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2014年12月

2014年12月30日 (火)

おせち雑感

 小学校三年生か四年生のとき,担任の女先生 (小豆島を思い出させる昭和レトロの言葉;これを女教師というとちょっと別のジャンルの用語になる場合があるので注意が必要) が授業で「みんなのうちでは,おせち料理は何をつくるのかな」と問うたことがある.
 私は,通っていた田舎小学校では,算数だろうが国語だろうが先生にどんな問題を当てられても答えられぬことがない神童だったのであるが,こらこら,この質問には何も答えられなかった.級友が「黒豆でーす」と答えても,黒豆を見たこともない私には何のことやらわからなかったのである.(煮豆は大豆しか食べたことがなかった)
 なぜかというと,前にも書いたが私の母は料理のできない人だったから,年の暮れにちゃんとしたおせち料理を作るなどということはしなかったからである.
 母親が料理下手な上に父親が最下級公務員で貧しかった我が家では,雑煮と一緒に正月のちゃぶ台に並べられたのは,紅白なますと煮しめだけだったと記憶している.
 かなりあとになって,母が近所の奥さんに田作りの作り方を教えてもらい,これが膳に加わったが,黒豆は死ぬまで作らなかった.上手に作れなかったのであろう.今の私は黒豆が小鉢に入って眼前に出てきたら,あな嬉しや盲亀の浮木優曇華の花,千載一遇とはこのときとばかり,憎い相手にめぐりあったがごとく,器を左手に持ち,かき込むようにして食う.この際,肘を左脇の下から離さぬ心構えでやや内角を狙い,えぐりこむように食うべし.
 なーにがふっくらと色艶よく炊きませうだ.親の仇だ.思い知れ黒豆,えぐりこむように食うべし食うべし.おいおい.
 おせち料理について,紅白なますしか知らなくて恥ずかしい思いをした私は,このことを半世紀以上も経ったのにまだ覚えている.貧乏ってのは軽いトラウマになりますな.ばかみたいだけど仕方がない.はは.

 それから十数年の星霜を経て私の伴侶となった女性が,これまた料理下手でおせち料理を作れない人であった.
 雑煮と一緒に新婚の正月のテーブルに並べられたのは,手製の紅白なますと煮しめと伊達巻であった.かなりあとになって,紅白の蒲鉾が加わった程度であった.親の因果が子に報い,とはこのことである.

 余談だが,「親の因果が子に報い」の口上にはいろんなバリエイションがあるだろうが,だいたいは次のようなところだ.これも半世紀以上も経ったのにまだ覚えている.
「焼野の鴉 夜の鶴 子をば思わぬ親なきものを 親は代々猟師にて 山谷巡る仕事ゆえ 殺したけものの数知れず 親の因果が子に報い 二目と見れぬこの姿 可愛想なはこの子でござい 花ちゃんや~い (あいあ~い,と声がして花ちゃん登場)」
 化物屋敷とか見世物小屋ってのは軽いトラウマになりますな.ばかみたいだけど,以下同文.

 閑話休題.
 しかし世の中はどんどん豊かになって,年末のスーパーに買い出しにいけば,黒豆でも伊達巻でも何でも売っている.それどころかデパートではめでたさ満載のおせち料理一式を購入できる.外れクジを引いてしまうリスクはあるが,ネットで買うことも可能だ.
 さてそのおせち料理の中身であるが,実際にデパートで販売されているものを見てみると,何がめでたいのかわからない料理もあるが,基本的には以下のもののようである.(Wikipedia から抜粋)

 [祝い肴(口取り)]
  黒豆
  数の子
  田作り
  たたきごぼう
  紅白かまぼこ
  伊達巻
  搗ち栗/栗金団
  お多福豆
 [焼き肴]
  鰤の焼き物
  鯛の焼き物
  海老の焼き物
  鰻の焼き物
 [酢の物]
  紅白なます
  ちょろぎ
  酢蓮
 [煮物]
  昆布巻き
  陣笠椎茸
  楯豆腐
  手綱こんにゃく
  芽出しくわい
  花蓮根
  矢羽根蓮根
  八ツ頭
  金柑
  梅花にんじん

 東海林さだおの漫画には,正月に上司の家を訪問した主人公が,出されたおせちの数の子を食べてしまったために上司の怒りをかうという定番ネタがあった.数の子が栗きんとんであるバリエイションもあった.古い話だなあ.

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2014年12月28日 (日)

正月の宅配鮨

 今度の正月は息子と娘夫婦が二日に来るという.
 おせちと酒肴は手配済みだから,あとは鮨の宅配でも頼んでおこうか.

 これは首都圏ローカルな話なのだが,うちの近所で宅配鮨というと「銀のさら」と「つきじ海賓」がある.
「銀のさら」と「つきじ海賓」を比較してみると,「銀のさら」が注文合計千五百円から受け付けるのに対して,「つきじ海賓」は,楽天デリバリーのシステムを使っているのだが,驚いたことに「\最低注文金額(税込) 15,000円~」と書いてある.
 テキスト部分を引用すると以下の通り.二ヶ所に同じことが書かれているので,誤記ということではないようだ.
インフォメーション
  ■配達は税込15,000円より承ります。
  ■ご注文受付は配達の前日までとさせて頂きます。
  ■表示価格は消費税込です。

 (以下省略)》

 お値段の高い盛り込みでも,一万五千円は,ざっと数えて七,八人前で,かなりの量がある.他にも蟹や肉料理や酒など御馳走が色々あるわけだから,鮨だけで一万五千円はとても食べきれない.で,先ほどネット注文の途中で引き返して「銀のさら」にオーダーし直した.
 「つきじ海賓」が大家族あるいは宴会用の出前しか受け付けませんと言うのは,正月には調理と配達する人間の手配ができないから,小さいオーダーは捨てて顧客を絞り込むということなんだろう.
 それなら無理して正月営業しなければ従業員が喜ぶだろうに.などと自分は「銀のさら」に注文しておきながら,勝手な感想を述べてみた.はは.

【追記】
 実は「つきじ海賓」には注文したことがない.上に書いたように「銀のさら」に注文したあと,「つきじ海賓」の評判を検索してみた.すると,かなり酷い悪評のあることがわかって,めでたい正月に「つきじ海賓」に注文しなくてよかったよかったと喜びましたとさ.

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埋め種 (一)

 取り立てて大きな事件がなくて新聞紙面にポッカリと小さなスペースができてしまったとき,掲載してもしなくても構わない記事で穴を埋める.これを「埋め種(くさ)原稿」という.

 この「種」は,スクープを「特種」と書くときの「種」と同じ意味である.
 昭和三十年代の活字出版物ではきちんと「埋め種」と書かれていたが,いつの間にやら「埋め草」という当て字が使われるようになり,嘘の殿堂にして誤謬の宝庫たるネット質問掲示板,例えば YAHOO知恵袋では「城攻めの時,堀を埋めるために使った草などのこと.空いたところを埋めるということから,出版業界などで使われるようになった」旨の恥ずべき嘘がベストアンサーになっている.そして「埋め種と書くのが正しい」と述べた回答はベストアンサーになっていない.
 ネット社会では,悪貨が良貨を駆逐する如くにして日本語が破壊されていく.もう取り返しがつかないところに私たちはいるのだ.

 少し前のテレビ番組『ガイアの夜明け』で村上龍が,ヤフー株式会社の宮坂学社長と対談し,「YAHOO知恵袋はすごい」と激賞していた.無防備にも,YAHOO知恵袋にあった回答の一つを作品中の小ネタとして使ったそうだ.作家として大丈夫か村上龍.
 番組中で宮坂社長はネットの可能性について真摯に語り,それには納得するところ多かったが,しかし「YAHOO知恵袋」が無知無教養を日本中に蔓延させていることについて一言も語らなかったのは残念だった.

 さて,埋め種原稿には科学分野の話題が使われることが多い.今日明日にも掲載しなければいけない緊急性はないからだが,それだけに扱いはぞんざいで,たぶん優秀な記者は埋め種原稿なんか書いたりはせず,二線級のダメ記者が書くのであろう.先日の当ブログ「雑多感想 (12/25)」の(二)に書いたが,《イネの種子を大きくする遺伝子を名古屋大学の芦苅基行教授 (植物分子遺伝学) らが発見した》と報道した朝日新聞の記者が典型的な例だ.科学技術に関する見識を持ち合わせていないならば,科学技術の話題を記事にすべきでない.

 理研の小保方騒動では毎日新聞がそこそこまともな報道を続けたが,朝日と読売の記者の無教養ぶりは本当に情けなかった.「雑多感想 (12/25)」では朝日新聞の埋め種記事を紹介したが,次は読売新聞で,長くなりそうだからそれは明日書く.
(続く)

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2014年12月27日 (土)

誰かに当たる

 私はもう勤め人ではないので,通勤最寄り駅というのはなくなってしまったのだが,それでもやはり近いJRの駅は藤沢駅なので,買い物などに出歩くとすれば藤沢駅周辺だ.
 小さな街で,ホームセンターはないが,その他の大抵のことはここで間に合う.辻堂や大船方面に少しいくと大き目のショッピングモールがいくつもあるが,面倒くさいのであまり行かない.

 藤沢駅の少し大船寄りに,北口と南口をつなぐ短い地下道がある.たまたま先日のテレビ番組『モニタリング』を見たら,この地下道でロケをしたようであった.
 そのロケ映像には出てこなかったが,駅の南口にでるスロープに面して宝くじ売場がある.
 この売場には宣伝担当係が何人かいて,ジャンボ宝くじの販売期間中は,
「誰かにあたる七億円」
「買ってあてよう七億円」
「本日一粒万倍日~」
などのフレーズに特徴的な節を付けて,大きな声で地下道を行き交う人々の射幸心を刺激している.

