国家とは何か
二月十三日現在でプレジデント社のサイト PRESIDENT Online におけるアクセスランキング第一位は,コンテンツ「大前研一の日本のカラクリ」に昨年十一月十七日掲載の《イスラム国を育てたのは、いったい誰なのか? 》である.これは雑誌 PRESIDENT の十二月一日号にも掲載されている.
今でこそあまり存在感のない大前研一氏であるが,私が若かった頃は,氏の著作を皆が競って読んだものである.
その大前氏が「イスラム国」について書いたものだというので《イスラム国を育てたのは、いったい誰なのか?》を私も読んでみた.
昨年の十一月段階では時宜を得たコラムだったろうが,内容的には,半分は特に新味のないものであると思う.
しかもタイトルの《イスラム国を育てた》という表現は良くない.本文中では《イスラム国はアルカイダと同じくアメリカやサウジが育てたようなものなのだ》と書いているように,米国の対イスラム圏政策の失敗が原因で結果的にそうなったということなのだから,そのように書くべきである.また,ここら辺は他の多くの識者が従来から指摘してきたことであるから,おもしろくも何ともない.
「新味のない半分」以外はどうかというと,世間の関心が「イスラム国」に集中しているときに,
(1) 今まさに「イスラム国」と激しく対峙しているクルド人の独立問題
(2) スコットランドの独立問題
(3) スペインのカタルーニャの独立問題
なども同じであることを忘れてはいけないと指摘している.
「イスラム国」も,クルド,スコットランド,カタルーニャも,「国家」の概念を揺さぶっていると大前氏は書いているが,その通りであると思う.
しかし,である.それを言うなら,イスラエルに触れないのはおかしい.この《イスラム国を育てたのは、いったい誰なのか?》にイスラエルのことが一言も出てこないのはなぜだろう.
イスラエルこそは,第二次大戦後に「国家という概念の混乱」が始まった発端ではないか.そのあたりのことを大前氏に再論して欲しいものである.
余談だが,池上彰が昨年の週間文春のコラムでイスラエル建国を称賛していた.米国が数年後に「イスラム国」の鎮圧に成功したとしてのことになるが,その後にもしクルド人が独立戦争を開始したら,池上彰はクルド人かトルコか,どっちを支持するのか.
池上のイスラエル建国を支持する論理からすれば,当然にトルコ領土内におけるクルド人の独立を支持する側に立つはずであるが,どうするか見ものである.池上にそんな論理的潔癖性はないと私は思っているのだが.
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