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2015年1月30日 (金)

御長寿連作

 病院へ行くついでに書店に立ち寄った話の続き.

『ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~』(メディアワークス文庫) は連作短編だけれど,夢枕獏『陰陽師』はなんと言えばいいのか.

『ビブリア古書堂の事件手帖 (6)』の横には『陰陽師 酔月ノ巻』が積まれていた.
『陰陽師』シリーズの最初は『玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること』で,これが1986年9月にオール讀物に掲載されて以後,雑誌に発表されたものを単行本と文庫にまとめて刊行されてきた.もう三十年近く書き続けられていて,内容はワンパターンではあるがマンネリではないので,出ればつい買ってしまう.

『陰陽師』に使われる擬態語は特徴的で,それだけ抜き出してもファンには『陰陽師』の一節だとすぐわかる.
 例えば「ほろほろと酒を飲んでいる」ならば,これは晴明と博雅の二人が土御門の屋敷で,庭を眺めながら酒を飲んでいる場面に使われる描写だと知っているわけだ.
 擬音,擬態に「ほ」が使われるのも『陰陽師』のお約束である.
 花が散るのは「ほろり」「ほとり」であるし,雪が降るのは「ほそほそ」だ.

 とぎれとぎれに読んでも,あるいは適当に開いた箇所をつまみ読みしても,一向に構わないのが『陰陽師』の良いところで,これは病院での時間つぶしに最適だと思う.

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