 さてこの「誰かにあたる七億円」「買ってあてよう七億円」は,これまで他の売場では聞いたことがなかった.だからここの売場の人のオリジナルだと思っていたのだが,先日,北口のみずほ銀行に隣接した売場のところを通りかかったら,みたまんまバイトの女の子がやはり「誰かにあたる七億円」「買ってあてよう七億円」と可愛らしい声を張り上げていた.
 で,「誰かにあたる七億円」「買ってあてよう七億円」でネット検索したらブログ記事が一件ヒットした.どうやら筆者は藤沢近辺に住んでいる人のようで,上記の宣伝担当係の人のことが書かれている.やはりこの売場オリジナルの宣伝文句らしい.
 とすると,北口で「誰かにあたる七億円」と言っていたバイトの女の子はパクッたのかな.

 もちろん「誰かにあたる七億円」「買ってあてよう七億円」は声で言っているだけで,著作権や商標権の対象でないのは明らかだが,保護される知的財産には相当するのだろうか.
 上に書いた『モニタリング』でも,ベッキーとローラが二人で「ダメよ~ダメダメ」とパクリネタをやっていた.これはまあ人気タレントにパクられればパクられるほど,エレキテル連合にとってはよろしいわけだから文句はないだろう.

 真偽のほどは知らないが大昔,アントニオ猪木の卍固めをパクッたプロレスラーに「それって著作権的にどうなんすか」と問いただしたスポーツ記者がいたと聞いた.知的財産権という言葉が一般には使われていなかった時代のことである.

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2014年12月26日 (金)

屋台のDNA (十六)

 次は東京周辺ではおなじみの「信州そば処そじ坊」.
 大阪の外食企業,グルメ杵屋が経営する蕎麦屋チェーンの一つだが,なぜか「信州そば」を標榜している.

 東京以外の関東地方における昔の家庭では,東京の蕎麦屋のような極端に甘辛い蕎麦つゆで蕎麦を食べる食習慣はなかったが,それが今では関東ではどこに行っても,普通の蕎麦屋でも家庭でも画一的に甘辛い蕎麦つゆになってしまった.
 これは一つには,家庭でも加工食品である東京風の濃縮麺つゆを使って済ませることが普通になってしまって,蕎麦つゆといえば甘辛いものと思う人がほとんどになったことによると思う.

 信州そば処そじ坊の蕎麦つゆは関西風であるが,昔の関東風の蕎麦つゆを少し甘くしたくらいの味で,蕎麦好きの年寄りには受け入れやすい味だと思う.

 それはさておき,信州そば処そじ坊の品書きは以下の通り.内容的にはそこそこのものが,前回紹介した有名店に比べるとはるかに大衆的なお値段で食べられる.
 味は外食チェーンのあり方に則って各店均一だから,首都圏の街中に多い「○○庵」とか「△△屋」という屋号の蕎麦屋に比較すると,食べて「失敗した」と思うことがないのはありがたい.

[冷たいそば]
 ざるそば              610円
 ざるとろろそば           734円
 季節の野菜天ざるそば        924円
 車海老天ざるそば         1,334円
 辛味大根そば            610円
 なめこおろしそば          715円
 ねぎみぞれそば           686円
 冷し山菜とろろそば         648円
 冷し月見山かけそば         648円
 冷し揚げ餅そば           715円
 鴨せいろそば            858円
 二味ざるそば            715円
[温かいそば]
 かけそば              496円
 天ぷらそば(上)車海老二尾      953円
 天ぷらそば(並)車海老一尾と野菜天  858円
 季節の野菜天ぷらそば        781円
 鴨南蛮そば             858円
 にしんそば             810円
 山菜そば              648円
 きつねそば             620円
 葉わさびそば            667円
 カレー南蛮そば           686円
 梅あおさそば            667円
[定食]
 各種

(続く)

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2014年12月25日 (木)

雑多感想 (12/25)

(一)
 昨日,この冬は平年並みの寒さとの予想だと書いたが,これは間違いだった.
 気象庁はエルニーニョ現象が発生するとかしないとか色々と予想を変更していて,この前の三ヶ月予想では「東日本以西は暖冬」だったようだ.
 それが今月になっての強烈な寒波襲来で,年明け一月から三月までの三ヶ月予想は「東日本はほぼ平年並みの寒さ」になると昨日変更された.十二月までの予想は私たちの実感とワンランクずれていたわけであるが,次の予想はワンランク下方修正しただけでだいじょぶかいな.ここは一つドーンと「平年よりやや寒い」にしといたほうがよくはないか.三ヶ月予想はあたらないものとは思っているが,そんな気がする.

(二)
 一昨日のテレビニュースでも報道されたが,イネの種子を大きくする遺伝子を名古屋大学の芦苅基行教授 (植物分子遺伝学) らが発見したと,朝日新聞DIGITAL などに掲載された.
 実験に使用したのは,コメ粒が短いジャポニカ米「日本晴」と,細長いインディカ米「カサラス」.
 芦苅教授らは,両種を比較してコメ粒の大きさを制御する遺伝子「GW6a」を発見した.このカサラスの GW6a を日本晴に導入して得られた大粒の種子と,日本晴の種子とを比較する画像をみたのであるが,ほとんど変わらない.それもそのはず,重量で 15% 増えただけであった.
 新聞報道は,これが米の増産につながる可能性があるとしているが,米の増産ということの意味をよく考えてから報道したほうがいい.少なくともドメスティックには,米の増産は政治問題であって科学的課題ではないからである.分子遺伝学の研究者に農業の観点から道理を説いても仕方ないのではあるが,休耕田や耕作放棄地という現実を前にしながら米の増産を研究するなどは根本的に意味がない.
 ではグローバルなこととして捉えた場合はどのような意味があるのか.
 日本においては無意味でも,中国が米を 15% も増産したら,国際政治,国際経済に一体どのような変化が起きるか,そういう視点が必要だ.国民が知りたいのはそこなのである.無教養の記者が,何も考えずに研究者の成果発表をそのまま垂れ流すのも根本的に意味がない.芦苅教授に,その研究の意義はなんですか,と問うくらいの見識を持てと記者に言いたい.
 ちなみに日本晴とカサラスについては,こんな記事や,こんな記事があって,なんだか微笑ましい.
 それから,この報道を読んだ高齢者は日本晴と聞いて懐かしく思ったかも知れない.日本晴は,かつて昭和の中頃,日本の米作を代表するコメの品種だったのだが,あらゆる点でコシヒカリ系統の品種に負けて,今ではあまり生産されていない.しかし研究データが蓄積されているので,今も大学等の研究機関では研究用の品種として使用している.また昭和の時代,皇室が儀式に用いるコメが日本晴だったから,日本晴は皇室が今も栽培しているかも知れない.

(三)
 昨日,厚生労働省は,ミツバチの大量死の原因と指摘されているネオニコチノイド系農薬であるクロチアニジンについて,食品中の残留基準を緩和する方向を決定した.これは,クロチアニジンを使用してよい作物の適用範囲を拡大したいという農薬メーカーからの申請を受けて内閣府食品安全委員会が行った評価に基づいたものである.
 内閣府食品安全委員会は食品の安全性に関する議論しかしない機関だから,環境だの生態系なんか知ったことではない.それを上手に運営して (思わず「悪用して」と書いてしまうところだ) ,農水省と農薬メーカーはクロチアニジンの使用すなわち農家の収入増につなげたいのである.
 農家の収入増には政治的にも科学的にも他の手段がある.なのに何故にミツバチを含む生態系を犠牲にする方向で推進するのか.それがわからない.マスコミもあまり関心がない.こうして我が国の農政は,酪農や養蜂などを,なくても構わぬものとして切り捨てていく.養蜂がもたらすものは蜂蜜だけではない.果樹園芸も切り捨てることになるのに,なぜだ.

(四)
 中島みゆきの「糸」がヒットしているのだそうだ.
 人との出会いと幸せを彼女は歌うが,社会から引退した年寄りに,これからどんな出会いがあるだろう.期待せずに待つことにしよう.

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2014年12月24日 (水)

また忠臣蔵

 しつこいようだが,「寺坂吉右衛門」「忠臣蔵は風化したか」に続いてまた『発言小町』に立てられた忠臣蔵トピの話.
 結局このトピは,編集されてスレッドに反映されたレスの数が百に満たずに終わったようだが,今の若い人たちにとって忠臣蔵は遠い昔のものなんだなあと思った.

 忠臣蔵というのは,史実の元禄赤穂事件を題材にして創作された浄瑠璃,歌舞伎,小説,評論,講談,落語,映画,歌謡曲,大衆演劇などの総体であって,仮名手本忠臣蔵はその分野の一作品にすぎないというのが現代の日本人のコンセンサスであろう.
 ところが『発言小町』の忠臣蔵トピを閲覧して驚いたのは,ほとんどの投稿者が史実元禄赤穂事件と忠臣蔵を同一視していることと,数人の半可通が,忠臣蔵と仮名手本忠臣蔵を混同していたことである.
 忠臣蔵半可通が言いたいのは,私は歌舞伎に土地勘があるのよ,てなところであろうか.こういう人は,『松浦の太鼓』は知っていても,講談赤穂義士銘々伝なんてものはご存じないだろう.

