異物混入
長く勤めた食品会社を退職してもう二年ほど経つので,いい加減に以前のことはすっぱり忘れようとは思うのだが,なかなかそうもいかない.私の現役会社員時代の最後は食品の品質保証を担当していた関係で,食品の品質事故を耳にすると黙っていられないのである.
いま,マクドナルドが異物混入問題で集中砲火を浴びている.それに関連してのことと思うが,自民党の穴見陽一衆院議員 (ファミレス「ジョイフル」代表取締役相談役) が《異物混入は忌まわしい事ではありますが、これを絶無にすることは不可能》《被害請求なのかゆすりたかりなのかよくわからない事例もあります》《異物混入自体はけっして珍しくない》とフェイスブックに書き込んだと朝日新聞が報道している.(朝日新聞DIGITAL 1/9 22:55)
朝日の記事は,穴見氏が《事情を精査せずに今回のような一方的な訴えの片棒を担ぐような報道をしていたら、不要に世の中を混乱させ、企業とそこで働く人々の心を傷つける》とも語ったと伝えている.
マクドナルドの事件と直接の関係はない穴見氏の発言を朝日新聞が取り上げた意図は明白で,こんな怪しからんことを言ってます,さあみんなで叩きましょう,ということである.
企業の代表取締役かつ議員であれば,たとえ正論であっても発言に慎重であらねばならない.その発言に対して誰がどう反応してくるかを予測してから発言するという,リスク管理の考え方が求められるからである.
その点で穴見議員は軽率であった.朝日の報道に対する対処の仕方によっては,さらに朝日はからみついてくるかも知れない.
以上を踏まえて私見を述べる.
穴見氏が《被害請求なのかゆすりたかりなのかよくわからない事例もあります》《異物混入自体はけっして珍しくない》と書いたのは,別段誤りではない.事実である.
しかし《異物混入は忌まわしい事ではありますが、これを絶無にすることは不可能》と述べたのはいかがなものか.
ジョイフルは九州を中心に数百店舗を全国展開する大きな企業であるから,必ずや品質マネジメントシステムを持っているに違いない.
品質マネジメントシステムは,例えば異物混入事故を 100ppm(料理一万皿に一回の混入事故率) にすると目標を掲げ,それが達成できたら次に10ppm, 5ppm, と順次目標を高くしていくという具合に運営する.(PDCAサイクルを回す,という)
従って,トップ (形式上は相談役ではあるが) が《不可能》と断じたら,目標を立てられず,すなわち品質マネジメントシステムは成立しないのである.
ジョイフルは,経営者が品質マネジメントシステムを理解していないことを露呈してしまった.すなわち経営者が品質に関する見識を持っていないようでは,そのレストランの異物混入事故率は高いのではないかと消費者に疑われてもしかたない.
火元であるマクドナルドの異物混入事故について触れておく.
歯科治療用金属 (歯の詰め物) の混入と,治療痕のある歯のかけらの混入の二件については,本当の異物混入事故であるか疑わしい.私の知る限り,消費者の誤解である可能性が極めて高い.食品企業や外食産業の品質担当者もそう思うであろう.
それ故,新聞は,ヒトの歯関連の「異物混入」報道は慎重にしなければいけないのであるが,明らかに異物混入であるビニール片と,事実かどうか疑わしい歯の詰め物をいっしょくたにして全国紙各紙がマクドナルドを叩いているのを見ていると,この連中は本当に不勉強だなと思わざるを得ない.
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