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2014年12月24日 (水)

また忠臣蔵

 しつこいようだが,「寺坂吉右衛門」「忠臣蔵は風化したか」に続いてまた『発言小町』に立てられた忠臣蔵トピの話.
 結局このトピは,編集されてスレッドに反映されたレスの数が百に満たずに終わったようだが,今の若い人たちにとって忠臣蔵は遠い昔のものなんだなあと思った.

 忠臣蔵というのは,史実の元禄赤穂事件を題材にして創作された浄瑠璃,歌舞伎,小説,評論,講談,落語,映画,歌謡曲,大衆演劇などの総体であって,仮名手本忠臣蔵はその分野の一作品にすぎないというのが現代の日本人のコンセンサスであろう.
 ところが『発言小町』の忠臣蔵トピを閲覧して驚いたのは,ほとんどの投稿者が史実元禄赤穂事件と忠臣蔵を同一視していることと,数人の半可通が,忠臣蔵と仮名手本忠臣蔵を混同していたことである.
 忠臣蔵半可通が言いたいのは,私は歌舞伎に土地勘があるのよ,てなところであろうか.こういう人は,『松浦の太鼓』は知っていても,講談赤穂義士銘々伝なんてものはご存じないだろう.

 私が忠臣蔵という広義のジャンルに触れたのは講談が最初だったと思う.誰の講釈だったか全く記憶がないのだが,大高源吾と宝井其角の両国橋のくだりから,吉良邸の隣家で今か今かと討ち入りを待つ其角,そこに登場する源吾.今は YouTube で神田愛山の録音が載っているので聴いてみたが,ちょっとくだけすぎの感はあるものの,いやあいいですなあ.
 次がNHKの『赤穂浪士』(昭和三十九年) で,続いてその年の紅白歌合戦白組の大トリ,三波春夫の『長編歌謡浪曲 元禄名槍譜 俵星玄蕃』だった.このあと,『俵星玄蕃』が紅白歌合戦のハイライトだった時代がある.三波春夫の歌謡浪曲は歌ではない,歌芸だと言った人がいるが,むべなるかな.長尺の歌詞の台詞部分「時は元禄十五年…」から「おうっ蕎麦屋っ」に至ると思わず感涙はらはらと下るをお笑いくださるな妙心殿.それは大利根無情.
 そして次が五代目三遊亭圓楽が噺に仕立て直した『赤垣源蔵』,徳利の別れだった.

 こうしてみると,忠臣蔵は何といっても外伝がおもしろい.
 気象庁はこの冬を平年並みだというが,最強の寒波とかいって寒くて堪らぬ.これは寄る年波のせいだろうか.もし予想外に厳冬で,残る年内から正月にかけて雪が降ったりしたら,その時の鑑賞用に三波春夫の『俵星玄蕃』を Amazon に注文した.よい考えだと思う.

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