 私が忠臣蔵という広義のジャンルに触れたのは講談が最初だったと思う.誰の講釈だったか全く記憶がないのだが,大高源吾と宝井其角の両国橋のくだりから,吉良邸の隣家で今か今かと討ち入りを待つ其角,そこに登場する源吾.今は YouTube で神田愛山の録音が載っているので聴いてみたが,ちょっとくだけすぎの感はあるものの,いやあいいですなあ.
 次がNHKの『赤穂浪士』(昭和三十九年) で,続いてその年の紅白歌合戦白組の大トリ,三波春夫の『長編歌謡浪曲 元禄名槍譜 俵星玄蕃』だった.このあと,『俵星玄蕃』が紅白歌合戦のハイライトだった時代がある.三波春夫の歌謡浪曲は歌ではない,歌芸だと言った人がいるが,むべなるかな.長尺の歌詞の台詞部分「時は元禄十五年…」から「おうっ蕎麦屋っ」に至ると思わず感涙はらはらと下るをお笑いくださるな妙心殿.それは大利根無情.
 そして次が五代目三遊亭圓楽が噺に仕立て直した『赤垣源蔵』,徳利の別れだった.

 こうしてみると,忠臣蔵は何といっても外伝がおもしろい.
 気象庁はこの冬を平年並みだというが,最強の寒波とかいって寒くて堪らぬ.これは寄る年波のせいだろうか.もし予想外に厳冬で,残る年内から正月にかけて雪が降ったりしたら,その時の鑑賞用に三波春夫の『俵星玄蕃』を Amazon に注文した.よい考えだと思う.

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2014年12月23日 (火)

今年もおせちを買いました

 整形外科で腰痛のリハビリをやった帰りに,藤沢駅北口にあるデパート「さいか屋」の地下に寄ってみた.ここのデパ地下は,スーパーとして成城石井が入ってはいるものの,フロア面積が狭いために他の専門店が少なくてたいへんに貧弱である.貧弱ではあるけれど,現在の湘南一帯にあるデパートでは一番の老舗だから,地元の年寄りは南口の小田急デパート (大昔,ここは「江ノ電デパート」だった) よりも,さいか屋を格上と見ている.
 私も年寄りの一人なので,小田急デパートではほとんど買い物しない.デパ地下はあっちの方が充実してるけどね.

 さて昨日は地下のポンパドウルで,豪華絢爛一斤四百円という七種の雑穀入り食パンを購入し,そのついでに辺りをうろついてみたら,おせちの予約コーナーがあった.下は一万円弱のものから上は数万円のものまで,かなりの種類のサンプルが展示されていて,完売御礼と書かれたものがいくつもあった.

 以前はこの地下に入っている惣菜店えぼし (昔々は小さな焼鳥屋が始まりだが,今では居酒屋数店舗と惣菜屋十七店を経営する堂々たる会社になった) のおせちを毎年の暮れに購入していたのであるが,昨日行ったらもうなかった.
 ウェブを覗いてみたら,和風おせち二段重 (税別二万円) は完売しましたと書いてある.
 また,大晦日に予約ではなく販売していた和風おせち一段重は今年は販売しないとのことだ.しかし少人数用の「プチおせち」は,えぼしの各店で大晦日の開店と同時に販売するという.

 正月には息子や娘夫婦が来るので,ほんの形程度のおせちは用意しておきたいが,この「プチおせち」,たぶんすぐ売り切れになるだろう.大晦日に買いに行って空振りでは少々困る.
 しかし,困った時の Amazon というではないか.言っているのは私だが.
 そこで「おせち」一語で検索してみると,12月26日発売という冷凍の和風三段重,九千五百八十円也がまだ予約できる.「板前魂」なる業者の商品で品名は「花籠」.Amazon のおせちでは人気第一位の商品だ.イメージキャラクターは岡江久美子さん.売り文句には「思わず感動 女優岡江久美子も絶賛」と書いてある.岡江久美子さんと聞いて感動しない爺さまは向こうへ行きなさい.しっしっ.
 高級料理店の数万円もする重箱詰でも,おせちはおせちに過ぎないのであって,うまいというものではないから,これで充分だ.私は岡江久美子さんの絶賛で思わず感動し,もう考えることなくポチッポチッポチッと購入手続きをしたのであるが,よく見るとキャプションに「クリスマス後のお届けになる可能性があります 」と書いてある.ていうか,12月26日発売だからクリスマス後のお届けになるに決まっている.でも購入できたんだから,細かい文句は言わない.なにしろ岡江久美子さんも絶賛なのだ.よかったよかった.

(正直言うと,例の事件報道された「スカスカおせち」「残飯おせち」みたいなものだったら,ブログネタになるよねという期待もある.こらこら.
 ネット通販で,どこの業者かもわからぬ販売者の「冷凍和風三段重九千五百八十円」てのは,かなりハイリスクだと思う.おせち口コミサイトでの評判は好評悪評相半ばしている.大晦日に商品が届いたら,このブログで私の商品評価を報告したい.
 さいか屋のおせちと比較して遜色なければ,Amazon に絶賛レビューを書くし,そうでなければ息子と娘に新春ネタで披露して笑ってもらう.おいおい.
 
 ところで,あの極悪おせちを販売した会社のグルーポン・ジャパンって,性懲りもなくおせちの販売を再開している.いい度胸だなあ)

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2014年12月22日 (月)

経歴詐称男

 msnニュース (12/23) に《STAP細胞、小保方氏の今後は科学評論家? 科学ライター「一度のミスで科学界追放はおかしい」
という無署名記事が掲載された.
 内容はサイエンス・ライターと名乗る川口友万氏へのインタビューで,この中で川口氏は小保方は科学評論家として活躍したらどうかという驚天動地の意見を述べている.よくこの程度のオツムでサイエンス・ライターなどと名乗っているなあと感心した.この人,小保方と同類の一種のペテン師に違いない.

 さて,msnニュースを読んでいると,よく大中庸生という人物が記事にコメントしている.コメントに付された大中庸生氏のプロファイルは「近畿大学農学部」である.
 これまで大中庸生氏のコメントは読んだことがないのであるが,上の《STAP細胞、小保方氏の今後は科学評論家?……》に付けたコメントがかなり長文なので気になって読んでみた.
 すると,内容がどうも尋常ではないのである.小保方をメンデルにたとえて称えている.
 はて面妖な.近大農学部にはこのようなトンデモ研究者がいるのかといぶかしく思い,調べてみた.
 すると,この男,単に学歴が近畿大学農学部卒なのであって,近畿大学所属の研究者ではなく,近大の教員ですらなかった.勤務先はカノープス株式会社だとも facebook のデータ (2014/12/22 現在) にあるが,カノープス株式会社は2011年にグラスバレー株式会社に社名を変更していて,現存しない.まあ実に胡散臭いことこの上ない.ペテン師の周りに,似非サイエンス・ライターとか経歴詐称野郎とか,そういう人間が集まって,小保方騒動の変奏曲を奏でている図だ.(笑)

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2014年12月21日 (日)

忠臣蔵は風化したか

 昨日の記事「寺坂吉右衛門」に取り上げた『発言小町』のトピは,昨日の最終更新 (12/19 16:48) 時点で,トピに反映されたレスの数がわずか 39 であった.
 このうちに,赤穂四十七士は全員が切腹したと明記している投稿者が,驚くべし, 九人もいるのである.あとの三十人は,浪士の切腹処分に触れていない.

  降る雪や明治は遠くなりにけり  草田男 (昭和六年)

 昭和の初め,小学校の校庭に雪が降りしきったその日から,人ひとりが生まれて死ぬほどの時が経ち,昭和も遠くなりにけり.
 雪の日の草田男の感懐から三十三年後の昭和三十九年 (1964年),一月五日から同年十二月二十七日まで,NHK大河ドラマ史上最高の視聴率 53.0% という記録を打ち立て,昭和テレビドラマの金字塔と呼ばれる『赤穂浪士』が放送された.誰が金字塔と呼んでいるかというと私だ.
 この年,10月1日に東海道新幹線が開業し,10月10日から同月24日まで第18回夏季オリンピック・東京大会 (東京オリンピック) が開催された.この年にはまた『平凡パンチ』と『ガロ』が創刊され,そして都はるみが『アンコ椿は恋の花』を熱唱した.まさに昭和を代表する一年であったといえよう.都はるみについては異論を唱える向きがあるかも知れぬが,受け付けない.
 その昭和の頂点において『赤穂浪士』は放送された.乳幼児と寝たきりの老人病人を除けば,国民の大部分がテレビ受像機の前に正座し,長谷川一夫が「うぉのうぉのがた…」と言えば背筋を伸ばし,あるいはまた「堀田しゃん…」という宇野重吉の台詞に耳を傾けたのであった.
 だからこれ以後,仮名手本忠臣蔵や史実元禄赤穂事件はさておき,いくつもの小説・映画・テレビドラマに描かれた忠臣蔵の物語は,国民承知のものとなったのである.

 しかるに『発言小町』のレスをみるに,忠臣蔵の物語を知らぬ連中が多い.昭和は風化したのか,これは困ったことだとお嘆きのあなた,ご心配には及ばぬ.
 実はこのトピ,Yomiuri Online トップページで「注目トピ」と宣伝されたトピであった.にもかかわらず,レス総数わずか 39 しかない.
 これがどういうことかというと,『発言小町』では担当編集者 (エディター) が,自分の意のままに投稿を取捨選択してトピを構成する権限を持っているということなのである.
 つまり『発言小町』のエディターは,というより小保方事件で露呈してしまったように読売の記者は大抵そうであるが,無教養であり,赤穂四十七士は全員が切腹したと思いこんでいるに違いない.
 それで総投稿数が何百あったかわからないが,「赤穂の浪士はなぜ全員が切腹しなかったのか」という切り口から忠臣蔵の物語を読み解くレスや,「全員が切腹したというのは間違いだ」と指摘する横レスはすべてボツにされてしまったと考えられる.レスがわずか 39 しかないというのは,そうとしか思われないのである.(この記事を書いたあと,レス総数は42になり,義士全員が切腹したと書いて恥をさらす投稿者は十人に伸びた)

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2014年12月20日 (土)

寺坂吉右衛門

 Yomiuri Online の掲示板『発言小町』に,忠臣蔵についての相談トピが立った.(12/18)
 自分の子供に,忠臣蔵は復讐した話だが復讐することは良いことなのか,という質問をされて困った.どう答えたらよいか,という相談である.

