケージは安っぽいが,パッケージを鍋で煮て食うわけではない.

 結論を言う.首都圏のディスカウンターで売られている麺のスナオシ「しょうゆラーメン」は,ラーメンのホームラン王です! 〈 太字部分 (C) 自由が丘亀屋万年堂〉

 ただし,麺のスナオシ「しょうゆラーメン」は郷愁そそる昭和の即席麺であるから,調理にはそれなりの技術が必要である.そこで,即席麺を食い続けて五十年の経験と品格に裏打ちされた私の調理法をここに公開しよう.

1.まず鍋にたっぷりの湯を沸かし,モヤシを投入し,ここに鶏卵を割り入れる.できればモヤシは,さっと下茹でしたものを冷蔵庫に常備しておき,それを使いたいものだ.なぜなら,生のモヤシをラーメンの鍋に直接入れると,嫌な青臭みがでるからである.鍋の中で卵とモヤシを別々にしてもよいし,卵の周りにモヤシを配置して,巣ごもり風にしてもよい.

2.次に卵の白身が固まりつつある時を狙って麺を入れる.

3.太葱でも細葱でも,好みの葱を刻んでおく.

4.そのまま麺を茹で続けると,浮いている麺の上下で固さが不均一になってしまうので,麺投入一分後にまだほぐれていない麺をひっくり返す.

5.麺のひっくり返しから一分後に,箸の先で少しずつ麺をほぐす.

6.麺がほぐれたら,あらかじめ別添粉末スープを入れておいた丼に,鍋から好みの量の湯を流し入れ,軽くかき混ぜて粉末スープを溶かす.ここまでの所要時間は二分三十秒である.

7.経過時間二分四十五秒で鍋を火からおろし,茹であがった麺とモヤシを丼に移し入れ,半熟卵をその上に鎮座させる.そして最後に薬味の葱をハラリ.ここで経過時間は三分きっかりとなる.鍋に残った茹で汁は食べ終わってから捨てればよいから,取り敢えずすぐ食べてしまうこと.

 即席麺を食い続けて五十年の経験と品格に裏打ちされた私の調理法のキモは,まず第一に鍋にたっぷりの水で作ることである.
 最初に鍋に入れる湯が丁度の量であると,鶏卵が鍋底に付着したり,麺が不均一に茹でられてしまうなど色々と不都合があるので,鍋の水量はとにかく多いほうがよい.
 第二に,麺を途中でひっくり返すこと.これをせずに自然にほぐれるまで麺を茹でると,大抵の即席麺はのびてしまう.

 以上で一応よいのであるが,世にプロ麺士と呼ばれた私は,魚肉ソーセージとメンマをトッピングすることが多い.
 魚肉ソーセージはマルハニチロでも何でも構わぬが,メンマは桃屋穂先メンマやわらぎ(辣油味) が私の好みである.
 この種の追加トッピングは,あらかじめ食卓に準備しておくこと.即席麺が茹で上がってから魚肉ソーセージの皮を剥いたりしてはいけない.

 即席麺は自分で調理するのが正しいあり方である.亭主関白を気取る男が妻に作らせ,「あなた~できたわよ~」とか「わたし作る人 あなた食べる人」とか妻が踊りながらテーブルにラーメン丼を運んでくるのを待っているのは,麺道に反する仕業と言わざるを得ない.
 私のように二十三歳になるまでに日本麺院の院生を経て麺道四段となったプロ麺士は,絶対に他人に即席麺を作らせない.麺がのびるからである.
 プロ麺士でもタイトル保持者クラスともなると,麺がのびるのを回避するために台所で立ったまま鍋から直接麺をすする.鍋のフチで唇を火傷しているようでは,まだまだ精進が足りないのだ.
 さらに,タイトルホルダーでも別格の麺因坊位の保持者は,麺を茹でることすらせず,ばりばりと麺をそのまま食うという.これなら絶対に麺はのびない.自分でも何いってんだかよくわからないが,そういうことである.ヾ(--;) こらこら

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