営繕 (講釈編三)
Wikipedia【日曜大工】によると《日曜大工とは、大工とは別の職業を持つ者が、休日や余暇を利用して行う木工作業を指す》なんだそうである.
前回,悠悠自適の境遇のはずの私の友人が,日曜百姓の程度を超えて農作業にいそしんでいて,プロでもなくアマでもない状態であるという話を書いた.
上の Wikipedia【日曜大工】の日曜大工の定義は「プロではない」ということをいわんとしていて,気持ちはわかるのだが,《大工とは別の職業を持つ者が》といわれると困る.私は無職なのである.また《休日や余暇を利用して》は,普通はそうだろうが,私は休日も労働日も区別がなく,一日二十四時間がヒマなので,「余った暇」はないのだ.
ということで私の自宅修繕は日曜大工と呼ぶのは適切ではなく,また大工仕事とはいえないものもあるので,広くDIYということにする.
ところでこのDIYだが,本来は精神性のあるものなんだそうだ.
ホームセンターなどの業界団体である一般社団法人日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会は商売ベースのせいか,DIYについてウェブサイトで簡単にしか触れていないが,その他の資料を参照すると,DIYの起源は,1945年のロンドンにおいて第二次世界大戦で破壊された街を復興しようとする国民運動が始まり,そのスローガンが“D.I.Y.”=“Do it yourself”であったことであるという.
想像だが,ドイツ軍の爆撃でボロボロになったロンドンで「市長は何やってんだ,道路は穴だらけだし水道は止まったまんまだ」とか文句をたれた市民がいたのであろう.そういう野郎に不屈の愛国者ジョン・ブルが静かに“Do it yourself”と言い,文句たれ野郎は恥じてうなだれた.そういうことがあったんじゃなかろうか.Do するのが yourself であって myself でないのは,そういうことなんだろう.ルー大柴風ですが.
日本でも同じであったろう.空襲で焼け野原になった東京の再建はDIYで始まったに違いない.
日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会によると,日本で最初にDIY関連商品を揃えた本格的ホームセンターが誕生したのは昭和四十七年だという.それは奇しくも私が社会人になって世に出た年だ.いうなれば,私はDIY精神のインフラであるホームセンターと共に生きてきたのであり,私がDIYに深く共感するのは当然の帰結なのである.理屈に無理がありすぎですか.そうですか.
(続く)
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