 それはそれで何の変哲もない相談なのであるが,無知な輩が偉そうに間違った回答をして,世に誤情報を広めるのが『発言小町』という掲示板なのである.
 案の定,ハンドルネーム「ねこさん」という御仁が,良くないことをしたから四十七人全員が腹を切ったのだと訳知り顔に答えている.
 もう一人,「おばはん」というかたも同様に,みんな切腹したと書いている.
 討ち入りのあとで義士一行を離れ,それが忠臣蔵の物語あるいは元禄赤穂事件をミステリアスなものにしている寺坂吉右衛門信行をも切腹させてどうする.
 書き込みする前に粗筋だけでも調べて書きなさいね.

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2014年12月19日 (金)

屋台のDNA (十五)

 天は蕎麦屋の上に蕎麦屋を造らず蕎麦屋の下に蕎麦屋を造らずといへり
と福澤諭吉は言った.言ってません.そうですか.
 蕎麦に貴賤なしともいう.言わないってば.そうですね.

 とはいうものの,週刊文春今週号の『食味探検隊』に蕎麦屋が二軒紹介されていて,いずれもコース三千五百円とか五千円や六千円などというコースを提供する蕎麦屋だ.こういう料理店と立食い大船軒を同列に論じるのはさすがに乱暴だろう.
 そうじゃなくて,大船軒と,ちょっとお値段高めの蕎麦屋とが同じ範疇の飲食店なんだろうか,という方向の話を考えてみたい.そこで品書きを列記してみる.まず神田藪蕎麦と更科堀井.

[神田藪蕎麦]
 せいろうそば      670円
 釜揚げうどん     1,050円
 玉子とじ       1,050円
 山かけそば      1,240円
 おかめそば      1,240円
 かも南ばん      1,720円
 かけそば        670円
 月見そば       1,050円
 なめこそば (温,冷)   1,050円
 そばとろ       1,240円
 天ぷらそば      1,720円
 あなご南ばん     1,910円

[更科堀井麻布本店]
 もり          790円
 さらしな        890円
 太打ち         890円
 季節の変わりそば   1,000円
 小海老天もり     1,740円
 かき揚げもり     1,740円
 鴨せいろ       1,800円
 冷やしとろろ     1,150円
 車海老天もり     1,740円
 かしわせいろ     1,230円
 鬼汁そば       1,130円
 冷おろしそば     1,080円
 冷揚げ玉そば     1,000円
 納豆そば       1,340円
(種もの)
 かしわ南蛮 (鶏肉,南蛮葱)         1,230円
 かき揚かけ (小海老と三つ葉のかき揚げ)   1,740円
 天ぷらそば   一本 1,740円
         二本 2,680円
 鴨南蛮        1,800円
 かけ          790円
 花まき (海苔,わさび)  950円
 月見         1,000円
 とじ         1,000円
 とろろかけ (温かいとろろそば)       1,230円
 おかめ (蒲鉾,玉子,湯葉,椎茸,小海老)  1,230円
 親子南蛮 (かしわ南蛮玉子とじ)       1,390円
 にしんそば      1,610円
 小海老天南蛮 (小海老のつまみ揚げ,南蛮葱) 1,850円
 天南蛮 (大きい車海老一本揚げ,南蛮葱)   1,850円
 鍋焼きうどん               1,800円

 こうしてみると,貴賤の貴のうちでも全然違うもんですなあ.更科堀井麻布本店の品書きだが,どういう分類方針なんだかよくわからないところがある.温かい蕎麦を種ものと呼んでいるみたいだが,かけ蕎麦を種ものに入れるのはちょっと不思議な感じだ.
(続く)

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2014年12月18日 (木)

薬局二題

 三年近くも前のウェブマガジン掲載記事を持ち出す.WEDGE Infinity (2012/3/29) に《医薬分業は患者のためか? 》という記事が載っていた.筆者は医業経営などを専門とする経営学者で東京医科歯科大学大学院教授の川渕孝一氏.

 Wikipedia【医薬分業】をみてみよう.
《…… 医療機関が薬で利益を得る、いわゆる「薬漬け医療」が蔓延したことも、医薬分業が伸展しなかった理由の一つにあげられる。厚生省(現:厚生労働省)はそのような状況を打開するために薬価改定を行い、薬で利益が出ない仕組みに組み替えると同時に、院外処方箋を発行することに対しての評価を高くして利益誘導による医薬分業を図った。その結果、日本でも医薬分業が伸展してきた。
利益誘導により医薬分業が伸展していた時代、医療機関が新規開業をすると、その隣に薬局もできる風景がよくみられた(門前薬局)。しかし、一部地域では薬局数が飽和し、患者が薬局を選択するようになってきた。

 Wikipedia【医薬分業】には《薬で利益が出ない仕組みに組み替えると同時に、院外処方箋を発行することに対しての評価を高くして利益誘導による医薬分業を図った》と書いてあるが,本当か.薬で利益が出ないなら門前薬局なんぞ開業できるわけがない.また現状の都市部では調剤薬局だらけであるが,どうして淘汰されて少なくならないのか.
 実は川渕孝一教授によると,医薬分業の進展によって,それ以前に比較すると約一兆八千億円の費用が上積みして国民に課されたことになるという.結構な規模の市場が「医薬分業」の大義名分のもとにこっそり創設されたというわけだ.一兆八千億円の市場規模を享受しているのは誰か.Wikipedia【医薬分業】を執筆したのがどのような立場の人間かは,まあおよそ明らかである.

 さて大規模な病院の周辺には調剤薬局が林立しているから,それなりのサービス競争 (待たせないとか) はあるだろうが,明らかに開業医と結託している調剤薬局もあって,そのような薬局には腹の立つことが多い.

 私のかかりつけの内科医院では,処方箋をプラスチックのファイルケースに入れてくれる.このファイルケースは隣の調剤薬局との間の「通い箱」になっていて,そのまま薬局のカウンターに出す仕組みである.
 さらに,この薬局と医院は処方箋をファックスでやり取りもしているようで,あからさまに丸抱え状態である.
 先日,金曜日の昼頃,この薬局に処方箋を持って行ったら,在庫がなかった.すぐに注文すれば夜には入荷するがどうしますかと薬剤師が言う.夜になって出直してくるのは億劫だから,明日また来ますと答えて私は帰った.
 翌日の土曜日の昼頃,その薬局に行くとシャッターが降りていた.驚いて家に戻り,ネットで調べてみたら,その薬局は土曜日は午前中しか開いていないのであった.
 月曜日に薬局に行き,どうして金曜日に「土曜日は昼までしか営業していない」と教えてくれなかったのかと質したが,薬剤師は「すみません」と言うばかり.
「医院に問い合わせれば私に電話連絡もできたはずですが」
「すみません」
「他の調剤薬局で在庫がないときは届けにきてくれるところもありますよ」
「すみません」
「もしこの薬が命にかかわるようなものだったら,薬が切れたために重大な事態になるということもあるわけで,そこんところ薬剤師としてどう考えているのですか」
「すみません」
 まるで馬耳東風,柳に風の受け流しで話にならなかった.二度とこの調剤薬局は使わないと思ったのであった.

 もう一つ.
 東海道線藤沢駅の南口に大きなドラッグストアがある.昨日,資生堂の尿素入りハンドクリームを買いに行ったのだが,医薬品,化粧品,健康食品などで店内はあふれかえっていて,どこにハンドクリームの棚があるのかわからない,レジに長い列ができていて,レジ外には店員の姿がみえないので,欲しいものがどこにあるか質問もできない混雑状態であった.
 この店は安いので時々利用するが,ハンドクリームを買うくらいはどこでもいいやと,そのすぐそばの,駅ビルに直結したビルの一階にある湘南薬品という小さな薬局に行った.ここは調剤薬局と一般の薬局が併設になっている.
 客はほとんどいなくて暇そうなレジの女性に「資生堂の尿素入りハンドクリームはありますか」と訊いたら,ありますよ,と棚まで案内してくれた.
 チューブ入りと丸い瓶に入ったのがあったので瓶入りを手に取ってレジに持って行った.
 おいくらですかと言うと件の女性が「二千百五十円です」と言った.
 ぶっ魂げた私が「二,二千円もするんですか」と聞きなおしても平然としている.このハンドクリームは Amazon なら 五百五十六円である.大き目のドラッグストアもそれくらいだろう.
 そんなに高いならやめますと言ったら,ようやく「あ,ちょっと待ってください,レジの間違いでした」と言い,正しい値段は六百四十五円だとレジを打ち直した.
 とんでもない商売をする薬局である.ハンドクリームが二千円だなんて常識でおかしいと思わないのか,こいつは.
 安価なハンドクリームだから二千円は高すぎるとすぐにわかったが,微妙な値段をいわれたら不審に思いつつ払ってしまう客が多いのではないだろうか.あまりにも悪徳商売なので店名を明記した.

 上の二軒は論外な薬局だが,もちろん接客丁寧で質問にもきちんと答えてくれる調剤薬局もあることは承知している.東京に住んでいるときの最寄りの薬局がそういう店だった.やはりいくつかの薬局を試してみて,良心的なところを探す必要があるなあと思ったことである.

