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2015年1月26日 (月)

富裕層の資産課税に読売は反対する

 私は人生を研究者,技術者として過ごしてきて,政治や経済の学問的基礎が皆無である.そのような分野について土地勘がないというか,勉強しようにもどうしていいのかわからない.この年になっては勉強してももう間に合わないし.
 だから以下のことはほんとに素人のたわごとかも知れないと自分でも思う.

 読売新聞の今日二十六日の社説は,フランスの経済学者であるトマ・ピケティ氏の著書『21世紀の資本』を取り上げて批判を加えている.
 ピケティはこの著書 (言うまでもなく私は読んでいない) で,主に欧米におけるを過去二百年以上の税務統計を分析した結果,株式や不動産などの資産から得られる利益の伸びが賃金上昇率を上回っていたことを示し,このようなデータを根拠にして,将来も資産家への富の集中が続いて貧富の差が拡大していくと結論している.

 読売の社説は,現在の経済学では経済発展とともに格差は解消するという説が主流であるとし,ピケティ説の意義は評価しつつも,ピケティが格差解消の処方箋として富裕層に対する世界的な資産課税強化を提唱していることに反対する.世界各国が一斉に増税で歩調を合わせることはほとんど不可能だからであるというのが理由である.

 さらに《富裕層に重税を課すことは、働く意欲をそぎ、成長を鈍化させる要因になりかねない。ピケティ説に乗じ、過剰な所得再分配を求める声が、日本でも強まってきたのは気がかりだ》との見解を表明している.

 ここで私たち一般読者の頭には,「ピケティは資産課税強化を提唱していると書いておきながら,どうして唐突に「増税」と言い換えてしまうわけ?」という疑問が湧き上がる.
 もし読売の論説委員氏の知能が低いのでなければ,これは大変わかりやすい論理のすり替えである.増税にも色々あって,資産課税強化は増税の一つに過ぎないからである.
 そして最後に《成長の恩恵を受ける富裕層と、取り残される低・中間所得層という単純な図式を掲げ、バラマキ策を唱えるのは無責任だ。教育や職業訓練の充実など、努力すれば所得を向上できる機会を広げる政策にこそ、力を注ぐべきである》と締めくくっている.

 ここで私たち一般読者の頭には,また疑問が湧き上がる.
「その《教育や職業訓練の充実など、努力すれば所得を向上できる機会を広げる政策》が一体どんなものか詳しく教えてくれ.職業訓練を受けるなど努力しても所得を向上させることができないからこそ,格差が拡大しているんじゃないのか?」
「所得向上どころかそれ以前に,大学や専門学校を出て,充実した教育や職業訓練を受けてもなお安定した職に就くことができない若者たちが山ほどいるとマスコミは報じている.必要なのは,『努力すれば所得が向上する』などいう昭和の高度経済成長期のお説教ではなく,教育や職業訓練を受けた人たちがせめて非正規雇用ではない職を得ることのできるような政策じゃないのか?」

 以上,格差社会の頂点に立つ富裕層に属するだろう読売新聞論説委員氏の御説に対する素人の疑問である.

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