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2014年10月30日 (木)

屋台のDNA (十二)

 関西の人からは,東日本はどこもみんな同じような食文化のように見えるかも知れないが,こと蕎麦うどんの汁に関しては,東京は特異な地域である.前回の記事でテンヨ武田 (山梨県) のビミサンという麺つゆを紹介した.同社のウェブサイトに記載されているように,昔の一般家庭 (おそらく関東甲信越全域の) で作る麺つゆは,甘辛くなかった.私は群馬の生まれ育ちだが,昭和四十三年に上京し,梅もとの立食い蕎麦を食って腰を抜かした.あまりに甘辛かったからである.これではまるですき焼きの割り下だと思った.

 今の若い人は,親から料理を教わることはないだろうと思う.それが独り暮らしを始めたとか,結婚して料理の担当になったとかで必要に迫られてから,やおら料理を勉強する.
 昔なら料理本を買って読むところだが,今は誰でもクックパッドにアクセスするだろう.
 そこでクックパッド界はどうなっておるかと,「蕎麦つゆ」と「すき焼き」を調べてみると,このサイトにたむろしているお嬢さんやご婦人がたは,蕎麦つゆも割り下も一緒くたで,詳しく見ていないがクックパッド界ではたぶん天丼もカツ丼も煮魚も肉じゃがも,立食い蕎麦と同じ味なんだろう.

 かつては関東甲信越の各地に,それぞれの蕎麦つゆの作り方があったろうに,これからは東京の立食い蕎麦の甘辛味しか知らぬ人たちになっていくだろう.甲州ビミサンの健闘を祈りたいがどうなるだろう.

 以上,東京の立食い蕎麦の味は,戦後の湘南で大船軒が始めた駅蕎麦が起源だろうという話をしてきた.
 次はトッピングだ.

(続く)

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