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2014年12月17日 (水)

がんもどき教

 最近,私の周辺で,例の近藤誠氏の「がんもどき理論」を信奉する人が増えているような印象がある.そういう信奉者の話を聞いてみると,がんについて一般人として必要なある程度の知識を持ち合わせているわけではなく,もうほとんど宗教のように信仰している.

 読売新聞 (Yomiuri Online 12/16) の連載記事《中村祐輔の「これでいいのか!日本の医療」》で,中村祐輔・シカゴ大学医学部教授が《近藤理論は正義の味方か?》と題して近藤誠氏に鉄槌を下していらっしゃる.

 中村先生は,日本のがん治療医たちが近藤氏にきちんと反撃しないのは,患者に対する責任放棄と同列であると断じ,近藤「がんもどき理論」を「悪魔のささやき」だとしている.実に痛快な記事である.中村先生のこの寄稿が広く読まれ,近藤教祖に対する打撃になればよいのだが,信者たちは聞く耳を持たないかも知れない.

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2014年12月16日 (火)

めおとの道

 前にもこのブログに書いたことがあるのだけれど,「あなた跳び蹴りわしゃ海老固め共にあばらの折れるまで」というフレーズがある.言うまでもなく,これは一昨日の記事に書いた「あなた百までわしゃ九十九まで共に白髪のはえるまで」をもじったものだ.この文句の考案者は四代目柳亭痴楽という噺家で,先代の林家三平と同時代の新作落語家であった.

 今でこそ先代林家三平はマスコミに「昭和の爆笑王」と持ち上げられているが,実際にはその全盛期でも,人気はあったが芸は二流であると見られていた.落語家として本当の力量はわからないが,少なくとも大衆が三平の噺を耳にするテレビ・ラジオではまとまった噺をすることがなく,小話を連発するというスタイルだったからである.再現性のない漫談といってもいい落語であって,父親の七代目林家正蔵から受け継いだという新作の「源平盛衰記」でも,落語という形できちんと演じることはなかったのではないか.(YouTube に録画あり)
 ただ,林家三平という噺家が人々の記憶に今も残っているのは,その死後に一門を束ねた賢婦人海老名香葉子と惣領弟子の林家こん平の努力による.

 これに比べると四代目痴楽の芸はずっと上だった.新作落語家だが,再現性のある噺を演じて人気も高かった.
 しかし1973年10月,大阪道頓堀角座に出演中に脳卒中で倒れ,言語障害となった.もしも言語障害にならずに高座に復帰できたとすれば,昭和の新作落語の名人になった人であったろう.

 この当時,痴楽には大阪の演歌歌手で平賀みきという愛人がいた.平賀みきは,痴楽が倒れてから自分が死ぬ1988年までの十五年間,痴楽を介護した.
 痴楽は,彼女が死去して五年後の1993年12月1日に世を去った.享年七十二.
 二人は,百や九十九まで生きることができなかったが,高砂の尉姥が示した夫婦の道を歩いたのであった.「共に白髪のはえるまで」からそんなことを思い出したので書いてみた.

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2014年12月15日 (月)

高砂

 昨日の記事に《森高千里は「わたしがおばあさんになったら,あなたはおじいさんよ」と歌っている.そんなこと歌ってません》と書いたが,森高千里という女性の衰えぬ容色,驚くべきことである.彼女はとっくの昔に年齢はおばさんになっているから,次に歌うとすれば「わたしがおばあさんになったらあなたはおじいさんよ」のはずで,あと二十年後にもミニスカートでそう歌って欲しいと思う.
 
 さて夫婦偕老長寿について調べると,まず最初に出てくるのは能の「高砂」だろう.
 もう随分と昔のことだが,私の部下の結婚披露宴で,主賓来賓親戚取り混ぜて四人の皆様が,祝辞下手であったらしく,スピーチに代えて「高砂」を謡ったことがある.新郎新婦が余興の類について無調整で宴に臨んだためであるが,四人目になるともう居並ぶ出席者は俯いて声もなく,まるで何かの罰ゲームを見ているようであった.
 それくらい「高砂」は結婚披露宴の定番であるわけだが,あらためて百科事典を調べてみるとなかなかおもしろい.
 
 Wikipedia【高砂 (能)】にはこうある.
 
九州阿蘇宮の神官(ワキ)が播磨の国、高砂の浦にやってきた。春風駘蕩とする浦には松が美しい。遠く鐘の音も聞こえる。そこに老夫婦(シテとツレ)が来て、木陰を掃き清める。老人は古今和歌集の仮名序を引用して、高砂の松と住吉の松とは相生の松、離れていても夫婦であるとの伝説を説き、松の永遠、夫婦相老(相生にかけている)の仲睦まじさを述べる。命あるものは全て、いや自然の全ては和歌の道に心を寄せるという。ここで老夫婦は自分達は高砂・住吉の松の精である事を打ち明け、小舟に乗り追風をはらんで消えて行く。
 
 このあと神官も舟をこぎ出して松の精を追い,住吉に到着する.すると住吉明神が現れて神舞を舞うというのが「高砂」である.
 私は,ここに登場する老夫婦 (尉と姥) は,それぞれ住吉大社高砂神社の松の精と思っていたのだが,それは世阿弥の創作であって,高砂神社の伝承は全然違っている.
 要約するに高砂神社には,神功皇后の外征のときに創建されてまもなく,雌雄の松が根元で一つになった相生の松が境内に生えた.ある日,阿蘇神社の神主友成 (二十六代宮司) が上京途中に高砂の浦に立ち寄ると,尉姥二柱の神が現われて「今より神霊をこの木に宿して世に夫婦の道を示さん」と告げた.伝承は,これ以後人々はこの松を相生の霊松と呼んだという,ただそれだけであり,大阪の住吉大社は無関係である.(なおその時友成が杖にしていた木を地面に突き刺したら芽を吹いて,樹齢千年超の「神木いぶき」として境内にその姿をとどめていると高砂神社は伝えている.また友成は霊松の実を阿蘇神社に持ち帰り,これから生えた松が現存していると,これは阿蘇神社の伝承にある)
 つまり世阿弥は,高砂の松と住吉の松は遠く離れていても夫婦であると,遠距離恋愛の恋人たちを励ましたのである.全然違いますか.そうですね.
 
 ともかく高砂神社の伝承は,世阿弥が「高砂」を創作したときのアイデアの一つに過ぎず,ストーリーが全く異なるのであるからして,高砂神社のウェブサイトに《古くから謡曲「高砂」の『高砂やこの浦船に帆をあげて…』のめでたき響きによって親しまれている高砂神社は》と書いているのは強引なこじつけである.
 高砂神社の相生の霊松だが,枯れては植え,枯れては植えて現在は五代目であるという.ま,尉姥二神が示した「夫婦の道」はあんまり長持ちしないものらしい.

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2014年12月14日 (日)

わたしがおばあさんに

「おまえ百までわしゃ九十九まで共に白髪のはえるまで」は夫婦仲睦まじく長寿を全うしたいものだという俗謡であるが,ひょんなことから『故事ことわざ辞典』というサイトで,この句についての記述を読んでみた.
 すると語義として次のようにある.

【注釈】  「お前」は夫、「わし」は妻のことをさす。
「お前」は本来敬語で、妻が夫を呼ぶときに使われた。
「わしゃ」は「わし」のことで、「わたくし」という意味。
夫が百才まで、妻(自分)が九十九才まで仲良く暮らしていきたいということば。
夫が百才で妻が九十九才についての解釈は二通りあり、一つは相手に先立たれることによってさびしい思いをしたくないから自分より先に死なないで欲しいという願いを込めたもの。
もう一つの解釈としては、昔は姉さん女房をもらうことが喜ばしいとされていたことから、一つ年上の妻と結婚した夫の場合、夫が百才、妻が九十九才で夫婦が一緒に最期を迎えられるというもの
「お前百までわしゃ九十九まで、ともに白髪の生えるまで」と続けてもいう。

 これを書いた人は,小学生以下の学力の持ち主である.
 問題は引用文中の下線部だ.
 一つ年上の姉さん女房と結婚した夫は,自分が九十九歳のときに妻は百歳である.自分が百歳のときには妻は百一歳になっている.
 従って仮に「お前」と「わし」の意味を,正しい用法とは夫婦逆転させたとしても《一つ年上の妻と結婚した夫の場合、夫が百才、妻が九十九才で夫婦が一緒に最期を迎えられる》ことはあり得ない.妻が一つ年上のはずなのに《夫が百才、妻が九十九才》とはどういうことだ.この筆者の頭の中はどうなっておるのか見てみたい.

 ある質問掲示板にこの句の意味を質問した人がいて,回答者が上の『故事ことわざ辞典』の「姉さん女房説」の記述を剽窃して答えていた.質問掲示板では,質問者が無知で回答者がばかであることが大変多く,こうして誤謬がネット上を伝播していくのである.

 ちなみに『デジタル大辞泉』では以下のように書かれている.
御前(おまえ)百(ひゃく)までわしゃ九十九(くじゅうく)まで【御前百までわしゃ九十九まで】
《「お前」は夫を、「わし」は妻をさす》夫婦が共に元気で長生きできるようにとの願いを女性の立場から言ったもの。「共に白髪(しらが)の生えるまで」と続く。

 おまえ百までわしゃ九十九まで.同じことを森高千里は「わたしがおばあさんになったら,あなたはおじいさんよ」と歌っている.そんなこと歌ってません.

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2014年12月13日 (土)

PCが変だ

 つい最近,私の四台のPCが変調をきたして困っている.
 この四台はラトックのPC切替器 REX-430UDA を使って,一台ずつのキーボード,マウス,ディスプレイに接続してあるのだが,変調の症状は次のようなことである.

