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2014年12月25日 (木)

雑多感想 (12/25)

(一)
 昨日,この冬は平年並みの寒さとの予想だと書いたが,これは間違いだった.
 気象庁はエルニーニョ現象が発生するとかしないとか色々と予想を変更していて,この前の三ヶ月予想では「東日本以西は暖冬」だったようだ.
 それが今月になっての強烈な寒波襲来で,年明け一月から三月までの三ヶ月予想は「東日本はほぼ平年並みの寒さ」になると昨日変更された.十二月までの予想は私たちの実感とワンランクずれていたわけであるが,次の予想はワンランク下方修正しただけでだいじょぶかいな.ここは一つドーンと「平年よりやや寒い」にしといたほうがよくはないか.三ヶ月予想はあたらないものとは思っているが,そんな気がする.

(二)
 一昨日のテレビニュースでも報道されたが,イネの種子を大きくする遺伝子を名古屋大学の芦苅基行教授 (植物分子遺伝学) らが発見したと,朝日新聞DIGITAL などに掲載された.
 実験に使用したのは,コメ粒が短いジャポニカ米「日本晴」と,細長いインディカ米「カサラス」.
 芦苅教授らは,両種を比較してコメ粒の大きさを制御する遺伝子「GW6a」を発見した.このカサラスの GW6a を日本晴に導入して得られた大粒の種子と,日本晴の種子とを比較する画像をみたのであるが,ほとんど変わらない.それもそのはず,重量で 15% 増えただけであった.
 新聞報道は,これが米の増産につながる可能性があるとしているが,米の増産ということの意味をよく考えてから報道したほうがいい.少なくともドメスティックには,米の増産は政治問題であって科学的課題ではないからである.分子遺伝学の研究者に農業の観点から道理を説いても仕方ないのではあるが,休耕田や耕作放棄地という現実を前にしながら米の増産を研究するなどは根本的に意味がない.
 ではグローバルなこととして捉えた場合はどのような意味があるのか.
 日本においては無意味でも,中国が米を 15% も増産したら,国際政治,国際経済に一体どのような変化が起きるか,そういう視点が必要だ.国民が知りたいのはそこなのである.無教養の記者が,何も考えずに研究者の成果発表をそのまま垂れ流すのも根本的に意味がない.芦苅教授に,その研究の意義はなんですか,と問うくらいの見識を持てと記者に言いたい.
 ちなみに日本晴とカサラスについては,こんな記事や,こんな記事があって,なんだか微笑ましい.
 それから,この報道を読んだ高齢者は日本晴と聞いて懐かしく思ったかも知れない.日本晴は,かつて昭和の中頃,日本の米作を代表するコメの品種だったのだが,あらゆる点でコシヒカリ系統の品種に負けて,今ではあまり生産されていない.しかし研究データが蓄積されているので,今も大学等の研究機関では研究用の品種として使用している.また昭和の時代,皇室が儀式に用いるコメが日本晴だったから,日本晴は皇室が今も栽培しているかも知れない.

(三)
 昨日,厚生労働省は,ミツバチの大量死の原因と指摘されているネオニコチノイド系農薬であるクロチアニジンについて,食品中の残留基準を緩和する方向を決定した.これは,クロチアニジンを使用してよい作物の適用範囲を拡大したいという農薬メーカーからの申請を受けて内閣府食品安全委員会が行った評価に基づいたものである.
 内閣府食品安全委員会は食品の安全性に関する議論しかしない機関だから,環境だの生態系なんか知ったことではない.それを上手に運営して (思わず「悪用して」と書いてしまうところだ) ,農水省と農薬メーカーはクロチアニジンの使用すなわち農家の収入増につなげたいのである.
 農家の収入増には政治的にも科学的にも他の手段がある.なのに何故にミツバチを含む生態系を犠牲にする方向で推進するのか.それがわからない.マスコミもあまり関心がない.こうして我が国の農政は,酪農や養蜂などを,なくても構わぬものとして切り捨てていく.養蜂がもたらすものは蜂蜜だけではない.果樹園芸も切り捨てることになるのに,なぜだ.

(四)
 中島みゆきの「糸」がヒットしているのだそうだ.
 人との出会いと幸せを彼女は歌うが,社会から引退した年寄りに,これからどんな出会いがあるだろう.期待せずに待つことにしよう.

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