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2015年3月18日 (水)

貧乏人はイモを食え,か(笑)

 農林水産省は昨日,「食料・農業・農村基本計画」の原案をまとめたが,まだ農水省のサイトに掲載されていないので,新聞報道をみると,これまで採用してきたカロリーベースの食料自給率目標を50%から45%に下げた.

 カロリーベース食料自給率50%は達成不可能と判断したのであろうが,もともと食料自給率という指標は,食料安全保障からの要請ででてきたものである.

 先進諸外国に比較して我が国のカロリーベース食料自給率があまりにも低いことから,仮に気候変動やその他の自然要因,あるいは戦争,さらにあるいは我が国の経済力低下によって食料の輸入が困難になった時に,国民の飢餓を回避するための政策を,カロリーベース食料自給率という指標を用いて推進しようとしたのである.

 従ってカロリーベース食料自給率の目標が50%というのは,言い換えれば国民の半分が飢えるわけで,そもそも無意味な数字なのである.つまり中間暫定目標を90%とか95%とかに設定したとしても,計画上の最終目標は100%であらねばならないのである.

 そのカロリーベース食料自給率の目標50%を,今度の「食料・農業・農村基本計画」は放棄するという.
 その代わりに,今度は「食料自給力」という指標によって政策立案しようとするのが今度の基本計画らしい.
 まるで言葉遊びみたいで何がなんだかよく理解できないが,朝日新聞DIGITAL の記事によると,現在の米作中心農業から芋類中心の農業に転換すれば,国民は一日に必要なエネルギーを確保できるのだという.
 しかし,上に「言葉遊びみたい」と書いたように,水田と芋畑はそんな容易に互換できないのである.
 すなわち芋類中心の農業などというものは非現実的なのである.
 とすると,この「食料・農業・農村基本計画」は,食料安全保障という思想そのものを放棄しますということが,計画の眼目であるのだろう.

 まあそれでも空理空論である「カロリーベース食料自給率の目標50%」をいつまでも掲げているよりはいいかも知れない.
 しかし,である.
 食料安全保障思想を放棄して,上に挙げた「気候変動やその他の自然要因,あるいは戦争,さらにあるいは我が国の経済力低下によって食料の輸入が困難」になったときにどうするのか.
 それがどう「食料・農業・農村基本計画」に書かれているか,注目したい.

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