 いま REX-430UDA のポート1 に接続しているPCを使用していて,ポート2, 3, 4 に繋げている残りの三台も立ち上がっている状態であるとする.この状態では,ポート2, 3, 4 の三台にはキーボード,マウス,ディスプレイのエミュレータが繋がっている.

 ポート2, 3, 4 に接続しているPCに Windows update があり,再起動がかかると,再起動したときに,そのポートではディスプレイの電源が切れてしまうのである.このとき,PC自体は問題なく立ち上がっている.
 この症状はつい数日前から起きたもので,おそらくごく最近の Windows update の結果だと思われるが,問題は REX-430UDA のほうにあるだろう.
 REX-430UDA は非常に古い製品であり,いよいよ Windows の変化 (update) に対応できなくなったのだろうか.といっても代替品がまったくないので,そもそも数台のデスクトップPCをワンセットのディスプレイやキーボードで使うということを諦めなければいけなくなる.
 ただし,Windows update を手動インストール設定にして,エミュレータが繋がっている状態では再起動がかからないようにすれば,この不具合は回避できるかも知れないが,それは本来のやり方ではない.困った.

 ついでに,引越直後に家庭内LANのNASが見えなくなってしまったという件だが,いつの間にか治ってしまった.不思議だ.

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2014年12月12日 (金)

続・昔ながらの

 三ヶ月前に書いた「昔ながらの」は時々検索でヒットするらしく,このブログのビジターの人たちに多く読んで頂いている記事の一つである.検索語は「栗原はるみ」「母ドーナッツ」だと思われ,「昔ながらのドーナッツ」では探せない.

 では「昔ながらのドーナッツ」で検索するとどうなるか.
 興味深いことに,沖縄のサーターアンダーギーのような形と食感のドーナッツのレシピがヒットしてくる.サーターアンダーギーみたいになってしまうのは,実はミスドのオールドファッションのようなものを作りたいのであるが,揚げ方がわからないのでボール状にしてしまっているようだ.
 ミスドがオールドファッションを発売したのが1975年だから,これはまあ昔といえば昔だ.これを昔風のドーナッツと思う私よりも若い世代があって,彼らにとってお母さんが作ってくれた昔ながらドーナッツは,ミスドのオールドファッションのような,沖縄のサーターアンダーギーのようなものであるらしい.
 ところでアメリカのオールドファッション・ドーナッツと沖縄のサーターアンダーギーは歴史的にどっちが古いのだろうか.この二つ,関係があるような気がする.

 

 最近,坐骨神経痛が悪化して歩行困難に陥っていたのだが,整形外科で週に三日のリハビリ (背骨の牽引と低周波マッサージ) を続けたら,なんとなく痛みが軽減されてきたように感じる.
 昨日もリハビリにいったのだが,その帰りにミスドに立ち寄った.ミスドがホームカットなどの復刻版を期間限定で販売開始したと聞いたからである.

 

 私のような老人がミスドで買い物をするのはちょっと工夫が必要だ.「ホームカットとオールドファッションを一つずつください」なんて注文して,小さな紙袋に入れてテイクアウトするのは,店内の他の女性客さんの視線を感じてしまう.
「あらお爺さんがドーナッツ買ってる」
「一つずつ買ってるところをみると自分で食べるのね」
「ドーナッツ好きの爺だって,まあいやらしい」

 

 どこがいやらしいのかわからぬが,ていうかいやらしいかも知れないので,そんな視線を避けるためには
「いやあ孫たちがドーナッツが好きだもんで買いにきましたよ,はは」
とかの雰囲気を醸し出しつつ,たくさん買わねばならないのだ.孫いないけど.
 それで復刻版のホームカットと同じく復刻のシナモンを三個ずつ,それからオールドファッションを二個買いました.今日から食事はドーナッツです,はは.

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2014年12月11日 (木)

NTT商法

 先月下旬にNTTぷらら (NTTグループの中でインターネットTV「ひかりTV」を扱う会社) の女性勧誘員から電話があった.お試し期間で最大二ヶ月の無料期間があるのでインターネットTVをどうですか,テレビの見放題か映画見放題が選べますとのことだった.お試し期間後の月額料金○○円は,光回線使用料と合算して請求しますという.
 映画ソフトは八千本あるというのが魅力的だったので,じゃあチューナーを送ってくださいと答えた.

 ところがあとで送ってきた説明資料を読むと,これはお試し期間ではなかった.
 電話口頭でひかりTVの契約が既に成立しており,二ヶ月後に「つまんないからやめる」と考えた場合は,解約という手続きになるのであった.また「料金○○円」というのは二年固定契約の場合の割引料金であり,二ヶ月でやめる場合はもっと高額料金を請求されるのであった.
 しかも電話勧誘では,テレビ見放題と映画見放題の二種類から一つを選択する基本内容だったはずだが,実はゲームやり放題などの二つの有料オプションが無断でついていた.この二つの有料オプションは最初の二ヶ月こそ無料だが,その後は自動的に料金が課金されると書いてある.これは全く説明がなかった.

 そしてカッと頭に血がのぼったのは,事前説明ではひかりTV料金と光回線使用料の合算請求であったが,実は携帯電話料金 (NTTドコモ) とプロバイダ料金 (@ニフティ) もこれに合算してNTTファイナンスから請求する契約だと書かれていたことである.
 携帯電話は同じグループ会社だからともかくとして,@ニフティの料金をどう払おうとそれは私の勝手ではないか.銀行口座からの引き落としにするか,クレジットカードにするか,またそれぞれの口座やアカウントが複数ある場合にどれを使うかは,こちらにも都合がある.それをどうしてインターネットTV料金と同じにしなければならぬのか.

 そこでNTTぷららの窓口に電話した.これがなかなか繋がらなくて,長いこと受話器を持ったまま待たされ,この時点で私の機嫌は最悪状態になった.
 我慢して待っていたらようやく繋がったので,勧誘電話の口頭で説明のなかったことが,あとからあとから訂正不能 (既に契約済) という形で出てくるのはどういうことだ,これでは悪質な詐欺的商売と同じではないか,とクレームをつけた.だいたい契約というものは書面をもって成立するのが基本ではないか,私はそんな契約書にサインしていないぞと.

 窓口に出た男は,勧誘員の説明不足だったかもと釈明したが,当社では電話口頭だけで契約成立としていて書面のやり取りはしていない,お客様が「チューナーを送ってくれ」と言った時点で契約成立なのであって,それは録音してあるという.そういうことは怠りなく準備してあって,もう最初からトラブルに備えている.騙す気まんまんの電話セールスだ.

 また各種通信料金を合算請求する契約はNTTファイナンスの担当業務であり,NTTぷららは関知していないと言った.
 じゃあNTTファイナンスが私に電話して事前に説明するべきだと言ったら,それはお客様からNTTファイナンスに電話してくださいという.NTTファイナンスは別会社ですから,NTTぷららは関知していません.NTTぷららはNTTファイナンスの仕組みを使っているだけで,その仕組みについて質問されてもお答えできませんというのである.
 なんで勧誘された私のほうから詳細を説明してくださいと,わざわざ電話せにゃいかんのだ (NTT系の顧客窓口はだいたい一時間くらい受話器を持って待たないとつながらない),ふざけるな.口調は冷静さを保つ努力はしたが,私は激怒した.

 というわけで結局ひかりTVはクーリングオフした.
 東京のマンションに住んでいたときは J:COM のケーブルTVだったのであるが,チューナー設置のときには担当者がやってきて接続をしてくれた上で,色々と丁寧に説明してくれた.引越しでチューナーをはずすときにも担当者がきて,ご利用ありがとうございましたと言って帰った.もうNTTとえらい違いである.

 NTTぷらら以外に,NTT東日本にも不具合が色々とあり,それを電話すると他の窓口に電話してみてくれ,うちは担当ではないですとたらい回しにされた.まったくふざけたグループである.

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2014年12月 9日 (火)

色々消滅

 住基カードの名を聞いたことのある人は多いだろう.十年以上前の2003年に発足した制度である.
 所管は総務省であり,同省のサイトにはメリットが色々と書いてある.その一つに,住基カードを使用して市町村からの転出手続きをすると,データが年金機構に通知されるので,あらためて年金機構に住所変更手続きをしなくてもよいというのがある.これは年金機構からの通知文書にも書かれている.

 ところがこれが嘘八百なのである.
 私は昨年二月に住基カードを使用して住所変更をしたが,年金機構に登録された住所は変更されなかった.市役所の職員から聞いた話では,年金機構のコンピュータシステムに問題があって,自治体からの住所変更データを年金機構側が受け付けないことがあるのだという.
 例えば,年金受給者が届け出る「現況届」に「○○市△△町□丁目××の☆☆」と書いたが,住基カードには正確な地番が記載されるため「…… ××番地☆☆」となっているとしよう.
 すると,たったこれだけの違いで年金機構のシステムは二つの住所登録がなされていると判断して,この受給者は住所不明であるとしてしまうのだそうだ.
 そしていったん住所不明になったが最後,住基システムからの住所変更は受け付けなくなるらしい.上記の市役所職員は「だから住所変更したときは必ず年金機構に行って確認したほうがいいですよ.ああいう機構ですからね.信用しないほうがむにゃむにゃ」と言った.

 先月,東京から神奈川に引越したのであるが,そのときの転出手続きにも住基カードを使用した.
 そして昨日,年金機構からの書類が郵送されてきたのであるが,宛先は旧住所になっていて,そこから現住所に転送されてきた.年金機構は,住基カードを使用した私の住所変更を受け付けなかったのである.これで二度目だ.やむを得ず今日は年金事務所に行かにゃならん.

 こうして多くの人が住所不明となり,「消えた年金」問題の処置で名寄せの際に住所が不明となっている人がたくさんでてしまったのである.
 自治体側は年金機構のコンピュータシステムに問題があることは知っているようだが,年金機構はこの問題を解決しようとしない.

 ところで発足のときには鳴物入りで宣伝された住基カードだが,総務省はもう普及させる意欲がないようだ.総発行枚数はわずか七百数十万枚にすぎず,一向に増えない.いつか自然消滅するのかも.
 それから「消えた年金」問題も,今回の選挙の争点からきれいさっぱりと消えてしまった.これは既に自然消滅したようだ.
 アベノミクスとやらも来年あたり消えるのではないだろうか.今回の選挙にあたっての自民党麻生太郎副総理兼財務相の言 (新聞報道) によると「二年前より景気が悪いのは,よほど運が悪いか経営能力がないかだ」という.
 我々のアベノミクスは十分に結果をだした.良い結果をだせない会社は経営者が無能だからだということである.つまりアベノミクスは使命を終えたと言いたいらしい.なるほどうまい逃げ方だと感心した.

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2014年12月 8日 (月)

私の罪について

 私は昭和四十七年に,ある食品会社に入った.
 この会社は業界再編成の結果,同業他社に飲み込まれて今はもうないのであるが,その会社の歴史で最後の二十年ほども社長会長をやった男Aが,吸収されてできた会社でも社長の座に就いた.新会社の社長就任を条件にして,吸収した側の会社に自社を売ったと噂された.

 こいつがまだ常務だったとき,ある企業犯罪を企んだ.犯罪の実行には微量化学物質の定量分析に熟練した技術者が必要だったので,子飼いのB研究所長に話をもちかけたところ,B研究所長は私を適任者だとしてA常務に推薦した.
 私は何も知らぬまま,研究所長に渡された試料を分析し,結果的に連中の陰謀に組み込まれ,その企業犯罪の実行犯の一人になってしまった.

 三度目の犯行のときにB研究所長から,実はお前の分析値は,犯行に必要なものであったのだと聞かされた.知らぬこととはいいながら二度もやったのだから毒食らわば皿までだ,続いて三度目もやれと指示されたのであるが,私は拒否した.

 翌々年,社長レースに勝ったAがトップになり,私の会社員人生が終わった.
 それからあと,私は地方の小さな工場に追われて飼い殺しとなった.たまに出張で東京の本社に行くと,社長になったAの部屋に呼ばれ,色んなパワハラを受けた.「内部告発」も「パワハラ」も言葉すらなかった時代である.私は耐えるしかなかった.

 上に書いたようにその会社が同業他社に吸収されたあと,吸収した側の取締役Cさんが私を執行役員に推薦してくれたのだが,Aとその仲間の役員が猛反対して話はつぶれた.Cさんは「あなたの出身会社の役員たちが,あなたの昇進に反対しています.何があったのですか」と私に訊ねたが,私は「今はお話できませんが,ことはコンプライアンスに係ることです」とだけ答えた.
 なぜ詳細を話さなかったか.私の他にも心ならずも犯行に加担させられた人たちがいて,その人たちは既に退職していたがまだ存命だったからである.

 共同正犯の一人であるB研究所長はとうの昔にあの世にいった.
 そして先日,とうとうAが死んだ.勲章をもらって金も名誉も欲しいままに生きた人生だった.私はもう日経新聞なんか読まないので知らなかったが,友人が「知ってるか,Aが死んだぞ」と知らせてくれたのである.私は深夜静かに祝杯をあげた.

 主犯二人は死んだが,犯行に巻き込まれた関係者は,私の他にあと二人が存命である.このお二人が亡くなったら,Aらの行った犯罪,上に記した件と,私が左遷されてしまったあとのことなので実行犯にならずに済んだもう一つの,二件について語ろうと思う.
 二件とも,大規模な行政法違反であるが,悪意をもって行われたものであるから,違反ではなく犯罪と呼んでおく.いずれも既に時効であるし,もし神仏があるならばAは地獄に行ったはずであるが,それでも主犯Aの名前は,昭和の食品事件史に書かれるべきだと思う.この件を墓場まで持っていくつもりはない.
 もしかすると私以外の関係者が亡くなる前に前に私の寿命が尽きるかも知れないのであるが,その場合はこのブログをこのままに残しておき,関係者全員が世を去ったときに事件の全貌を書いた記事が公表されるようにしておく.

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2014年12月 7日 (日)

お調子者 三条市教育委員会

 私のブログで何度も取り上げたことだが,とうとう十二月一日,新潟県三条市の全小中学校で給食の献立から牛乳が排除された.

 成長期の児童にとって,牛乳の栄養的価値は大変に大きい.三条市教育委員会の諸君は知らないだろうが,1945年の敗戦後,この国土を復興させるのに必要なのは何をおいても子供たちであるとの熱意の元に,当時の文部官僚は占領軍と掛け合い,学校給食を実現した.
 その際,学校給食の基礎食材として何が適当かとの文部官僚の相談に,栄養学者は乳製品だと答えた.当時全国の小学校に一律に配給できる乳製品は米国産脱脂粉乳が唯一のものであったので,政府は占領軍に脱脂粉乳の供給を依頼した.米国政府はこれを快諾し,米国の畜産にとって重要な農業資材であった脱脂粉乳を日本に提供した.その費用は,初めは在米邦人の祖国救援資金 (ララ) がまかない,のちに国連が継続支援してくれた.

 以来,我が国の酪農が復興してからは輸入脱脂粉乳は国産生乳に代わったが,牛乳は学校給食の柱であり続けた.あるいは学校給食が日本の酪農を支え続けたといってもいい.
 食文化の面からいえば,日本の食文化における大豆製品や発酵食品と同様に,あるいはそれ以上に乳製品は世界的に重要な食品群である.現在は日本人の食生活に定着しているといっていい.従ってこれを自給できるようにしておくことは食糧安全保障の面からも重要な課題である.

 しかるに無知蒙昧な三条市教育委員会は「牛乳は和食にあわない」との理由で給食の献立から牛乳を排除した.「牛乳は和食にあわない」が全国の小中学校に波及したらどうなるか.おそらく日本酪農は壊滅する.チーズもバターも国産品を供給できなくなる.
 もともと農水省は食料自給率をカロリーベースを主体に計算しているため,乳製品を国産食料にカウントしてこなかった.牛の飼料が主に輸入品だからである.それで,国民の実際の食生活よりも「食料自給率」という数字だけが大切な農水省にとっては,日本農業から酪農が消滅しても痛くも痒くもないのである.

 数ヶ月前から,スーパー等の小売店店頭でバターが品薄となって問題化している.これは,日本酪農なんぞ消滅しても構わない,バターが足りなくなったら輸入すればいいとする農水省の政策の結果である.
 店頭でのバター不足が明らかとなってから農水省はバターを緊急輸入したが,バターの品薄は解消していない.せっかく輸入してやったのだからもっと売れと,先日は乳業会社等を集めてはっぱをかけた.愚かとしかいいようがない.
 日本の乳業は我が国の酪農と結びついてやってきた.支えあってやってきたのだ.それを,バターを輸入してやったからパッキングして売りなさい,酪農の衰退は見て見ぬふりをしなさい,パッキングが君たちの仕事ですと言われても,誰がへいそうですかと従うか.

 三条市教育委員会の牛乳排除給食には,日本栄養士会が疑問を呈している.栄養士会は,学校給食から特定の食材を排除すべきでないとしている.当然にすぎる見解である.ましてや特定食材排除の理由が,栄養学上のことでなく,農水省が進める「和食ビジネス」およびコメの消費維持拡大という政治的理由では,何をかいわんやである.
 このブログで何度も述べてきたように,農水省が絶賛する伝統的な日本人の食生活は,コメを主食として低タンパクかつ食塩過剰であった.そしてこれこそが,戦前まで日本人の寿命を短くしていた原因である.戦後,我が国の一般家庭が,乳製品や肉類など,それまでの日本の伝統食になかったものを,「和食」がどうのこうの言わずに積極的に取り入れてきたことが,子供たちの体格の向上と国民の長寿命化をもたらしたのである.
 農水省は,伝統的な「和食」に戻れという.味噌汁と漬物でコメの飯を食えという.誰に頼まれたか知らぬが,三条市教育委員会の栄養士は,牛乳排除で不足する栄養素をフリカケでまかなうという.農水のお先棒をかついで食塩摂取量を増やし,子供たちにコメ中心の食生活を復古教育する「食育」をするつもりらしい.この栄養士は,日本栄養士会の忠告をものともせず「牛乳なんか飲まなくてもカルシウム不足にはならないということを子供たちに教育する」と新聞記者に語って意気軒高であるが,学校給食で子供たちに金属異物入りの笹団子を食わせるという事件を起こすような恥ずべき脳味噌の連中が何を言っておるか.新潟という米作地帯の行政機関として,農水省の「和食」ビジネスガイドブックに載せてもらったのがそんなに嬉しいか.調子に乗って農水省のお先棒をかつぎたいのだとしても,あまりの無知蒙昧ぶりにあきれる.コメの消費維持拡大には,学校給食にフリカケを採用しても意味がない.それは米作農家の競争力向上という農業政策によって実現されるのである.

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2014年12月 5日 (金)

代用燃料

 昨日の記事「たとえ出自は卑しくとも,か」で,戦時中の代用燃料に触れた.ここでいう代用燃料とは,松根油のことである.
 松根油は,Wikipedia【松根油】によると,次のように記されている.

太平洋戦争中の日本では航空ガソリンの原料としての利用が試みられたが、非常に労力が掛かり収率も悪いため実用化には至らなかった。
1944年(昭和19年)7月、ドイツではマツの木から得た航空ガソリンを使って戦闘機を飛ばしているとの断片的な情報が日本海軍に伝わった。日本でも南方からの原油還送が困難となって燃料事情が極度に逼迫していたため、国内で同様の燃料を製造することが検討された。当初はマツの枝や材を材料にすることが考えられたが、日本には松根油製造という既存技術があることが林業試験場から軍に伝えられ、松根油を原料に航空揮発油(ガソリン)を製造することとなった。

 つまり,松の根にはテルペノイドが含まれており,松の根を乾溜して得られる揮発性のテルペン混合物を松根油というのであるが,これを大規模に行うことにより,帝国陸海軍は逼迫した航空機燃料にしようとしたのである.
 詳細は専門的なサイト「石油精製技術で完敗した Imperial Navy」に譲るが,松根油は航空機燃料としては全く非実用的で日の目をみることがなかった.
 戦争中に軍部は細菌戦研究をはじめとする狂ったとしか言いようのない愚かな研究に手を出したのであるが,松根油製造もその一つであった.

 天然物化学が専門であった私の恩師は「樹木成分化学」と題した講義の中で松根油製造研究に触れ,戦争中には馬鹿な研究をさせられましたと私たち学生に語ったことを思いだす.

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2014年12月 4日 (木)

たとえ出自は卑しくとも,か

 朝の連続ドラマ『マッサン』の影響で国産ウイスキー市場が好調なんだそうである.
 朝日新聞 (朝日新聞DIGITAL 10/1 7:22) によると,朝日新聞の取材に対してサントリー酒類社長の小泉敦氏は《サントリー創業者の鳥井信治郎氏は飲みやすい味を、竹鶴氏は本格的なくさみを追求した》と述べている.
 鳥井信治郎が追及した《飲みやすい味》とはなんだったのか.長いが,Wikipedia《トリスウイスキー》から以下に引用する.

寿屋の創業者である鳥井信治郎は、1907年(明治40年)に赤玉ポートワインを発売し、同社の土台を築くと共に、海外からさらなる洋酒を国内に広めるべくヒントを得ようとしていた中で、ある時海外からウイスキーとは名ばかりの模造アルコールに近い商品を手にする。当然これでは売り物にならないため、葡萄酒用の樽に寝かせておいた。
数年後、この液体は琥珀色に熟成し、鳥井はそれがウイスキーであることを確信した(ただし、現在の基準ではウイスキーとは認められないものである)。その後、この液体を「トリス」と名付けて売り出したところ、あっという間に売れた。これを機に、鳥井は国産初のウイスキー製造に乗り出す決意を固め、1923年(大正12年)、京都と大阪の境、山崎に蒸留所の竣工に踏み切ることになる。
》 (下線はブログ筆者による)

 このように鳥井信治郎は,最初から模造ウイスキーを作る気満々で事業を始めたのである.Wikipedia《トリスウイスキー》は《数年後、この液体は琥珀色に熟成し》などとヨイショしているが,琥珀色に熟成したのならなぜ更にカラメルで着色し,模造日本酒と同じ手法を用いて化学調味料で味付けしたのか.(*註)
 トリスウイスキーがウイスキーではなく只の着色アルコールであったことは,実際にあれを飲んだ経験のある私たち年寄りは皆が知っていることだ.あれは本当に酷い酒だった.あれが《琥珀色に熟成し》たものだというなら,そう書いたやつは自分で飲んでみろと言いたい.一度飲めば,頼まれても二度と飲みたくないこと請け合いだ.
 この Wikipedia《トリスウイスキー》を書いたのが誰かは知らぬが,鳥井は《それがウイスキーであることを確信した》のではなく,「それが模造ウイスキーであることを確信した」が実際であったと想像に難くない.普通の常識では,そんなものがウイスキーであろうはずがないからである.

 このサントリーの模造魂は長く保持され,現在の大事業の礎を築いた.
『マッサン』のモデル,竹鶴政孝は山崎蒸留所を作ったあと,(小泉サントリー酒類社長が言うところの《飲みやすい味》の) 模造ウイスキー作りを追求する鳥井と袂を分かって余市に移り,山崎蒸留所は模造ウイスキーを作り続けた.
 ところがのちに竹鶴政孝もサントリーに対抗する営業上の理由から模造ウイスキー作りに手を染めたのである.なんのこっちゃだ.国産ウイスキー作りにかけた志はどこに行ったのだ.ここら辺はドラマは描かないだろうが.

 その恥ずべき歴史の山崎蒸留所の名を冠した「山崎シングルモルト・シェリーカスク2013」が,イギリスのウイスキーガイドブック World Whisky Bible 2015 で世界最高のウイスキーだとされた.
 なるほど.過去は問わないというのも一つの見識ではある.私はいやだが.

 もう一つ.
 サントリーもニッカも,『マッサン』を機会に,角瓶やハイニッカなどの復刻版を販売するという.今更模造ウイスキーを販売できるわけもないから,復刻版というのは嘘であろう.

(*註) 余談だが,私の大学時代の恩師は戦時中に学生であったが,所属する研究室が軍から代用燃料の研究を委託され,それで研究室には資金と試薬が供給されたと伺った.試薬の中にはエチルアルコールがあり,ダルマ試薬瓶と呼ばれた大きな容器に入れて無造作に廊下に置かれていたという.
 我が恩師は市中の模造ウイスキーを分析した結果に基づいて,そのエチルアルコールにカラメルとグルタミン酸ナトリウムを加え,代用ウイスキー (模造ウイスキーのことを当時はそう呼んでいた) を製造して飲んだと私たちに語った.あれはトリスと同じ味がしたとも.

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2014年12月 2日 (火)

雑多感想 (12/2)

(一)
 昨日は囲碁界の巨人,呉清源逝去のことを書いたが,最近の著名人の訃報といえばまずは高倉健だろう.
 続いて菅原文太.
 あいだを置かずにコメントをだすことになった北大路欣也,松方弘樹,梅宮辰夫らの悲痛はいかばかりか.

(二)
 先日の記事「引越のあと」で,アート引越センターをほめたが,言い忘れたことがある.
 それは,アート引越センターは料金がたいへん高いということである.アート引越センターの「自分で荷造り梱包をする基本プラン」が,同業他社の「荷造り丸投げプラン」と同じくらいである.
 当然の話であるが,引越費用と顧客満足がトレードオフになっている.どちらをとるか,ということである.

(三)
 昨年10月23日の記事「私のなんちゃってPCオーディオ」に書いた WAVIO USB デジタルオーディオプロセッサー SE-U55SX2 が壊れた.PCから見えなくなって,SE-U55SX2 のアラームLEDが点灯している.一年余できっちり壊れるのは,なかなか優れた設計である.ていうかばかやろう (怒).

(四)
 読売新聞 (Yomiuri Online 12/1) の連載『ダイエットの達人・ドクター川村のスマート健康塾 / 尿酸値を下げる薬で痛風発作に』で医師の川村昌嗣氏が《アルコールも多く飲むと発作が出やすくなるので、プリン体が少ないアルコールを飲む方が良いでしょう》と書いている.
 しかし定説は,アルコールそのものが高尿酸状態に導くのであるからして,ビールだろうが焼酎だろうが大差はないというのではなかったか.従って正しくは「アルコールも多く飲むと発作が出やすくなるので,多く飲まないようにしましょう」であらねばならない.
 この記事の末尾にある川村昌嗣氏のプロフィルを読むと,幻冬舎あたりからいい加減な健康本を出している只の医師にすぎない.読売はなぜこんな人物に啓蒙記事を書かせるのか.
 ま,これこそが読売のインチキマスコミ体質を示しているのであって,「朝日新聞の体質がどうたらこうたら」と他紙の批判記事をここぞとばかりに書いているが,片腹痛いとはこのことだ.

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2014年12月 1日 (月)

雑多感想 (12/1)

(一)
 著名人の訃報はただちに Wikipedia に反映されるのが常だが,今朝の呉清源死すの報にあたって Wikipedia を開いてみたが,その時はまだ存命のままの記事であった.
 あらためて記事詳細を読むと,呉清源がただならぬ人物であったと感銘深かった.

(二)
 中央公論新社など学術系の文庫を出版する五出版社が,編集長推薦の推薦の文庫を合同で販売する企画「これが教養だ!」を先月から始めた.一文庫十点の計五十冊.
 この企画には全国の四百書店が参加するという.いわゆる「上から目線」の企画名はいかがなものかと思うが,暇な身にはありがたい読書ガイドである.

(三)
 吉川弘文館の名は有名だが,1955年に刊行された『歴史手帳』って,あなた知ってましたか?
 私は知らなかったが,それが初めて全面改訂されたと報道されていた.
 私が高校生の時に習った日本史の知識は,いまや全く役立たずになってしまっているわけだが,それよりも前に出版された歴史資料書籍が,まだ売られていたことにびっくりした.だれがそんな本 (手帳だが) を買っていたんだ.気の毒に.

(四)
『スター・ウォーズ』シリーズの最新作『スター・ウォーズ エピソード7』の販促映像が YouTube などで公開されている.
『エピソード7』は『スター・ウォーズ エピソード6 / ジェダイの帰還』から三十年後が舞台である.
『エピソード7』の企画が発表されたとき,大方のファンは喜んだと思うが,皆が不安になったのは,レイア姫はどうするんだよということだった.すぐにレイア姫役のキャリー・フィッシャーの近況 (画像) も報道されたのであるが,不安はまさに的中していた.全く面影がありません.(泣)

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